第7話 真犯人


「はぁ!?ちょっと待てよ、その時に着信履歴ないんだぞ!」


でも、条件を絞り出すと彼氏かあり得ないのだ。

だから、誰も助け舟を出さないし…矢田君なんかは


「そんなもんいくらでも消せるだろ」


と、彼を笑いながらいじってしまった。


それに対して怒りをあらわにした苅田君は矢田君に詰め寄って喧嘩が始まってしまう。


「そういうお前こそ、先生に見られる前にプリと履歴消したんじゃねーの?」


「調べる方法あんのかよ!

それに、その疑いをかけるなら『chat』のダウンロードしてなかったやつらもう一度調べろよ!皆んな怪しいだろ!」


そう、矢田君の言い分はもっともで…消した可能性があるなら他の人ももう一度調べるべきなのだ。


でも…田中君の発言でその必要は無くなったのだ。


田中君の席は左から3列目の前から3番目。

そして、着信音は右列のどこかの前から聞こえてきた。


田中君も、今更でもこうやってストレートに証言するということは、

隣の列だとわかっていたら、とっくにそう言っていたはずなのだ。


つまりこの発言ですでに状況的に八田君か苅田君のどちらかで

苅田君が違うのなら…八田君しかいないのだ。


「八田、どうなんだ?

今…アプリと履歴を消したのか?」


「…」


矢田君は何も言わない。

それに追い討ちをかけたのは、さっき散々言われた苅田君。


「先生、アプリをダウンをーどしたことがあれば、ストアで履歴確認が…」


「俺です。」


履歴を確認できることを説明すると、矢田君はあっさりと自分の非を認めた。

彼にとってはアプリのダウンロード履歴も着信履歴と同じくらい見られたくないものだったらしい。


「でも先生、俺だって遠野と同じです

スマホはいじってないし、マナーモードにだってしたはずなんです!」


「わかった、詳しい話は職員室で聞こう。」


先生は八田君をそれ以上責めることはなく、背中をポンと叩いた


こうして、授業は結局犯人探しで潰れてしまい

授業が終わった後、先生に連れられ八田君は職員室へ向かい、事件は収束した。


その後、別段クラスでも変わった様子はなく、矢田君もその日の下校時にはスマホを返してもらい、相変わらず休み時間はスマホをいじっていた。


そういえば、一人だけこの日以来スマホを学校に持って来なくなった人がいたっけ…


やっぱり、スマホを取り上げられるのが怖くなったのかな。




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スマホの着信、鳴らしたのは誰ですか? つきがし ちの @snowoman

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