エルは、リリアナの忘れ形見である娘のルリと遊んでいた。突然、扉が開き、少女が飛び込んできた。「おとうさまぁ~!」と言いながら、満面の笑みを浮かべている。エルが尋ねると、ルリは嬉しそうに答えた。「おかあさまがね、おそとであそびなさいって言ってました」。エルは、外に出ようとするが、ルリが腕を掴んで引き留める。「だめです」と言うルリに尋ねると、「おかあさまがいってましたもん。おとうさまは、じぶんのこどもにあますぎるって」と頬を膨らませて答えた。エルは、「そんなことないと思うけど……」と言うが、ルリは「ありますよ」と返した。エルは、「よろしい。分かりましたよ」と言い、ルリに手を引かれて走り出した。


エルとルリは森の奥まで行き、そこで一人の女性と出会った。エルは挨拶をし、女性は優しげに微笑んだ。「今日はお仕事はお休みですか?」とエルが聞くと、女性はクスリと笑って「いいえ。これから仕事ですよ」と答えた。エルは、「そうでしたか……お疲れ様です」と労い、女性は嬉しそうに微笑んだ。「ありがとうございます」と言う女性に感謝の気持ちを伝えた後、二人はしばらく会話を楽しんだ。


その後、ルリが大きな声で叫ぶと、「おとうさまー。あっちでおはながさいてるのをみたのー!」と言った。不思議に思いながらも、エルはその方向に足を向けた。到着すると、地面から大量の白い手が生えていた。それはまるで地の底へと誘うかのように伸びていた。


エルは嫌な予感を覚え、急いでその場を離れようとしたが、遅かった。エルの足元が崩れ落ち、そのまま地中に落ちてしまった。目が覚めると、エルは薄暗い空間にいた。周囲を見渡すと、人骨のようなものが無数に転がっていた。


「ここはどこだ? リリアナさんはどこにいるんだ?」と混乱するエルに、突然頭の中に声が響いた。「ようこそ。我が城へ」という声だった。


「誰だ!?」とエルが叫ぶと、再び頭に響くような声で返答があった。「我は魔王……全ての魔族の支配者にして、この世界を支配するもの……そして、汝に新たな力を与えんとするものなり……汝の願いを述べよ……それがどのようなものでも叶えてやろう……ただし、一つだけ条件がある……汝が持っているその力を渡せばだが……フハハッ!」


「こいつが……魔王……」「断る!」とエルが言うと、魔王は脅しをかけた。「そうか……ならば、お前とルルとエルを殺す!」と言い、エルの前に巨大な口が現れた。エルは咄嗟に回避したが、右腕を噛みつかれてしまい、痛みで悶絶した。


「ぐぅ……うがあああっ!」「ほう……まだ動くのか……それでは……これならどうだ?」と、今度はエルの全身に鋭い牙が生えた口が現れ、次々と襲いかかってきた。


「このままじゃマズイな……」と思ったエルは必死になって逃げ続けたが、とうとう追い詰められてしまった。「クソっ!」と悪態をつくと、剣を抜いて構えた。

しかし、次の瞬間――エルの体が無数の口に覆われ、噛み千切られた。


「うっ……」エルは痛みに耐えきれずに膝から崩れ落ちた。

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