ハナミズキ
「久しぶり」
7年ぶりの地元の友達。上京してから全く会っていなかった。少し大人の顔立ちになってはいるが、お互い変わらない。
「元気だった?」
彼女はそう言うと、悲しそうな顔をする。
「うん。元気だった。ゆいは結婚しないの?」
そういうと、彼女は私の目を驚いたように見て、そっと顔をそらす。小さな唇を震わせながら、口角をあげて、
「みきはいじわるになったのね。」
と寂しそうにいった。
「ねぇ、みき。私、今後どうしたらいいんだろう。高校は一緒だったけど、大学は離れてしまうでしょ?遠距離恋愛?になっちゃうね。」
「大丈夫!絶対ゆいのこと迎えに行くから!ちょっとの我慢だよ!」
そう言って彼女の唇にキスをした。まるで不安を消すように。そっと。
あれから、連絡をとっていたけれど…お互いに忙しくなって忘れ去られてしまった記憶。
今、ここにきて巡る想い。「ごめん」
2人の歩く街路樹には淡いピンクのハナミズキが咲いていた。
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