第19話 抗争
日本社会解放軍はクルド人武装勢力と同盟関係を結ぶことでとりあえずは裏社会を浄化することにした。
アブナーイは中東の正規軍払い下げのM65フィールドジャケットを羽織って、中の脇部分のショルダーホルスターにグロック17自動拳銃を装備して腰部分の分かりにくい場所にダマスカス鋼のサバイバルナイフを装着する。
「さすがはダーイッシュから恐れられているだけありますな。提督。用意周到だな。」
宇野はアブナーイのナイフを見て話す。
「どっちにしろインドア戦になる可能性も高いだろうからな。ステゴロじゃ無理な時のお守りとなるだろう。」
アブナーイは宇野にそう言って装備されたグロック17の点検をした。
「装弾数17発良し。」
装弾された数を確かめて部下にも武器の点検をするようにうながす。
それぞれ、弾の数や武器の総数を確認してあらかじめ用意していた車両に積載していった。
1人ずつキャラバンや軽バン、ランドクルーザーに乗って埼玉県の郊外へ向かう。
埼玉県 郊外 稲海会傘下 三笠組邸宅
今では暴対法により暴力団の存在意義が薄れていき高齢化が進む中、半グレからのし上がった幹部らが牛耳るようになっているようだが古株の幹部達もまだ現役と言わんばかりにそれなりに邸宅を守っているようだった。
日本国内の治安悪化が騒がれている中、彼らも他人事ではないと感じているのか広い庭園を若い構成員が巡回しており、一部の構成員が池の錦鯉に餌を与え、歪に生えた木の枝をノコギリで切り落としたり作業をしている。
三笠組組長は相変わらず今どき吸うなら贅沢とも言える葉巻をふかしながら今月の闇商売での売り上げを確かめていた。
「クルド人を奴隷にして働かせた分稼げるのは良いが奴らに寝首をかからないようにしないとな。」
「これはこれは、組長さん。随分と懐が大きいのですな。」
独り言を呟く組長の元に渋い背広を着た男が話しかけた。
「おお〜。マル暴(捜査4課)の黒本さんじゃないか?というか
組長は束ねられたお札を黒本に軽く投げて渡す。
「さっすが組長、男だなぁ〜。って悪あがきで稼ぐのもほどほどにしてくれよ。俺も人んこと言えねえがよ。」
黒本と呼ばれる男は冗談混じりの口調で喋り続けた。
「あ、それと今、クルド人のことでよ?マフィアだか反社だか密かに勢力を拡大していってるから気をつけろよ。そして何よりも最近、公安やらが動いてるから出張って気張ってクルド人の悪人を相手にするのはやめておけ。事が大きくなればこっちも庇いきれないからな。」
黒本は組長に忠告をする。
黒本は三笠組に出入りしては組長に金銭をせがんだりして懐にしまって私腹を肥やそうとする典型的な悪徳警官で過去に麻薬犯罪検挙率が高いことで高評価を得ているがその実態は隠し持ってた大麻草やLSD、MDMAなどを出して所持していたといいがかりをつけて冤罪の不当逮捕をしていると噂されていた。
「その時はあんたのお得意のやり方で頼むわ。」
組長は黒本に適当な頼みをする。
その時、突然、銃声のような音が聞こえてきた。しかも猟銃で鹿や熊を撃つような音ではなく、明らかに連射するような音だった。
「おい、誰だ?勝手にハジキ《銃》を使ってる野郎は?!」
組長が監視カメラを確認すると覆面や仮面を被った集団がVz61スコーピオンやミニUZIと言ったサブマシンガンを装備しており、植木の剪定作業や鯉の餌やり、庭の清掃をしている無防備の組員を射殺していた。
そして1人が監視カメラの存在に気づき、サブマシンガンを連射して破壊する。
「なぬ…?カメラまで破壊しやがって…」
組長は長年飾ってあった日本刀を取り出して相手が部屋に入って来るのを見越して待ち伏せしようと考えた。
そして雑用の当番ではない組員達も拳銃やショットガン、ドスや日本刀、ナイフ、金属バットを持って駆けつけていく。
「きさんら(貴様ら)何してくれとんじゃこらぁ!」
血の気の多い組員達の内、ドスやナイフ、金属バットを持ってやけくそに飛びつこうとした。
覆面、仮面の集団は遠慮なく乱射して鈍器や刃物で武装したチンピラ達を見事に一掃する。
「バカめが。室内の接近戦なら鈍器にナイフ類はいけるだろうけどこんなところで叶うわけねえだろうが。」
1人が覆面を剥ぎ取った。
覆面を剥ぎ取ったのはアブナーイで一掃された組員の死体を踏みつける。
拳銃や猟銃を持った組員は即座に折り畳み机や本が一冊も入っていない小さな棚、椅子で遮蔽物を作ってアブナーイ達を待ち構える。
三笠組も突然の出来事で襲撃してきた者の正体も分からずパニックになっており、その先にアブナーイ達の連中に攻撃されていることに全く気ついていなかった。
どこでも出回っているベレッタやグロックなどの自動拳銃で三笠組の組員達が迎撃を始めるが圧倒的にアブナーイが無双するように次々と彼らを葬っていく。
「ふっ(笑)、喧嘩慣れしかしてない素人共がこんなもん扱えるわけねえだろボケが。」
アブナーイは小馬鹿にするように鼻で笑って無惨に息絶えた組員に小言を口にした。そして組長の元へ向かった。
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