第20話 山笠組全滅
アブナーイが合図してクルド人ゲリラ兵と日本社会解放軍の戦闘員が市街地戦の動画や本で学んだ通りに展開してドアを蹴破って突入した。
「死にさらせぇ!クソ共が〜!」
三笠組組長が44マグナム弾を使用するリボルバーを2丁持って撃ち続けてくる。
覆面を被った日本社会解放軍の戦闘員の1人目が目を撃ち抜かれて後頭部へ弾丸が貫通してもう1人が首を撃ち抜かれて死亡した。
「貴様が死ねやー!」
宇野がVz61スコーピオンサブマシンガンの弾薬を使い尽くす勢いでずっと撃ち続けた。
激しい銃撃音と共に三笠組組長は全身の至る所に風穴を開けられ、断末魔の叫びをあげる暇もなく口から血を吹き出しながら絶命する。
宇野はスコーピオンの弾薬が尽きたのを確認して動きを止めた。
遠くからサイレンの音が鳴り響き、アブナーイと宇野、赤松は警察が来ていることを察する。おそらく近隣住民がずっと銃声らしき音が聞こえていたから通報したのだろう。
「一通り、物資や金目の物を調達したらずらかるぞ。」
アブナーイは全員に撤退を通達した。
「間違いなくパトカー1台とかはバカな動きをしないだろう。機動隊か複数の警察が来てもおかしくない。障害物になるなら排除してとりあえず脱出しよう。」
宇野はそう言って部下を連れてあらかじめ確保しておいた脱出地点へ向かう。
『山笠組邸宅付近で銃声と思われる連発音が鳴ったと通報あり。近場を巡回中の警察官は直ちに現場へ急行するように。』
警察無線を聞き取ったパトロール警官もサイレンを鳴らして三笠組邸宅へ向かい、複数のパトカーのサイレン音が交互に鳴り響き、通りに数台が通っていく。その中には覆面パトカーや機動隊輸送バスの存在も確認された。
到着した警察官が防弾盾を持って後ろに追従する警察官も回転式拳銃を構える前の状態で持って待機する。
機動隊も特撮映画みたいにバスから急いで降りて展開してその後に銃器対策部隊も降りた。
機動隊の中にある銃器対策部隊はRAT(埼玉県警機動戦術部隊)が来るまでの初動要員として命令が出るまで待機している。
一方で宇野達、日本社会解放軍が運転している車両は警察のパトカーや機動隊輸送バスとすれ違ったが警察官は彼らを不審に思ってないのか全く気づかずしてすり抜けられた。何にせよ現場へ急行するのに手一杯なのもあったのだろうけど。
警察官が銃器対策部隊や機動隊と共に建物の前に近づこうとすると、突然山笠組邸宅が大爆発を起こした。
至る所に何段階かで分けられたみたいに爆発して警察官や機動隊、銃器対策部隊も驚いた勢いで地面に伏せる。
「お前ら怪我はないか?無いやつは反応しろ。」
警察官が同僚に叫んだ。
「証拠隠滅完了。」
アブナーイはにこりとつぶやいてからタバコに火をつける。
「山笠組の奴らそんなに大した武器持っていなかったな。それなりの資産は持っているようだが。」
宇野はバッグやケースに入っている札束や宝石類を見てアブナーイに話した。
「今頃、テレビで暴力団幹部宅が爆発。と速報で出るか出ないかですね。」
赤松は宇野に言う。
爆破された山笠組邸宅周辺にはパトカーのサイレンはもちろん消防車や救急車のサイレンの音も響いており、付近の町も住民が何が起こったのか不思議で騒いでいた。
「山笠組と対立してる組織の抗争か内部争いが原因なのかな?」
「いくら対立しているとは言え、そこまでしないだろう。」
「でも一部ではどこか銃声がいろんな所から聞こえてたらしいよ。」
近所の町に住む住人は事件について憶測し合って話している。
消防車から消防士が降りてそれぞれ役割に応じた動きで消火栓にホースを繋げて、消火活動をしていた。
しばらくして火が消えた後は警察が捜査を始めて一部の警察官や刑事が住民に聞き取りを始めている。
その頃、アブナーイ達は仲間や宇野達が率いる日本社会解放軍の戦闘員と共にアジトへ戻っており、使い切ったVz61やUZIのマガジンを回収して、その後に調達した銃器や金銭を把握した。
宇野は帰って来てからワンセグでニュースを確認する。ワンセグの画面には三笠組の邸宅が爆破されて大火災になっていることが報じられていた。
『速報です。埼玉県郊外で起きた暴力団三笠組邸宅で爆発が起きた事件で埼玉県警が捜査をしたところ近くで銃撃音が聞こえたとの通報があったことが明らかになりました。それから三笠組組長と捜査4課に所属する刑事の遺体が見つかりました。今回の事件に別の組織の関与の可能性が高いとしてさらに調査を続行することになりました。』
ニュースキャスターが事件について驚きを隠せないながらも解説を続けた。
「日本のマスコミも流石に気付いていないだろうけど問題は警察がどう動くかやな。特に公安。俺ら目をつけられているのは想定内だがしばらくはほとぼりが覚めるまで大人しくしておいた方が良さそうだな。」
宇野はアブナーイにしばらく表に極力出ないように案を出す。
「覆面をしていたがどこかしらで顔を見られてる可能性高いな。部下にもそう伝えておくよ。」
アブナーイは宇野にそう言った。
まだまだ日本社会解放軍とアブナーイ率いるクルド人勢力の波に乗った勢いは止まらない。
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