第8話 テロリスト教団④決行の時
世界終末救済会のメンバーは完全無名の時から国家転覆の第一歩として国家樹立をを目論んでいた。国家転覆まで辿り着くかはどうかもしても国家の樹立は最低でも成し遂げるべきだと教団もずっと考えていた。あの淫夢天空教でも果たせなかったことを果たすのが目標である。
ダニー赤腹がまず最初に目につけたのは淡路島だった。
淡路島は別名「パソーナ島」と呼ばれていて人材派遣、人材紹介を始めとする総合人材サービス企業である株式会社パソーナが地方創生の名のもとに農業、工業の活性化、独立を目指すチャレンジイベントを皮切りに人材誘致による独自の地域活性事情に取り組み、食、文化、芸術、健康、教育の雇用を島内で確保する目的で運営されることになっている。
ダニー赤蝮は一通り、街のようにインフラ設備がそれなりに整っており、観光名所である島であるということに目をつけていた。
現に株式会社パソーナは本社機能の分断に伴って人員をそちらに移住させたり、もし移住を拒めば自主退職に追いやるという方針を取っている。そして派遣社員も多く島に住んでいるのであった。
元から計画されていた「淡路島独立」を決行するつもりであり、もし成功したら世界終末救済会を宗派として終末救済党という政党を立ち上げて「淡路名東公国」《あわじみょうどうこうこく》を建国して国家樹立宣言をするつもりである。
1ヶ月後
淡路島に交通アクセスできる北の明石海峡大橋、南の大鳴門橋に軽自動車の部類である軽バンや大きめのキャラバン、ハイエース、そして4輪駆動車が長い道のりを駆け抜けた。
教団が集めた戦闘員や諜報員、特別行動班らはとうとう淡路島占拠を実行に移すときが来たのである。
もうすでに情報収集班による現地の把握、現地偵察を行っており、今のところ警察の取り締まりや巡回が少ない日であることを把握していた。
段取りとしてはまず、メンバー達が警察署と駐在所を襲撃して、それから目標はパソーナグループ妄想舞台オフィスを始め、淡路妄想舞台、グランドニッコー淡路、淡路妄想舞台温室、国際会議場などを一斉に占領してから建国宣言をするというものだった。
人員は万が一の為に、海外に浸透している信者を戦闘員として入国させたりしているがこれからは淡路島を国土とするため、役職を持った者全て総出で蜂起することになっている。
目的地に到着すると目立たないように一般人とほぼ変わらない格好をした戦闘員や特別行動班などが密かに駐在所を消音器付拳銃で襲撃して警察官の死体を隠してから「巡回中」と書かれた札を出した。
「こちら01、大町駐在所制圧!」
「こちら02、塩田駐在所制圧!」
交番を襲撃するように命令を受けた特別行動班は次々に報告をしていく。
班長である守川は報告を聞き取って地図に○印をつけて制圧完了の確認をした。
しかし問題は警察署だった。淡路島には警察署が二つあり、一つ目は淡路警察署、二つ目は津名西分庁舎だった。
「何回も同じこと言ってしまうが死体だけは絶対に見つからないようにしておけよ。」
守川は特別行動班の班員にメールを打った。
本当はトランシーバーでやり取りをしたかったが電波法など法的にもややこしいし万が一、メンバーの誰かがしくじって総務省がこちらに来訪するとなると厄介なのが分かっていたからだった。
そしてドンハやトール様ことダニー赤蝮は先にパソーナグループ妄想舞台オフィスに入ってトイレへ向かう。その後に清掃員や外部委託業者になりすました戦闘員達が入り込んだ。
国際会議場や妄想舞台温室など他の建物にも同じ方法で入って、怪しんで声をかけてきた警備員の首をカランビットナイフやコンバットナイフで切り裂いてあまり人が来なさそうな場所へ隠す。
それから受付の男性に質問するふりをしてとっさに銃を構えて大人しくして叫ばないように促した。
作業服着た戦闘員は設備点検と言って1人の警備員に対して1人ずつ近づいてナイフで切り裂くなり射殺するなりしてセキュリティールームを
「セキュリティールームクリア。」
設備点検を装った戦闘員は任務用の携帯電話で報告をした。
「とりあえずご苦労さん。取り敢えず装備に着替えたらオフィスにいる全員を人質に取るだけ。こっちが最後みたいだから
ドンハはソシオパス気味な表情を浮かべてニコリと笑いながら通達をする。
敷地内には完全武装の装備をした戦闘員が車の中に隠れて、外に出ている仲間は一般人や警備員、草刈りをする剪定作業員を障害物同然として排除していった。
しかし、いつも来ている清掃員と服装が違うと思ったのかたまたま通りかかったパソーナ社員がじっと清掃員風の戦闘員達を見つめる。
「あなた方はどちらの業者さんですか?」
パソーナ社員が戦闘員に質問をする。
「これからここを乗っ取る者だよ。」
戦闘員の1人がとっさに自動拳銃を取り出して首と胸を、頭を撃った。
パソーナ社員はもちろん即死だった。
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