Episode11

昼のリュウキュウ。今日もまた日差しの強い日だった

だが…そんな日差しの強い日なので植物の成長を促すにはもってこいの太陽の照り方だった

ここリュウキュウは様々な野菜が大きく育つとても良い国だ。実際畑もたくさんある

夏野菜は当然であり、ビニールハウスなら春野菜なども育つ、植物を育てるなら最高な条件下にある国だからだ

また、野菜に被害を及ぼす獣や鳥もほどんとおらず実りの大地などと呼ばれる国でもある

雨もたまに降り、いい感じに畑が潤う。水と肥料さえあれば誰でも美味しい野菜や果物が作れる

しかし今回畑を借りようとしてる華奈、メイ、真衣、ベリシャは新しく畑を持とうとする人物…

華奈の能力で畑を育てようとするが果たして上手くいくだろうか。そんなワンシーンである


昼の華奈とメイが暮らす家…メイは楽しみで仕方なかった。そろそろ来るはずだ

メイ「うーん。まだかなあ。まだかなあ」

華奈「もうメイったら。そこまで楽しみなの?」

メイ「だって!畑を持つなんて楽しみで仕方ないもの!華奈だってそうでしょ?」

そう言うと華奈は言う

華奈「そうね。私も実はウキウキしてるわ。でも落ち着いて」

メイ「え?お膣がどうしたって?」

華奈「意味不明なボケはかまさなくていいの!!」

華奈はメイの頭をコツンとした。これで合計2回め

メイ「あはは。ごめんごめん」

玄関ドアからノックオンがした。もしかして!メイは早速ドアへ行き開ける

そしたら予想通りの人物が来た。畑を紹介してくれる、メイの仲間だった

メイ「加古さん!」

その人物は加古。という名前らしい。仙人であり管理人でもある、とても気品がある女性だった

加古「やあやあメイちゃん。前話したとおり畑を案内してあげるわ」

メイ「はい!お願いします!」

そう言うと華奈はメイに近寄る

華奈「ねえ、この人が案内人?」

加古「私から自己紹介するわね。私は田中加古。一応仙人の一人なんだけど普段は色々ある畑の管理人なの。

メイの上司でもあるわ。仙人のランクとしては中…かしらね?メイ、この方はメイのパートナーよね?」

メイ「そうです!嫁です!そして土の精霊なんです!」

メイがそう言うと加古は笑顔になる

加古「わあ土の精霊なんて凄いじゃない。それに結構な美人ね。うんうんこれなら期待できそう」

加古はそう言うとうなずく

華奈「じゃあ、もう真衣とベリシャを呼ぼうか?」

メイ「そうね。加古さん、4人で畑を管理したいけどいいですかね?」

加古「畑を管理するのは大人数のほうが良いわ。早速呼んできて」

そう言うとメイは玄関を出て隣へと向かう

加古「貴女土の精霊なのね。まじないで大きくできるのかしら?」

華奈「はい。そうです。庭にある野菜も私のまじないで大きくしてます」

加古「そうなの~!土の精霊って畑を作る人ならまず合っている精霊だからね。きっと貴女の能力で野菜がたくさん採れるわ!」

華奈「ありがとうございます。この能力、畑で使わせてもらいます」

そこまで言うとメイは真衣とベリシャを連れてきた

ベリシャ「この人が管理人?」

真衣「わあ。はじめまして!」

加古「私は田中加古っていうの。加古って呼んでいいわ。さて…行きましょうか」

そう言うとメイは言う

メイ「車で行かないと遠いですよね?」

加古「え?何言ってるのよ?貴女たちの家から近いのよその畑は」

真衣「近いんだ!?」

加古「徒歩で行けるわ。着いてきて」

そう言うと町まで行く道の反対側を歩くように言われる

華奈「…意外と近いのかしら?」

メイ「とりあえず着いていきましょう」

そう言うと4人は加古の後を着いていった


5分ぐらいだろうか…

4人がいつも用事で行く道の反対側を進むと森になっていた。森の中に畑があるのか?そんな疑問が浮かんできた

真衣「ね、ねえ。こんな森の中にあるの?」

加古「大丈夫よ。行けばわかるわ」

そしてもう5分歩いた。すると森の中からぽっかりと空き地ができたような場所にたどり着く

加古「みんな。ここよ」

ベリシャ「こんなところに畑があるのね…?」

その畑はまるで森に覆われた畑だった。そして何よりもその畑は荒れた畑ではなくほぼ整備された畑だった

既にきゅうりなどと言った蔦で伸びる野菜用に支柱が立っており苗さえ用意すればすぐに大きくなりそうだ

畑の横に水くみと小さい小屋があった。水くみはわかるが小屋は何か用具があるのだろう。華奈はそう思った

そんな畑を見ながら真衣は疑問を感じる

真衣「もう、整備されてるね?」

ベリシャ「あら…荒れた畑かと思ったら違ったわね?」

そう言うと加古は説明する

加古「実はね。ここは違う夫婦が耕して野菜を植えようと思ったら奥さんが病気で倒れてしまって…。

結局1人じゃ無理だからって言って少しの間放置されてたの。そこでメイがこの場所を決めたのよ」

なんと…じゃあもうすでに準備万端な畑だったのか。そう思うとその夫婦に感謝しないといけない

華奈「ならその夫婦に感謝しないと」

加古「無理に会って感謝しなくていいと思うわ。畑を育ててくれたら感謝の意味があるからね」

メイ「そ、そうよねえ…」

そう言うと4人はその畑を見る。確かにきちんと耕した畑だが、ところどころ雑草やちょっと荒れてるところがある

100%完璧に耕したわけでも無さそうだ。後は自分らがやったほうが良さそうだ

メイ「とりあえず耕した後は苗でも買いに行きましょう。私が車でホームセンターにひとっ走りして…」

加古「メイ。実はもう苗はあるのよ」

え?既にある??どこにあるんだ。そんな疑問の顔をしたら加古は小屋に行く

4人は加古の後を着いてその小屋に入る。そこには用具一式揃った物置でもありそして…

真衣「あ、あれ!?野菜の苗あるじゃん!」

なんと既に苗があった。なんで小屋にあるんだと思った4人だった。見ると枯れてはいない。元気そうな苗ばかりだった

ベリシャ「ここまで用意してくれたのね。その夫婦は本当にここを使いたかったのね」

加古「トマト、きゅうり、ズッキーニ、とうもろこし、玉ねぎ…既にたくさん揃ってるわよ」

そこまで用意してくれたら後は軽く耕すことをして植えておけばいいだろう。そう思ったメイだった

メイ「わかったわ。加古さんここまで用意してくれてありがとうございます」

加古「後は…貴女たちが畑を育ててくれればいいわ。日にちが抜けることがないようにね」

そう言うともう帰ってしまう雰囲気になった

真衣「あれ。もう帰るんですか?」

加古「後は貴女たちに任せるわ。私はこれにて、失礼するわね」

そう言うと手を振って加古は去って行く

さて。4人はまずはどうするか考えた。一応軽く耕すことから始めればいいだろう。植えるのはその後だ

メイ「…とりあえず、みんなで耕したり雑草抜きしましょうか」

ベリシャ「わかったわ」

真衣「頑張っちゃうからね!」

華奈「メイの指示どおりにしましょう」

早速4人は畑を完璧に整備するところから始めることにした。日差しの中、体調に注意しながら作業だ

華奈とメイは土を耕し、真衣とベリシャは雑草抜きを。テキパキとこなす

4人とも既に小屋の中にあった軍手を付けたりした。汚れるのはさすがにいけない

メイ「華奈ー。ある程度でいいから無理しないで力を使ってね」

華奈「わかったわメイ」

一方で真衣とベリシャは雑草を抜いていた。小さい雑草はともかく中程度の雑草を抜いていた

真衣「なんだか庭とは違う感じでいいね」

ベリシャ「そうね。こんな経験、サザンカ島ではできなかったことよ」

そう言うと引き続き雑草を抜く。しばらくすると真衣の悲鳴があがる

真衣「キャーーーー!?」

その悲鳴を聞き華奈とメイは用具を置いて真衣のほうへ行く

メイ「どうしたの真衣!」

真衣「こ、こ、これ…気持ち悪いよお…!」

真衣が指をさしたのは…ミミズであった

ベリシャ「…これミミズじゃない。そんな気持ち悪い生き物じゃないわよ」

真衣「だってぇ…!うねうねしてて…!」

うーん。どう説明すればいいか。ミミズは益虫なんだが…。そう思うと華奈は説明する

華奈「真衣、ミミズはね。いればいるほどその畑の土は安全なのよ。ほら、よく言うじゃない?キャベツに穴があるなら安全って。

ミミズも一緒。ミミズがいるからその土はとても美味しい野菜ができるの。怖がらないでね。いるだけ良いのよ」

華奈は丁寧に真衣を諭した。真衣はそれを聞くと安堵の様子をする

真衣「そ、そっかー…。わかった。もう悲鳴を上げたりしないから。このミミズさんと仲良くするよ」

そう言うと真衣は出てきたミミズをそっと土をかぶせた。元通り土の中に入るだろう

真衣の悲鳴で中断されたがその後再び再開。ようやく100%と言っていいほどの整備ができた

メイ「じゃ!次は苗を植える!」

そう言うと小屋にあった苗を用意してどんどん植えていく。もちろんスコップは小屋にあった

支柱があるのはきゅうりとトマト。ズッキーニは普通に植える。とうもろこしも普通に植える。そして玉ねぎ。ただそれだけだった

そして水。植えた後は水をかける。そのじょうろもあるため4人でそれぞれの野菜に水をかける

ベリシャ「こうドバーッとかけていいのかしら?」

華奈「そうよ。極端にかけていいわよ」

ベリシャ「わかった。でもすぐなくなるから水くみに行ったり来たりね」

水やりを終える。野菜が気の所為か潤いを感じた。改めて畑の整備が終わった

メイ「ふー!みんなお疲れ様!これですくすくと育つわ!」

華奈「待ってメイ。後ひとつ忘れてるわよ」

メイ「え?何?」

そう言うと華奈は畑の中心に行き、願いのポーズをとる

あ、まじない…3人はすぐにわかった。しかしそのまじないも時間がかかった。一瞬だけ、光が満ちる

まじないも成功。華奈は3人のもとへ行くが、体をふらっとさせてしまう。慌ててメイが体を支える

メイ「か、華奈!」

華奈「うふふ…ちょっと本気出しちゃった…少し疲れてしまったわ」

真衣「どこか座れる場所ないかな…」

華奈「大丈夫よ真衣。一瞬の疲れだからすぐに立ち直るわよ」

ベリシャ「貴女の能力は凄いわね…」

しかし、すぐに華奈は普段どおりに戻る

畑はだいたいの面積でいっぱい苗を植えた。後は成長するのを楽しみに待つことだろう。しかし…

メイ「んー?よく見るとまだ余った場所があるね。意外とこの畑大きいわ」

華奈「確かにそうねえ。せっかくだし残ったとこも植えてしまいたいわね?」

真衣「何がいいだろう?あ、サトウキビ!」

ベリシャ「真衣」

ベリシャはそう言うと真衣の顔を見る

真衣「あ、ごめん…」

以前から話したとおりベリシャは甘いものが苦手である。まあそんなことはさておき…

メイ「他にも買ってくれば候補はあるわよね?」

華奈「私の考えなら…レタス、ピーマン、唐辛子、ナス、らっきょう…そんなとこかしら?全部夏野菜だけど」

真衣「そもそも夏野菜が一番だよねえ?」

ベリシャ「私の希望としてはらっきょうと唐辛子と言ったとこかしらね」

メイ「それいいかも~。んじゃあ特急で買ってくるわ!」

華奈「メイ。今日はこのぐらいにしてまた後でにしましょう」

なんだか楽しみになる野菜が多いことだ。4人は耕した畑をもう一度見ていた

真衣「私たちで楽しみに耕した畑…こんなに達成感のある仕事とは思えないよ」

ベリシャ「そうね。自分の家の庭でもそう思うけどやりがいがある一日だったわね」

華奈「私のまじないがあるからすくすくと成長してくれるわ」

メイ「いえーい!今日は記念日だ~!飲みまくりましょう!」

そんなこと言いながら4人は畑を後にすることになった


夜。今日は4人で一緒に華奈とメイの家で酒盛りをしていた

華奈と真衣は食事を作り、メイとベリシャは自分の好きな酒を用意して楽しく喋ってた

4人いるので今日は食材をふんだんに使った料理だ。肉もあるし野菜もある

メイとベリシャは喋っていた。酒を飲みながらなので当然盛り上がる

メイ「ねえねえワインってどんな味?あまり飲んだことないのよ」

ベリシャ「美味しいわよ?でも貴女の…その、何。でかいボトルの焼酎をロックで飲んでるのは見たことないわよ」

前から言ってるとおりベリシャはワイン。メイは焼酎だ。華奈も合間合間に発泡酒を飲んでる

メイ「いやいや。これがなかなかいけるのよ!前から好きよこれ」

ベリシャ「そう…」

そう言うとベリシャはワインをぐびっと飲んだ。メイも焼酎をぐびっと飲む

ベリシャは既にワインの瓶を空にしたのか盛ってきたウイスキーをテーブルに置き用意する

メイ「え!ベリシャウイスキーも飲むんだ!あれビールじゃなくて?」

ベリシャ「私はビールも好きだしウイスキーも飲むわ。でも今日の気分はウイスキー」

ウイスキーの瓶の蓋を開けてコップにウイスキーを注ぐ。そしてぐいっと飲んだ

メイ「んん~。なんともベリシャの酒豪っぷり…。悪魔って酒の強い種族なのね…」

一杯飲んだベリシャは言う

ベリシャ「そんなことないわ。悪魔でも酒に弱い人がいるから一概には言えないわ」

そうなのだろうか…?メイは半信半疑だった

ベリシャ「でもメイだって普通に酒豪じゃない。何回焼酎のボトルをコップに注いでいるの?」

メイ「いや…酔う酔わない別としてこの焼酎じゃないとイマイチ酔えないのよね」

ベリシャ「何を言ってるの??」

ベリシャは思ったが彼女、酔ってるなこれと思う

メイ「大丈夫。吐かない程度に飲むから心配はいらないわ」

メイがそう言うと焼酎のボトルをコップに注いだ。うーん、酒豪。と思ったベリシャだった

するともう食事ができたのか。華奈と真衣がテーブルに置いた

華奈「はーい今日はうちで採れた野菜のサラダと唐揚げ~!」

真衣「同時進行して作ったんだよ!」

メイ「唐揚げとか焼酎に合うわね!」

ベリシャ「美味しそうじゃない。酒はこの辺にして食べましょう」

いただきまーす!4人はそう言い食べた


一方…4人が一緒にいる家に自転車が通った。4人は当然気づいてない

夜道に自転車が通り、森へと向かう。その人物は加古だった。ライトを照らして畑へと向かう

畑に着いた。街灯なぞないのでほとんど暗闇だ。自転車を置き、明るいLEDライトの懐中電灯で周りを見渡す

どうやら苗がすべて植えられてるみたいだ。その時点で加古はほっと一安心する

もしかしたら早速ほったらかしにされてるかもと思ったがそれは加古の思い違いであった

加古「…うんうん。きちんと植えられてる。やっぱりメイたちをここへ紹介して正解だったわ」

そう言うと加古は確認が済んだためまた自転車に乗る

加古「ひとついい忘れてたけど…もし苗が必要なら…私に連絡してくれるといいわ。私は管理人だから用意してあげるからね」

独り言を言うと静かにその場を後にする。途中、華奈とメイの家の郵便受けにこっそり紙を入れた。注意事項が書かれた紙であった

4人にバレないように帰っていった


リュウキュウの夜

4人で騒いでにぎやかな夜だった




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