白百合

白い壁に、白い床、白いベンチ、小さな机の上の白い百合。あなたはそんな凛とした人だった。


握りしめたファイルに書かれた番号を探す。318番。初診はやはり緊張してしまう。興奮しないよう冷静に扉をあける。


白く包まれた白衣、可愛らしいピンクのペン、前髪は横に綺麗に流れ、オレンジの薄いアイシャドウ、目は透き通っている。医療用のマスクをつけて、慎ましやかに座っている。


「はじめまして、担当医の福本さやかです。えっと、」


彼女は優しく質問を重ねた。私は、曖昧な応えしかかえせない。右拳をギュッと握る。


「はじめては、緊張しますよね。よく応えてくれて、こちらもたかります。」


その一言に私は救われたのか、肩がストンとおちた。


先生の言葉一つ一つが私の心を解いていく。

そして、先生の口元をみたいと恋焦がれて。




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