第3話 隣の女の子
なんなく不思議な気分だ。昨日の女の子について少し気になっている。麦わら帽子に白いワンピース。昨日、話した子は夢ではなかったのだろうか?そんな格好をした人なんて存在しないはず。知っている限りはそういう服装している女の子はおとぎ話の世界でしかいない。隣に住んでいると言っていたが、実際はよく分からない。僕が暑さにやられて、聞き取りを間違えたかもしれない。
「どうしたんだよ、ボーッとしてさ。メシの量多かったか?」
「いえいえ、少し疲れてるみたいで」
「そうは見えないけどなぁ。むしろバッチリ寝てる感じ。そういえば昨日は女の子と会わなかった?」
「え!」と大声を出して咄嗟に立ってしまった。それは昨日あった子じゃないか? なんで知っているんだ、どうして分かっている? 脳内がそんなワードで埋めつくされた。恥ずかしさを感じ、ゆっくりと座り込んだ。
「いきなり、どうしたんだよ」
「いや、なんでもないです....」
「会ったんでしょ?オレの友達の子供なんだよ。隣に住んでいるけどさ」
穴があったら入りたい気持ちだ。でも、隣に住んでいるのは事実みたいだ。感情と情報がごちゃごちゃになって頭の中が複雑になっている。今にも頭が爆発しそうだ。
「そ、そうなんですね」
「かわいい顔してるんだよなぁ。アイツの奥さんキレイな人だからな」
「こんにちは〜!」
玄関の戸がバンバンと叩いてる音が鳴っている。少し急いで純さんが戸を開けると、そこに居たのは昨日の女の子だった。すると、目が合った瞬間いきなり、自分のところへ飛び込んできた
「君って昨日の子だよね!?そういえば名前ってなんて言うの?あといくつ」
「宇都木 渡って言うんだ。16で高1」
「苗字も学年も一緒でなんだか気が合いそう!里子ちゃんって呼んでねよろしくね!そう言ってくれたほうが嬉しいかな」
手を差し伸べて来た。うまく理解が出来なかったが、流れに乗って握手をした。
すると彼女は急にひらめいたような顔をした。そして体をるんるんと弾ませて目をキラキラとさせている
「純さん、この子ってどれくらいいるの!?」
「9日間だよ。両親が旅行に出てるからって預かってるんだ」
「そうなの!? 泊まっている部屋案内してよ!いいから」
純さんは面白そうに自分のことを見てニヤけていた。言われたまま部屋に案内をしてあげた。部屋に入ると里子ちゃんはすごいすごいとキャッキャと言い始めた。
何がすごいか分からないが、とにかく楽しそうにしてる
「紙とペンをあるかな? 」
「あるよ。これでいいかな?」
「うん、ありがとう。となりに座ってくれないかな?」
言われたとおり、隣に座った。すると里子ちゃんは僕に寄ってじーっと見てくる。
正直、なにをしているのかさっぱり分からない。すると、クスクスと小さく笑っている。自分を見て何か面白みを感じるのだろうか?
「顔が赤くなっていて、面白いね! それより、書いちゃおうか」
「何を書くつもりなの?」
「渡くんと毎日、遊ぶ予定表!え、ダメかな?」
「問題はないと思うけど」
この真夏にいったい何をするのだろうか。正直な話、この真夏に外で遊んでいたら間違えなく熱中症になるだろう。しかし、宿題が終わったあとは暇なのも事実。何もしないでごろごろしているよりはマトモかもしれない
「じゃあ大丈夫だね。これで10日間毎日遊べれるね!」
「一つ言っとくけど、ここに来てから今日が3日目なんだけど理解してるかな?」
「なんで、言ってくれなたの!」
紙をもう一枚欲しいと言われて渡してあげた。書き直すと言ってまた書いている。内容はいったいどうなっているのだろうか。少し覗こうとした瞬間、里子ちゃんが瞬時に隠した。内容は秘密なのだろうか。でも少しだけ文字が見えたが、それが何かまでは分からない。
「だめなの、中身は秘密なの!」
「言ってくれればしなかったよ。ごめんね」
「しょうがないなぁ〜、一つだけ教えてあげようか?明日のことだよ」
「明日のこと?」
もう予定は決まっているのか。すぐにササッと書いていたが、そんな早く遊ぶ予定が完成してるのは、すごい。自分だったら少なくとも30分以上は掛かりそうだ。明日の予定とはいったいなんだろうか?
「明日の朝、カブトムシを取りに行くよ!」
「カブトムシ?」
「そうだよ?カブトムシって知らないの?」
カブトムシは知っている。しかし、実際には見たことない。自分の住んでいるところで見る昆虫はせいぜいセミぐらいしか見たことない。カブトムシは山にいる印象だがここらへんに山はなさそうだが。
「知っているけど、取る場所があるの?」
「あるよ!約束の時間を教えるね。朝の5時に私の家に来てね! 楽しみにしてるよ」
カブトムシを取ることが決まった。突然のことで何が何が理解が終えてない。6時に集合なのでなるべく早めに寝た方が良さそうだ。
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