第5話 ときめき
カブトムシはたくさん撮れた。ミヤマクワガタにも出会えて驚きばかりの発見だった。一度お開きをすることになった。里子ちゃんは満足そうな顔をしている。自分もとても楽しかったし、いい経験になった。
「とても楽しかったよ!それで今日も遊べれるかな?」
「今日も遊べるよ」
「じゃあ、お昼ね!ここでお開きにしよう」
お開きになった。起きた時に比べて空はかなり明るくてキレイな青空になっていた。朝を実感していると、お腹が空く音が聞こえた。時計を見ると6時半、もうそろそろご飯時かもしれない
*
朝ごはんを食べた。お腹が満たされる満足感と安心感のせいか眠気が誘ってくる。
ごはんの片付けの手伝いをしたあとは、少し寝てたい気持ちがあるが宿題がある。だから寝てはいけない。本当は寝てたいけど致し方ない
「早起きしたから眠いんだろ〜」
「まぁ、そうですね」
「楽しかったかい?」
カブトムシを見た時は嬉しかった。小学生に戻ったような気持ちになっていた。あのドキドキとワクワクした感じは刺激的で面白くて楽しかった。けど、今はそれより寝たいという気持ちが率先している。体は小学生みたいな体力がないようだ。
「小学生になった気分でした。すごく楽しかったです」
「楽しかったなら良いんじゃない。少し休んだらどう?」
「いや、宿題があるので」
*
宿題が終わった事に安心感に浸り、横になっていたら寝てしまった。12時までぐっすり寝てしまった。宿題は終えたのはたしか10時ぐらいだったはずだ。部屋のふすまを開けて部屋を出ると、純さんがご飯の支度をしている。すると純さんは僕のことを気づいて呼んできた
「お昼ごはんができてるよ」
「ありがとうございます」
お昼ごはんはうどんみたいだ。純さんは少し申し訳なさそうな表情をしている。僕に気を使っているのだろうか。僕はいただきますを言ってうどんを食べた
「この前もうどんで、今日もうどんで悪いね〜」
「いえ、大丈夫ですよ。そんな気にしないでくださいよ」
「オレは一週間の食事をかぶらせたくないからね。それより今日も遊ぶの?」
「えぇ、まぁ」
純さんはにこやかに羨ましそうな顔をしていた。歳を重ねるとそういったことが羨ましく感じるのかもしれない。自分は若いせいか、そういったことはうまく理解ができない。
「羨ましいんですか?」
「なんだよ、新手の嫌がらせかい?まぁ年を取ると羨ましいんだよ。もう若くないからさ。ジジイだからどこも痛えよ、学生は人生で1回だよ」
「気に触ちゃったかもしれないです」
「いやいや、気にしないでよ」
戸がバンバンとなる音が聞こえた。もう来たのだろうか。遊ぼうって言っている声が聞こえた。とりあえず、僕は土間のサンダルを履いて戸を開いた。すると里子ちゃんが微笑んできた。
「こんにちは、渡くん」
「あぁ、こんにちは。今日はなにするの?」
「トランプしながら雑談?そんな感じ」
「分かった。そこで待っていて」
まだ食べ終わっていないが、片付けはしないといけない。もう少し食べている時間が欲しかったが、人を待たせるわけにはいかない。僕はお盆を持って自分のものを下膳した。
*
ババ抜きをやった。二人だったせいか、すぐに終わってしまった。次は神経衰弱をやったが、ほとんど里子ちゃんが取っていて、すぐに終わってしまった。これは自分が弱いだけなのかもしれない。里子ちゃんは不満げな表情をしている
「こんな早く終わっちゃうなんて思わなかったね」
「なんか、ごめんね」
「いやいや!大丈夫だよ。住んでいるってどんなところ?」
特徴といえばなんだろうか。立地的には渋谷や銀座にアクセスしやすいってことだろうか。住宅街が多い所でもある。僕自身、杉並区を博識に語れるような人間ではないがそういったところが特徴かもしれない
「渋谷と銀座がアクセスしやすいってところかな」
「すごい有名な場所だ!やっぱりお金持ちいる?」
「渋谷は物によるけど、オシャレなものを買う所って感じかな。銀座はデパート、あとは高級な物が集まっている感じかな」
自分の中での基準で言ったので、正しい認知かどうかは分からない。だけど、里子ちゃんは興味津々な様子で僕の話を聞いている。やっぱり東京ってすごいところなのだろうか?僕にはあまり良さが分からない
「東京ってすごいの?」
「すごいよ!私、行きたいもん!」
「どこを行きたいの?」
「色んなところめぐりたい!パンダ見たいかな」
上野動物園だろうか。確かに面白い場所かもしれないけど、そこを選ぶとは考えてなかった。もっと東京スカイツリーとか浅草とか行きたいというかと思っていた。でも、女の子らしい回答かもしれない
「上野動物園かな?」
「私、渡くんと一緒に行きたいな!」
自分と行きたいという風に言ってくれた人は初めてだ。でも、里子ちゃんと一緒に行ったら、楽しそうだと感じた。お互い、楽しく笑い合った
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