第22話 トルコからの助け舟
日本が治安悪化に見舞われる中、中東ではイスラエル・イスラム戦争が勃発しており、さらにトルコやシリア、イラン、イラクなども例外ではなくテロによる被害の方、確執が生まれていない国同士の情報戦が行われており情勢の雲行きも怪しくなってきていた。
最近ではトルコが日本国内でクルド人を支援している団体へテロ組織の支援疑惑をかけて活動資産を凍結したことで国際的な問題が起きそうになり、トルコ政府高官が日本政府へ謝罪をして事なきを得たがトルコの情報機関は少しきな臭さを感じ取っていた。
羽田空港
CAから落とした荷物を受け取りお礼を言ってから入国警備官の案内にした互い空港の外にある駐車場へ出てくるアラブ系に近い顔立ちの男性が数人で歩いてくる。そこにサラリーマン風の格好をした男がアラブ顔の男に話をかけた。
「すみません。トルコから来られたハリク(偽名)さんでしょうか?」
サラリーマン風の男はあらかじめ段取りを上手くしているようで手慣れたように先頭にいるアラブ顔の男に確認をする。
「おお。時間より早く来られたみたいですね。かなり待たせてしまいましたね。オカムラ(偽名)さん。」
アラブ顔の先頭もあらかじめ打ち合わせで決めていた偽名を呼びながら気さくに話した。
やり取りしているアラブ顔はトルコ人で国家情報機構の諜報員で、サラリーマン風の日本人男性は防衛省特務情報部要員である。
「これは我々トルコ当局は歴史長く親交のある日本にもクルド人極左テロ組織が暗躍しているという情報が協力的な一部のクルド人からタレコミがあったもんでね。その資料です。トルコ、日本、クルド人の外交を妨げる存在があるのも面倒臭いもんですね。あ、ちなみに日本語に翻訳してるのでご安心ください。」
トルコ国家情報機構の要員は防衛省特務情報部要員に封筒に入った書類を渡す。
「武器は国内に持ち込むのは原則不可能であるためあらかじめ用意された物を使ってもらうことになりますがそこのところご了承願います。」
特務情報部要員はトルコの要員に装備の手配について伝えた。
クルド人民革命軍 アジト
少し前ほど人民革命軍は組織に潜伏して情報を当局に流していたと思われるスパイと思われる男を監禁していた。
スパイと思われる男は椅子に座らされた状態で顔に土嚢袋を被せられており、メンバー達から尋問兼拷問をされていた。
チェック柄のジャケットを着た1人がアブナーイに案内をする。
「これはこれは。派手にやられたな。新しいアジトは知られてないから不幸中の幸いだが、いったい何の目的で誰からの指令で我らのとこに潜伏してた?」
アブナーイは拘束されているスパイに尋問を始めた。
「クルドと日本とトルコの足引っ張る悪魔の化身め!地獄で無双でもしてろ!」
拘束されていたスパイが尋問してきたアブナーイに暴言を吐いた。
アブナーイは問答無用、感無用に消音器付きの自動拳銃でスパイの頭を撃ち抜く。
頭を撃ち抜かれたスパイは土嚢袋越しに血を滲ませながら動かなくなった。
「まだ情報を聞き出せてないのに殺しても良かったのでしょうか?」
チェック柄のジャケット着た仲間がアブナーイに驚くように聞く。
「大丈夫さ。それにどっちにしろ吐かせなくとも俺はだいたい見当がつく。それにさっき行ってきたアジトも知られてないから問題ない。」
アブナーイはそう言って死体を放置して去っていった。
実際にクルド人民革命軍はスパイの他に殴り込みに来た私人逮捕系ヨーチューバーを闇討ちで捕獲して警察の足取りが掴めないように葬って邪魔な者は徹底的に排除している。
埼玉県 某所
防衛省特務情報部が管理している倉庫へトルコ国家情報機構の要員を招き入れて任務の際に必要になる装備品を取り出していた。
特務情報部の要員でありメタルソーセージというコードネームを持つ
ベレッタM9ハンドガンのサプレッサー取り付けができる派生型にCZ75ハンドガン、紛争地域の市場から手に入れたと思われるアサルトライフルのM4A1、HK416などが出てきて弾が入ってないのを確認してからトルコ側の要員が試しに構えてみたりした。
「この銃初めて扱いますね。こんなの特殊部隊でしか使うことができないからですが…。ストック(床尾)の頬をつけるとことか心地いい。」
トルコの要員はHK416を持って関心を示す。
「あと万が一の時に備えてプレートキャリアやタクティカルベストなども準備しているので好みに合わせて使うように。」
金創はトルコの要員に言った。
「改めてですが本名はNGにしてもコードネームだけでも教えるなりの自己紹介軽くしてもらいましょう。時間に余裕もできましたし。」
金創の同僚がトルコの要員に自己紹介を促す。
「アカラブ(サソリ)」
「カルカン(盾)」
「ケルベロス(魔犬)」
「ポイゾナス(毒)」
「カーガ(カラス)」
トルコの要員は1人ずつコードネームを名乗った。
防衛省特務情報部とトルコ国家情報機構のタッグで行われる任務は機密扱いで万が一、死亡してもお互いに関与しないという条件の元で活動することを承諾した。
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