花ものがたり

たぬまる

春。新学期。桜の花びらがひらひらと舞っている。学校の玄関へ向かう学生たちは、みなきらきらと輝いている。私はそこに混ざれているだろうか。不安と共に新しいクラスへと入る。今までいた友達はまだ登校してないみたい。その間は、たまたま窓側の席だったゆえに、桜の木を眺めていた。


ぶかぶかの大きな制服、可愛らしいピンクのほお、前下がりな短い前髪、目元には小さな泣きぼくろ。今にも潰れてしまいそうなその小さい少女に心が惹かれて。


彼女は桜のほうへ消えてしまった。私に近づくと思うと胸は高まるいっぽうだった。


「あのこにまた、会えるだろうか。」


そうして新学期のチャイムが鳴った。


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