6話 休暇
硬式野球部無期限活動停止と部員受け入れ禁止が告げられた翌日から、
一色は1週間の休みを貰っていた。精神的ケアのためである。
出席日数は小松先生が適当にごまかすとのこと。
一色の自宅は宮城県の松島町にある。
1週間の休みの初日の午後、一色は浜辺を走っていた。
手には硬式野球ボールを持っている。
1週間の休みの初日に、一色はあることを決めていた。
それは「転校する」ということ。
転校した場合、1年間、高野連が主催する大会には出所することができない。
今は2月。つまり、転校した場合は、10月中旬に開催される秋季大会や地方大会、
11月下旬に開催される神宮大会や、選抜甲子園には出場することができない。
それでも俺は転校する以外の道はないと思ってる。
無期限の活動停止と部員募集停止……
2年と3年を棒に振る可能性が高い。
なら、他の高校に行って1年間の対外試合出場禁止というペナルティはあるものの、
最後の夏に賭けて転校するというのもありだとは思う。
試合は出れなくても練習はできるし、練習試合にも出れるしな。
明乃森だと練習すらさせてもらえないし、練習試合もろくに組ませてもらえないだろうし。そんな環境で野球をやるのは無理に等しい。
それに、転校したとしても、3年の春大会からは試合に出れるし、
2年生は体をイジメぬく期間にすりゃいい。体、細いからな。俺。
一色は浜辺を走る。汗がインナーに染みこんでいく。
スタミナ……投手ならもっとつけないとな……
一色は体をイジメぬいていた。
自主トレが終わり、自宅に帰宅する一色。
「ただいま~」
「おかえり。颯佑」
と声をかけたのは凪だ。
「おかえり、颯佑。今日の夕飯って何?」
と言ってきたのは風花だ。凪と風花、彼女たちは颯佑の姉だ。
凪は颯佑の6個上の22歳、風花は颯佑の8個上の24歳のお姉さんである。
「カレーな!」
とキッチンの方を指さす。鍋がカセットコンロの上に置いてあった。
凪が鍋の蓋を開けると、颯佑の言う通り、カレーのルーが入っていた。
そう、颯佑は練習前にカレーを作っておいたのだ。
「ということで、俺は先に風呂入っているから、凪と風花の2人は先に食べてていいぞ~」
と言い残し、風呂場へと向かっていった。
湯船につかる颯佑。天井を見上げる。
ふーーっと息を吐き、手でお湯を掬って顔にかける。
さて……どの高校に行くかな……
颯佑がそう思っていると、
突然、浴室のドアが開く。
「え?」
颯佑はドアを
なんと、姉の風花が全裸で浴室に入ってきたのだ。
「な……なんでお前が入って……」
颯佑は驚きを隠せなかった。風花は茶髪のロングヘアーが特徴の、スタイル抜群、高校卒業後、すぐに就職した社会人6年目の24歳だ。
「別に入ってもいいでしょ?」
「いやいや、倫理的にまずいでしょ」
と全裸でキョトンとしている風花を見ないよう、颯佑は目を逸らす。
「あー、なるほどね……もしかして、私の裸に興奮してる?」
「いやいや、そうじゃないし。というか、誰が風花の裸に興奮なんてするんだよ……」
「ああああああ!!それは酷い!!!」
颯佑は目を逸らしながら全力で否定すると、風花は怒っていた。
「じゃあさ!!なんで私を見て話さないわけ?」
「そりゃ……俺が風花の全裸をジーーっと見てたら、俺、変態扱いされるだろ……」
「大丈夫だよ。アニメキャラクターの入浴シーンや水着シーンを観てウハウハしてる颯佑は、私の裸を見ても見なくても、変態扱い確定だから」
「おま、何でそれを!!」
ととんでもないことを暴露された颯佑は振り向く。颯佑の目には風花の全裸が飛び込んできた。
風花の全裸を見た颯佑は完全に動かなくなった。
「ちょっと……大丈夫?颯佑?おーーーい!!」
風花は颯佑に声をかけるが、颯佑はびくともしない。
完全にフリーズした。
おっぱい……太もも……おっぱい……太もも……
おっぱい……太もも……おっぱい……太もも……
おっぱい……太もも……おっぱい……太もも……
「は!!!」
「うお!!びっくりした!!」
と颯佑はフリーズ状態が解け、声を出すと、風花が驚いた。
「大丈夫?」
「ま、まぁ大丈夫」
と颯佑は気を取り直して、風呂に浸かっていた。
風花は髪を洗う。颯佑はぼーーっと風呂の水面を見ていた。
風花が髪を洗っている間、颯佑は考えていた。
どこの高校に行くかということを。
県内、県外、どっちがいいんだろうな……
そう思っていると、
風花が浴槽に入ってきて、どぶんと浸かるや、
「いや〜〜仕事終わりの風呂は気持ちいいね〜〜」
と気持ち良さそうな表情をしてだらけていた。
俺の目の前で風花がくつろいでいる。
「風花、お前、男子高校生に裸見られてんだぞ。もっとこう……恥じらいを持ったらどうなんだ……」
「何よ……甲子園出場辞退が決定した弟を慰めようと、私が大サービスでお風呂一緒に入ってあげてるのに……その嫌そうな反応は!」
「サービスだったのかそれ……」
「何よその表情は!! 男子高校生の颯佑なら、私の全裸に、嫌なことも忘れてウハウハになると思ってたのに!!」
と悔しがる風花を颯佑は完全に呆れていた。
「で、私の全裸、どうだった? アニメキャラクターと比較して」
「まぁ、良かったな。うん」
「何よそのダルそうな感想は!!」
とダルそうに答える颯佑に、風花は怒る。
「ま、若い女性の裸なんて、見れる機会ほとんどないんだからね。目に焼き付けておきなさい」
「はいはいわかりましたーー」
と風花の発言を颯佑は軽く流す。
「それより、風花には内緒にしとくからさ……好きな人! いるの? 教えてよ!」
と凪が興味津々な様子で聞いてくる。なぜこの質問をしてきた?
「別にいないけど……」
「はあああああああああ!! つっまんな!!」
「悪かったな……」
と風花は天井を見上げながらがっかりした様子で言う。そんな風花に颯佑は完全に呆れていた。
「画面から出てこない彼女はいるぞ」
「はいはい。知ってる知ってる。冴えカノの加藤恵でしょ」
「違う。今はよう実の軽井沢恵だよ」
「はぁ? 心変わりしたの? 加藤恵可哀想」
「加藤恵も好きだわ普通に」
「ってことは……もしかして、二股?」
「二股? ざっと十股だな」
「はぁ? 十股? 颯佑、お前いつから伊藤誠になったのよ!」
「画面から出てこない彼女は何人でも作っていいんだからな!」
「何よそれ……」
と颯佑は嬉しそうに堂々と言う。いや、これは堂々と言っていいことなのだろうか。
「ってか、そういう風花こそどうなんだよ……」
「私? うーん……教えない!」
「それ、ずるくない?」
颯佑は風花に振り回されっぱなしだ。風花の表情がすごいニコニコしている。
「話変わるけどさ、颯佑ってすごいよね」
「すごい?」
「中学の時は軟式野球部のエースとして1年秋から活躍して、2年生の夏に東北大会ベスト4。明乃森に行ってからは、1年秋からエースとして活躍して、県大会を準優勝、東北大会優勝して、神宮大会では完全試合目前のピッチング……ほんと、颯佑はすごいよ」
「すごいのは俺じゃなくて、俺とリードする東坂先輩って人ね」
「東坂先輩って、よく颯佑が野球部の話をするたびに口にするよね。仲がいいの?」
「そうだね。先輩だけど、上下の壁ってか、そういったのを感じない、
フラットに話せる先輩だよ」
と颯佑は話す。
しかし、ここまで風花と話しているけど……風花の裸に目が慣れてないな……
意識を風花の目に向けようとするが、どうしても視線が顔より下に行く。
なぜだ。全裸は正義ってやつなのか……
「ってか、改めて聞くけどさ、甲子園、出場辞退するんだよね」
「うん、もう決まった。あと、甲子園辞退だけでなく、硬式野球部の無期限の活動停止と、部員募集停止もついてきました。」
「マジで? どうすんのよ。特待生とかいるんじゃないの?」
「幸い、野球部は今年、特待生取らないらしい……」
「特待生だけじゃないわ。明乃森高校野球部に入部するために受験した人もいたんじゃないの? そういう人達はどうするのよ!!」
「明乃森高校野球部入部希望者には救済処置あるってよ。他の私立の野球の強豪校がそういった人達を受験する機会を設けるとか……たしか東北学園がそういう救済処置を設けてたはず」
「さすが、東北学園ね……ともあれ、何とか受け入れに関しては大丈夫そうね……ホッとしたわ」
と凪は胸を撫で下ろした。
東北学園は宮城県屈指の強豪校であり、『宮城県高校野球強豪校四天王』のひとつである。今秋宮城県大会優勝、東北大会準優勝。昨年の夏の甲子園出場校。
『宮城県高校野球強豪校四天王』とは、東北学園、多賀城育英、青葉学院、宮城福祉大付属高校の4校を指す。
ま、事件が起こる前は、明乃森高等学校も加わって、『宮城県高校野球強豪校五老星』だったんだがな。明乃森高等学校の硬式野球部、やらかしたからな。
「で、颯佑はどうするのよ。明乃森高等学校に残るの?」
「転校したいとは思ってる。明乃森高等学校に残ってもしょうがないし……」
颯佑は悩んでいた。悩んでいたのは、転校先。
転校先も慎重に選ばないととは思ってる。
練習環境とかも大事だとは思うが、何より、大事なもの。
それは学費だ。
俺、風花、凪に両親はいない。両親は11年前に他界していて、
父、母の両親(祖父母)からの仕送りと、風花、凪の稼ぎで生活している。
俺は高校卒業から働いている姉妹に負担をかけないよう、
入学金免除、授業料免除の特待生として私立の明乃森高等学校に入学した。
俺は中学軟式野球で東北大会ベスト4に貢献したからな。
その実績を買われ、明乃森高等学校に特待生として入学することができたのである。
あとは、制服やバックといった学校の必需品も必要になってくる。
野球部の練習着やユニフォーム代も必要か。
という経緯もあって、俺としては、極力お金をかけたくはない。
颯佑はそう思っていると、
「転校するにしても、お金のことは大丈夫だから。
悔いのないような選択をしなさい。」
と風花は言った。
風花の発言に、俺は頭が上がらなかった。
俺が野球に打ち込むことができ、
私立の明乃森高等学校に進学できたのは、
風花と凪の支えがあったからだ。
風花と凪は大学に進学せず、高校を卒業と同時に就職した。
俺が小学校高学年から中学生に上がる時のことだった。
凪と風花が汗水垂らして働いて稼いだお金で、俺は野球をすることができたし、
私立の明乃森高等学校に進学することもできた。
「ありがとう」
「言っておくけどね。私と凪は颯佑のために、
大学に就職せず、就職したとかじゃないからね。
私達自身が就職したいと思ったから就職しただけだからね!
実際、今の仕事楽しいし!」
と風花は笑顔になる。
凪はアパレルショップの店員、風花は公務員である。
今の仕事が充実してそうで何よりである。
「で、颯佑的には、どの高校に行きたいの?色々あるけど……」
「うーーん……色々と考えているけど、県外もありかなって」
「県外ねぇ……」
「今まで宮城県から出たことなかったし、県外に出て、他県の人達と野球するのもありかなとは思ってる」
「その場合は……」
「寮だね。」
「そうなったら、朝食とか夕食、どうしようかねぇ……いつも颯佑が作ってくれてたし」
「そうなった場合は俺が料理、教えるよ」
「ええ? ほんと!! ありがとうね!!」
実際、颯佑は料理ができる。小4ぐらいから料理を始めた。
逆に凪、風花は料理があまり得意ではない方。
だから、仕事で忙しく、料理ができない2人の姉妹のために、
颯佑は朝食、お弁当、夕食を作っている。
時間もある程度経ったということもあり、
「じゃあ、俺、上がるわ」
と颯佑は浴室を出た。
風花は浴室に1人、取り残された。
ふっーーーと大きく息を吐き、天井を見ながら、
「……やはり……颯佑の……股間を見たけど……b」
「そういや言い忘れていたけど、風花、お前、俺の股間チラチラ見てだろ……」
と颯佑は腰にタオルを巻いた状態で
浴室のドアを開けた。
凪は浴室から出たばかりの颯佑が急に戻ってきて、驚きのあまりあわふためいていた。
「そそそそそんなわけないでしょ!!!だ、だいたい、なななな何で勝手に浴室のドアを開けてんのよ!!!」
「お前が向けてた視線をさっき思い出してな。一応、忠告しとこうと」
「そそそそそそ颯佑だって、私の顔から下に視線が向いていたでしょ!!!」
「な、風花、お前……気づいてたのか……」
颯佑はしまったという顔をしていた。
「そりゃそうよ。バレないと思ってた?」
「こ、こいつ……」
「男子高校生だもんね~女性の裸にはどうしても目が行っちゃうよね~」
と風花は勝ち誇ったような顔をしていた一方で、颯佑は、悔しそうな顔をしていたが、ここから反撃に出る。
「で、なんでお前は俺の股間ばかり目線が行ってたんだ?……風花、お前もしかして『颯佑、勃起してなかったな』とか思ってたんじゃないだろうな?」
「ななななな何言ってんのよ!!ぼぼぼぼぼぼ勃起なんて汚い言葉、使うんじゃないわよ!!!この変態!!!」
この焦りよう……間違いなく言っていたな。
と颯佑は呆れた様子であわふためく風花を見る。あわふためく風花を見ながら、颯佑は勝ち誇ったかのような顔をする。形勢逆転だ。
「ここここここの際はっきり言わせてもらいますわ!!
私の裸を見ておちんちんがイキリ勃たないとかどういうことよ!!」
「余計酷い言い回しになってるぞ。落ち着け」
と完全にテンパっている風花に颯佑は完全に呆れていたが、
凪のアタフタっぷりに少しだけであるが面白いとも思っていた。
「ってかな……そりゃ、あくまで姉と弟の関係だろ……いわゆる身内……
たしかに、俺は女性の裸には興味があるが、興奮かと言ったら、それは否だね……」
と颯佑は頭を掻きながら言う。
まぁ……姉のおっぱいと太もも、そして股間は……しっかりと目に焼き付けておきましたが……
「は、早く出なさいよ!!」
と颯佑の股間に目線が行ってたことがバレて恥ずかしくなったのか、風花は顔を真っ赤にしながら、颯佑に言う。そのセリフ、風花が俺が入ってる風呂に乱入してこなかったら説得力あるんだがな……
そう思いながらもはいはいとダルそうに言いながら浴室を出た。
そして、数分後に、風花がTシャツに短パン姿でタオルで髪を拭きながら
リビングにやってきた。
風花がリビングにやってきた頃には、颯佑はリビングに設置されてるこたつに入ってくつろぎながらスマホをいじってLINEで誰かと連絡を取っているようだ。
その誰かとは東坂だ。
東坂と今後ついて相談していた。
ちなみに東坂さんは高校野球を引退し、大学野球に向けて受験勉強を自主トレを頑張るらしい。鈴森さんも東坂さんのサポートをするとのことだ。
ネットニュースは、時間が経過しても、盗難事件のことで持ちきりのようだ。
テレビでニュース番組を観ても、やはり、盗難事件のことで持ちきりだった。
甲子園に出場予定の高校が、部活ぐるみで女子高生の私物盗むとか、盗撮するとか、ヤバい事件だもんなぁ……騒がれて当たり前だよな……
颯佑はそう思いながら、こたつから出て、自分の部屋に戻っていった。
そして、颯佑はベットにダイブした。
うつ伏せの状態で時計を見る。時刻は深夜12時だった。
どうしようか……颯佑は転校先のことで頭いっぱいになるも、肉体的にも精神的にも疲れたことから、深い眠りに落ちた。
翌朝。
6時00分に起床して、凪と風花のお弁当と、朝食を作っていた。これもう主婦だな。
颯佑ママだな。
6時30分。凪と風花がリビングにやってきた。
「おはよう」
「おはよう~~颯佑」
と風花は寝ぼけながら挨拶をする。すると凪が、
「今日はどうするの?颯佑?」
と聞いてきたので、
「ま、午後は自主トレするとして、午前中は両親の墓参りでも行こうかなと。近況報告を兼ねてね」
「そっか」
と颯佑は答えると、凪は椅子に座った。
凪と風花は朝食を済ませ、仕事しに行く準備を済ませると、
「いってきます」
と言って、家を出ていった。家の中はすごい静かになった。
2日目。俺は両親の墓参りに行くことにした。
俺たちの両親は観光業で働いていた。
だけど……俺の、凪の、風花の両親は11年前に起きた大震災によって
引き起こされた津波に流され、帰らぬ人となった。
俺が試合中に付けているこのネックレスは、両親の遺骨が入ったものだ。
今日はそのネックレスを付けて、両親に会いに来た。
颯佑は両親の墓の目の前にやってきて、線香を上げ、手を合わせた。
ごめん。父さん、母さん。
選抜甲子園、不祥事のせいで出れなくなっちゃったよ。
しかもその不祥事のせいで部活停止と部員受け入れ停止になっちゃって……
なんか、開始早々、暗い報告でごめん。
で、だから、俺、転校することにしたよ。
どの高校に転校するかはまだ決めてないけど。
あと、風花と凪とは今でも仲良くやってる。
そういや、昨日は風花が励ますためと俺の入ってる風呂に全裸で乱入してきたな。
笑えるだろ。
でも、俺のことを気にかけてくれてる風花は、ホントにいいお姉さんだ。
もちろん、凪もいいお姉さんだ。凪もなんだかんだ俺のことを気にかけてくれて……
だから、そんな、俺のことを気にかけてくれてる2人の姉のためにも、
俺、頑張るよ。
どんな形であれ、野球は続けるつもりだから。
天国で見ていてくれ。
以上。
颯佑は心の中で両親に話しかけ、その場を後にした。
それからはというものの、
体が鈍らないようランニングしたり、
素振りしたり、シャドーピッチングしたり、
野球の練習で忙しかったことから、観れていなかったアニメを観たり、
五等分の花嫁のゲームを攻略したり、ラノベや漫画読んでたりしてたら、
あっという間に1週間が過ぎていった。
日曜日の夜、颯佑は1週間休みの最後の日だからと、風花と凪と一緒に回転寿司に行って食事をしていた。
3人で仲良く談笑していると、颯佑の電話がブルブルと震えている。
担任の小松先生からだった。
そういや、小松先生、1週間の休暇の間、毎日電話かけてきたなぁ……
そう思いながら電話に出る。
「はい、一色颯佑です」
「どうも。小松です。一色くん、元気?」
「俺は毎日元気ですよ」
「ははは!! そうか」
と小松先生は颯佑が元気そうで安心していた。
「今日、何やったの?」
「そうですね……自主トレとアニメ……ですかね」
「ははは! 一色くんって、ほんとアニメ好きよね?昨日もアニメ観てなかった?」
「ど、どうも……」
と小松先生とのやり取りに一色は完全にタジタジになっていた。
「それじゃ、明日、学校行きますんで!!」
「うん。待ってるからね」
と颯佑は電話を切って、フッーと息を吐いた。
颯佑は席に戻ってきて、小松先生からの電話だったことを、2人に伝えた。
明日から学校か……颯佑は急に心配になった……
クラスの反応とか……1週間も休んでたし……
さらには硬式野球部が盗難事件の主犯格だったんだ……
硬式野球部員の当たりが強くなっていないか……心配だ……
どうなるのだろうか……
颯佑は不安でしょうがなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます