第3話
「なんでここに?」
「話をしに来ました」
「作戦ならいつも通り」
「それじゃダメです。私は貴女の相棒です!一緒に戦いたいから希望したんです!」
「必要ない」
「必要あります。貴女は私を……皆をいつも守ってます」
雫は誰よりも前に立ち誰よりも多くの敵を倒す
結の初陣である基地破壊の作戦においても2人がいた第3部隊は死者が0名だった
「でも貴女を守る人は居ません」
「私は強いだから守られる必要は無い」
「いえ必要あります」
「なぜ断言する?」
「……後方に居る人達に戦っている人たちの映像が流れるのは知っていますよね?」
「知ってる……戦いがどう行われているか知る為に」
当然人が死んだり大怪我を負うので見てない人は居るがそれでも多くの人々がその映像を見ている
当然その映像の中には雫達がいる基地の戦闘も含まれている
「私はその映像で貴女の戦う姿を見てました。美しく戦場を駆け敵を殲滅するその姿を見て私は貴女に一目惚れをしました」
「は?」
流石の雫でも動揺する
(一目惚れ?)
「それと同時に貴女は1人で戦っていて何処か悲しく辛そうに見えました……私は貴女を守りたいその為に強くなってこの基地に来たんです!」
感情のままに叫ぶ
今まで言えてなかった分も全部吐き出す
「私を守る必要は無い」
「必要あります!必要無くても守ります!貴女を必ず、その為にここに来たんですから!」
「要らない、守らなくても……ペアも要らないのに」
雫の様子がおかしくなる、何処か怯えているように見える
過去の出来事で雫は仲良くなった人々を仲間を失う事に恐怖を覚えていた
仲良くなることを避け周りから距離を置いていた
1人で戦い続けていたのも仲間なんて要らないと周りに示す為に
(あの時余計な事を言わなければよかった……)
雫は1本の剣を作り出す
具現者は名の通りそれぞれ決められた武器を無から作り出す(同時に作れるのは最大でも2本)
「斬姫」
名を呼べば直ぐに手元に現れそれぞれの固有スキルを発動出来る
雫の斬姫は任意で傷口を広げる事が出来る、切った場所によってはかすり傷すら致命傷にする事も出来る
「力を示せばいいんですね……幻影剣舞」
結の幻影剣舞は二刀一対の刀
1つの剣と2つの刀とぶつかり合う
本来訓練や模擬戦以外での隊員同士の戦闘は禁止されている
バレれば相当の罰が下される
実力は雫の方が上なのに押し切れない
(能力?)
結はまだ能力を使っていない、攻めきれない理由は雫本人にあった
「いい加減にして」
「いい加減認めてください」
「断る!私のペアになれば貴女は死ぬ」
「……死なないとは言えません!ですがこのままじゃ貴女が死んでしまうじゃないですか!」
「私の命なんてどうでもいいでしょ!」
「良くないから言ってるんですよ!」
剣を振るいながら2人とも感情的になり言い争う
「私のペアになったから彼女達は死んだ」
「彼女達がどうして亡くなったのか聞きました!が貴女のせいじゃない」
「違う私のせい、私が弱かったから私が気付いてれば、もっと早く助けられれば……」
「幻影剣舞!」
能力を発動する
結の体が斬姫をすり抜けて懐に入る
そのままの勢いで雫にぶつかり押し倒す
「すり抜けた……」
「私の幻影剣舞は物体を任意ですり抜けることができるんです。最も1度使うと10秒間は使えませんが」
「私はまだ……」
腕を抑えて無防備な唇に自分の唇を重ねる
(!?)
数秒重ねた後離れ笑顔で負けを宣告する
「貴女の負けです」
「……なんでここまでして」
「好きだからです、命をかけて守りたいと思うのにそれ以上の理由は要りますか?」
「……そんなの知らない」
この一件以来雫は今までとは違いしっかりと結を作戦においても含めるようになった
「何かあったな」
変化にすぐ気づいた澪に雫は速攻弄られていた
「何も無い」
「そりゃ無理あるぜ〜結これからもこいつと仲良くな」
「はい!」
距離が近くなった結と前と違い少し感情を表に出し始めた雫、傍から見ても関係は良い方に進展しただろう
それから数ヶ月経ちまた基地破壊作戦が行われる事となった
前回より近い位置に侵略者の基地を見つけたという報告があった
それも前回よりも大きい基地が
「今回の作戦は……前回よりも侵略者(ブレイカー)の数が多く警戒範囲が広い」
「今回は部隊数も多いんですよね?」
「あぁ、複合部隊が8個だ……人員は軽く前の倍以上居る。今回は前回以上の大規模作戦になる」
「他の基地からも人員を派遣するレベルは確か10数年前以来とか」
不要な話は無しで作戦開始を待つ
前回と同じように別れて殲滅しつつコアを探し破壊するという物らしい
最も1つの道に2部隊の配置となる為前回とは少し違う
「今回も違う部隊のようだな……死ぬなよ?」
「分かってる……今回ばかりは死ぬ訳には行かない」
「先伝えておかなくていいのか?」
「後の方がいい」
「まぁどうなっても後悔しないようにしろよ。伊織行くぞ」
「うん……2人ともまた会おうね」
澪と伊織は自分の部隊の元へ向かった
「私達も行こう」
「は、はい、先程はなんの話を?」
「気にしなくていい」
「気になります」
「これが終わったら結にも言うから」
「絶対ですからね?」
「絶対伝える……だから生きて勝つよ」
「はい」
『これより掃討作戦を開始する!』
作戦開始のアナウンスが流れ作戦が始まった
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