王都

エルはリリアナを連れ出して、すぐに王都へと向かうことにした。

◆ 王都へと戻ったエルは、急いで衛兵の元に向かった。

そして、「盗賊に攫われた女性を助けてきました」と告げた。

「そうか。

ご苦労だった」そう言うと、男は一枚の金貨を差し出した。

エルは、礼を言うとその場を離れた。

◆ リリアナの家に着いた二人は――リリアナの母親に事情を説明すると――

二人は休むことにした。

「ねぇ、聞いていいかしら?」「はい。何でしょうか?」「あなたって本当は強いの?」「そうですね……少なくとも弱いとは思っていないですよ」エルは自分の考えを話し始めた――。

「今回のことで僕が一番反省したのは、自分がもっと強くならないといけなかったということです」「まあ……確かにあなたのことを疑っている人はいたけど……」「でも、僕は自分のことしか考えられていませんでした」

「リリアナさんのことが心配なのに自分一人でどうにかしようとしていました。

それで、結局リリアナさんに助けてもらいました。

本当に情けない話だと思います……」「……そんなことないと思うよ」リリアナの言葉を聞いて、エルが顔を上げると――そこには優しい笑みを浮かべた彼女の姿があった。

「だって私はエルくんに助けられたんだよ。

私が盗賊に襲われた時にね。それにね。私はエルくんのことを誰よりも信頼しているから」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「だからね。

これからも私を守ってくれるかな?」

「もちろんです」

「ありがとう……

それじゃあ……おやすみなさい」

「はい。

ゆっくり休んでくださいね」

◆ 翌日、エルはリリアナとともにマリーの剃髪式に立ち会うことになった。

マリーは身の安全のために人里離れた尼僧院に預けられることになったのだ。

「この長い髪ともお別れですね」

マリーは涙を浮かべながら頭を剃られていた。

「マリーちゃん……元気でね……」

リリアナの目からも大粒の涙が溢れていた。

「うん……リリアナ姉様……また会おうね……」

マリーは涙を流しながら笑顔を見せた。

「マリー……これを……」エルが取り出したのは、リリア

「これは?」「僕の故郷に伝わる御守りだよ」

「そうなんだ……ありがとう」

「うん……」

「それじゃあね……」

マリーは小さく手を振った。

「うん……」

「マリー、頑張ってね」

リリアナはマリーを抱き締めた。

「うん……」

マリーはリリアナの胸の中で泣いた。

「それじゃあ、行きますか」

エルがマリーの手を引くと、マリーはエルの服の裾を掴んだ。

「大丈夫だよ。

すぐに戻ってくるから」

マリーは首を横に振ると、こう言った。「いいえ。修道尼は一生神様のおそばでお仕えしなければなりません。今生の別れです」と――。

「マリー……」

エルは言葉を失った――。

(こんな小さな子にそこまで覚悟を決めさせるなんて……)

そして、しばらくすると、エルたちは馬車に乗り込んだ――。

(どうか無事でいて下さい)

エルが祈るような気持ちでいると――しばらくして修道院が見えてきた――。

◆ エルたちは、無事にマリーを修道院に送り届けることができた。

それから数日後のこと――。

エルのもとにリリアナからの使いが訪れた――。

エルは、リリアナに呼び出されたので、急いで彼女のもとへ向かわなければならなくなった――。

◆ エルがリリアナの部屋を訪ねると、リリアナは少し緊張した面持ちをしていた。

「どうしました? 何かあったんですか?」エルが尋ねると、リリアナは意を決したように口を開いた。

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