フラッパーゲート。
焼肉ではしゃぎ倒した私たちはついに、東京都銅級ダンジョン管理区に辿り着いた。仰々しく言ってるけど要は代々木公園である。
けど、銅級ダンジョンが発生したせいで代々木公園は公園では無くなり、ダンジョンを管理する為の場所になってる。未だに代々木公園と呼ばれるのは、それが一番分かり易いからだ。
なので正式には東京都銅級ダンジョン管理区代々木公園跡地、が正しい呼び方なのかな?
とにかく、私たちは代々木公園までやって来た。
ダンジョン管理区に生まれ変わっても、結局はダンジョンと言うある種の
もちろんダンジョン周辺は管理する為に手を加えられてるので例外だが。
そんな代々木公園だが、それでもあえて変化を挙げるなら、ダンジョンに来るアタッカーの為の駐車場が足りなかったので増設された事だろうか。
とは言っても、代々木公園の周辺に大型のパーキングビルが三棟ほど建っただけで、代々木公園の形が変わった訳じゃない。
やっぱりダンジョンその物から近い代々木公園内の駐車場が人気だけど、パーキングビルは公園から遠い分だけ料金が安く、ダンジョン泊までして潜ってるガチ勢はむしろパーキングビルを好んで使ってるらしい。
「さてさて、お母さんは自分の武器を持ってね。ケースからはまだ出せないから、そのままね」
「あら、どこで装備するのかしら? ダンジョンの中?」
「うんにゃ。ダンジョンの近くに専用の更衣室があるの。そこでやっと装備品をケースから出せるよ。ちゃんと場所を限定しないと銃刀法的にダメなんだってさ」
代々木公園は立派に政府の土地なので、武器の装備は余裕でNGだ。管理区に生まれ変わったと言ってもまだ公園の側面を持ってる代々木公園は、一般来場者も多い。
園内で好き勝手に武器を持たせてちゃトラブルばっかりで話しにならない。
「そんな訳で、ダンジョンと外を繋ぐ『中継地点』が設けられてるの。ダンジョンアタッカーはその区画でだけはダンジョンの中とほぼ同じ様に振舞って大丈夫。まぁ法律は適用されるからトラブルはご法度だけど」
そのダンジョンと外を繋ぐ中継地点数を、アタッカー達は通称『ロビー』と呼んでるそうだ。
ダンジョンアタッカーの数に対応する為、大量のプレハブで更衣室を作ったらしく、ちょっとしたアパート団地みたいな空間になってるらしい。
「更衣室は時間貸しで、鍵も受付で管理してくれるんだってさ。ライセンスに紐付けで管理してくれるから盗難とかは考えなくて大丈夫。一応、ライセンスを発行してない
ダンジョン泊の予定は無いけど、それでも特に園内の駐車場を使う意義を見いだせなかった私達は普通にパーキングビルを利用して、荷物を担いで管理区に入った。まぁ荷物が有るのはお母さんだけなんだけど。
銅級ダンジョン本体は代々木公園中央広場辺りに発生してて、中央広場はほぼ全域がロビーになってる。つまりプレハブ村だ。
元々の中央広場はどこからでも入れた広々とした場所で、私はその場所のドッグランを目指してナイトとお散歩してたら迷宮事変に巻き込まれた。
だけど、ダンジョンを管理する関係上、
なので、中央広場跡地だけはグルっと壁に覆われてしまって、入場を管理されてる。
他の場所は前の代々木公園そのままなんだけど、中央広場だけは完全にダンジョン管理区とした変わってしまった。
そんな管理区の入り口に行くと、迷彩服を着たお兄さんが数人、ゲートの管理をしてるのが見えた。私達も用事を済ませる為にそこに向かう。自衛隊の人かな?
ゲートは
種別としてはアレがフラッパーゲートなんだけど、まぁフラッパーゲートにも種類がある訳で、管理区のフラッパーゲートは格子状で大きなフラップで閉じられた頑丈な物だった。
「お仕事お疲れ様です。入場手続きをお願いします」
「ご入場で…………、子供? えっ、あっ」
本来なら子供が来る場所じゃないので、だけどすぐに私が蒼乃フラムだと気付き、なにやら少し混乱してしまうお兄さん。
「これライセンスです。特例で発行して頂いた物なので、確認はダンジョン課の笹木さんまで…………」
「ああいえっ、蒼乃様については伺っております! どうぞお通り下さい!」
なるべくトラブルにならない様にと気を付けてたら、なんか凄いすんなり許可が出てビックリした。
「あ、えっ? 良いんですかね?」
「大丈夫です! さぁどうぞ!」
いくら蒼乃フラムだからって、私はまだ子供だ。流石にトラブルくらいは起きると思ってたんだけど、全くそんな事は無かったね。
笹木さんがしっかり根回ししてくれたのかな。
ダンジョンアタッカーは資格の要らない仕事である。だって仕事場が
でも、武器の所持に関しては法律の元に管理される。なので基本的にアタッカーはライセンスの発行が必要であり、武器の購入にもライセンスが必要で、こう言った管理区に入るのにもライセンスの提示が基本となる。
ライセンスが無くても入れはする。だけど、ライセンスが無いと武器を持てない。ライセンスは武器の購入だけじゃなくて所持や運搬の許可証でもあるから。
もちろん法が届かないダンジョン中で武器を手にする分には誰も罰せないけどね。だからライセンスの申請が面倒なら、ライセンス持ってる人と組んでダンジョンの中まで武器の面倒を見てもらうって手も有りだ。
実際、そう言う武器の運搬や管理をメインにしてるアタッカーも居るらしい。
そうじゃなくても、パーティで誰か一人がライセンスを持ってたら何とかなったりする。
まぁ、犯罪歴さえ無ければ大体の場合が通ってしまう申請なので、普通に考えたらライセンスは取得するべきだけど。
要は、資格が要らないと言いつつも、実質的にはライセンスが必要なのだ。
でも未成年にライセンスは取得出来ない。つまり子供はアタッカーになれないのが現実。
そう、私以外。
正確には真緒もだけど、真緒は私の特例ライセンスとセットな所あるからノーカンだ。
「はいマーちゃん、装備品だよ。もうロビーに入ったから装備しても大丈夫だけど、荷物預けたりするのに結局は更衣室を借りなくちゃだから、それまでは普通に運んでね」
「あーい!」
私は蒼炎を使ってインベントリの中身を取り出して、真緒に荷物を持たせた。可能な限り自分でやらせる方針だ。
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