第6話 テロリスト教団② 裏の正体
世界終末救済会は表向きはプレッパー向けの戦争、災害、疫病、ディストピアなどの終末に備えて全員で備えを共有し合いながら教祖であるトールことダニー赤腹を崇め、教団を崇拝する同好会に近い新興宗教であるが裏では黒い噂が流れていた。
修練に耐えられず逃げ出した者を捕まえて暴行を加えたり、全ての生活感が自衛隊漫画や韓流の軍隊ドラマで見る軍隊様式だとか、実はは半分テロリストを養成するための訓練を修練と称してさせている、入会した者の何割かが行方不明などの話が一部のマニアや好奇心旺盛なライターや小説家、動画クリエイターの間で広がっている。
しかし、実際に事件を起こしていないし、これと言った証拠や情報が無いから確証もなければ信憑性がない。そのため、警察も捜査に乗り出すことができないのであった。だが一度脱会希望者が出てから弁護士が動く騒ぎが起きたことで危うく教団存続の危機になりかけたが結局なうやむやの状態になっている。
新規入会者が集められて次々とレジアスやキャラバン、ハイエース、軽バンなどの車に乗せられて連れて行かれたところは山間部にある修練所と呼ばれる場所だった。
車から下ろされてしばらくするとカーキ色や迷彩柄、黒や紺色の軍服のような戦闘服のような服装をした男達が出てくる。
驚くことに全員、腰に弾帯と呼ばれるピストルベルトやタクティカルベルトにホルスターをつけていたりして中に拳銃(ハンドガン)やその他、自動小銃まで装備している者が出てきた。
「あの銃、本物か?」
「いや、どうせエアガンかモデルガンだろ。軽く護身術習ったあとサバイバルゲームでもするんだろ。」
「ここに来てる奴らただのミリオタかよ。」
拍子抜けした入会者達は貶すように談笑を始める。
「まあまあ、これからが本当のお楽しみですよ。きっと皆さん、がっかりしないと思いますよ。」
ドンハは相変わらず流暢な日本語でウキウキ感を出して全員に言った。
そして穴を掘って削って出来たようなトーチカ風の建物に案内されて行くとニュースや映画、ゲーム、漫画でよく目にするAKシリーズやM16シリーズなどの自動小銃に警察特殊部隊が使っていそうなサブマシンガンまで多岐に渡る銃火器があり、1人の男がAK74を構えて突然、的に向かって射撃をはじめ出す。
いきなりの激しい銃撃音に新規入会者は驚いて言葉を失うものが多くいた。最初の貶して茶化す余裕があっという間になくなっていく。
「それでは皆さん。お遊び感覚のお客様タイムはおしまいだ!今から本格的に修練へと移行する。」
さっきまで穏やかだったドンハが優しい口調から凛々しい軍人風の口調への変わり様に豹変する。
全員、相変わらず唖然としてみんなでチラ見をし合った。
「返事は?」
現用の陸自迷彩のレプリカ作業服を着た男が全員に言う。
「はい!了解しました!」
また1人がそう返事したことに釣られて全員も同じように返事をした。
全員、初めて銃を見たのかまるで雪女に凍らされた村人みたいに固まっている。
まだ猟銃とかならなんとなく分かるけど軍隊や警察が使っているようなマシンガンと言うべきぐらいの代物でしかも銃社会ではない日本では確実に違法なのは言うまでもないぐらい分かりきって
いた。
「銃声が山に響き渡るって思うかもしれないけどこの建物は防音で跳弾対策もできているから安心していいぞ。」
強面の戦闘員らしき男が入会者全員に話しかける。
それから道場へ案内されて本格的な修練が始まった。まずは各人、与えられた時間内に準備運動をしてから教官らしき人の指揮の元で格闘の演舞や空動作による練習、そして与えられた銃やナイフを使っての攻撃練習などをさせられる。それから修練の時間が終わると宿舎へ案内される。
宿舎は韓流の軍隊ドラマでみる完全に集団生活前提の作りで悪く言えば一昔前に映画化された漫画「カイジ」のような世界を彷彿させる作りだった。
修練という名の修行というより完全に軍事訓練みたいだった。
それから手榴弾や爆弾の扱い方、そして対戦車弾の基礎的な扱い方などを教えこまれ、呑み込みが悪い者は夜通し修練でかなり苦労しているようだった。
教官役の恐怖政治と素人ながら過酷な自衛隊のレンジャー教育並みの訓練による超絶の疲労によって思考力を奪われて気がつけば全員と言って良いほどの入会者が教団の意向に染まってしまっていく。
脱走者が出れば元自衛隊レンジャー出身の戦闘員が追跡して同じことをされないように確実に殺され、死体処理及び遺棄(証拠隠滅)は修練(研修・修行)中の者に手伝わせて犯罪の片棒を担がせた。そうすれば結局仮に逃げ切って家族や恋人の元に戻って警察に泣きつこうなんてことができないと教団側は判断したのだった。
入会者は外国人も含まれており人種には寛容だが特別扱いするということもなければエコ贔屓することもない。全員平等である。
このように世界終末救済会は新規の入会者に修練の際に犯罪の片棒を完全に担がせることで簡単に脱却ができないようにした。
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