第15話 極左暴力集団の再来
失われた時代と言われるほど没落した日本に新たなる影が忍び寄ろうとしていた。それは極左暴力集団の存在だった。
まだ日本国内の内政が不安定だった頃、反資本主義、反自由主義、反民主主義、反戦、社会主義、国家主義、無政府主義などの思想が絡んだ学生運動から暴動に発展して警官隊と呼ばれる警察機動隊との衝突、そしてテロ事件へと発展するまでの騒ぎを起こした団体でもあった。
今を生きる世代の親がまだ生まれてるか生まれてないかの時代にそう言ったことが起きていた歴史があること知るものは今の時代では減って来ている。そしてその当時は激動の時代の一つでもあった。
長野県 日本三大雪渓 針ノ木雪渓
長野県大町市と富山県中新川郡立山町にまたがった北アルプスに所在する後立山連峰の山で夏になっても雪が残っている付近を団体が何かトレーニングをしているかのように登っていた。まるで軍隊の行軍訓練みたいだった。
他の登山客も彼らを見て少し感心を示しながらも多少なりとも驚いている。
「今から少し休憩とるけど体調が悪くなった者はすぐに教えてもらうようによろしく。万が一は大丈夫な面子でフォローとカバーをしてもらう。」
いかにも登山家的な男性が仲間と思われる人々に声を張って伝達をする。
「体調が悪い人がいたら教えるように。」
前の列にいる人が後ろの人に教え、最後尾の者に届くように伝言ゲームのように言っていく。
「銃と装備は今のところは何もなってないな。」
男はそう言って先端が少し短い筒状で後ろにグリップがついているような物体を取り出す。
AKS74U自動小銃で通称[クリンコフ]と呼ばれるAK自動小銃を特殊部隊、車両航空機搭乗員向けにコンパクトにして消音器も取り付けられるモデルにした物だった。
「今、ロシアやウクライナから入手するのは難しいし最悪は中東やアフリカから長いスパンで手に入るのを待つしか無くなるから大事に扱えよ。」
リーダー格の男が全員に伝えた。
彼らこそがかつて暴力で革命を起こそうとする極左暴力集団と呼ばれた左翼団体の再来とも呼べる存在で今回は山岳地帯における軍事訓練をしているようだった。
山岳地帯を駆け抜ける団体は「日本社会人民軍」を名乗り、近年、密かにメンバーでカンパした資金で武器調達をしたり右翼団体のメンバーをドスで刺し殺したりして逮捕者が出るほど好戦的な左翼暴力集団とも呼べるテロリスト同然の組織である。
数日後
密かに買い取った山岳地帯の山で日本社会解放軍のメンバーは銃声で音が鳴ってしまわないようにAKS74Uにサプレッサーを取り付けて自作した的に確実に当て、どこかしら当てられるように射撃訓練を始めた。
「撃て!」
訓練指揮を取る男が叫ぶと同時にパシュ!パシュ!と音が鳴って的を模した設置物が見事に粉砕されていく。
全員が撃ち終わると「リロード(装填)!」と言う合図と同時にマガジン(弾倉)交換をして再度射撃を始めた。
射撃訓練が終わると次は手榴弾をはじめとする爆発物を
「今のところは、ここまで公安や*内調が尾行して来ることはそうそうないが周囲の警戒はいつ何時も油断はするなよ。」
中堅メンバーと思われる男は仲間に注意喚起した。
*内調…内閣情報調査室で日本版CIAと呼ばれている。
リーダーである
「今の所、尾行と張り込みはありません。」
ドライバーは宇野に報告をした。
「了解。よくやった。」
宇野は軽く返事を返す。
ランドクルーザーはそのまま峠道を駆け抜けて行った。
宇野大樹は元々、幼少期から中学に上がるまで空手道をしており中学から3年間野球部に属して高校でテコンドーをしており、高校卒業後はシンガポールに行き6年間、陸軍に所属して除隊後は日本社会解放軍に入っている。
長野県 某所 アジト
針ノ木雪渓での訓練が終えてそれぞれケースに入った武器を中に収納して爆発物は厳重に管理を始めた。
「銃は現時点でAKS74U、CZ75自動拳銃、SVD狙撃銃、TNT爆薬に即席爆弾(IED)、旧式のロケットランチャーRPG2それぞれ異常なく管理できております。」
武器取り扱い専門のメンバーが宇野に武器管理の状況を伝える。
「これを地道に集めて管理しておけば多少なり規模もマシになるだろう。」
宇野はメンバーに見せてもらった武器を眺めながらつぶやいた。
「後は人員をもう少し集まればそれなりに良さそうですね。」
メンバーは宇野に意見を言う。
「それは問題無い。海外でも同じ思想、同じ価値観、そして共通の敵がいる組織が協力してもらえるよう手配しているから心配無用。」
宇野は人員不足に頭を抱えたいるメンバーにそう説明した。
現在、日本社会解放軍が連携して協力関係にあるのはインド毛沢東主義派の兄弟組織やロシアマフィア、フィリピン新人民解放軍、ボリビア革命軍、東南アジアのポルポト主義派、
時には協力関係に当たる組織に対して日本社会解放軍から人員を送り出すこともあった。
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