誘拐
なぜなら、今の自分にはやるべきことがあるからだ。
それは、リリアナと再会した時に胸を張っていられるような立派な人間になることである。
(今の自分にできることは限られているけれど……それでもやれることはやってみないとな……)そう考えたエルは――明日に備えて眠りにつくのであった――。
翌日――。
(よしっ!頑張ろう!)気合いを入れたエルは、意気揚々と街に向かって歩き始めた――
その夜のことだった。リリアナが盗賊団にとらわれているというニュースが入った。マリーの下着と一緒に脅迫状が送られてきた。
「リリアナを返して欲しければ王宮の金庫から財宝を盗んで持ってこい。怪我の治療薬もだ。早くしないとマリーが死んでしまうぞ」
という内容の手紙が書かれていた。
手紙を見たリリアナの両親は、すぐに王都に知らせを送ると共に、エルたちに協力を要請した。
エルたちは、リリアナを助けるため、すぐに行動を開始した。
◆ リリアナがさらわれたという情報を聞きつけたエルは、リリアナを救出するための作戦を考えることにした。
まずは、エルが単独で救出に向かい、その間にリリアナの両親にはマリーを安全な場所に避難させるように頼むことにした。
そして、エルは、リリアナが捕らわれていると思われるアジトの場所を確認すると、すぐに駆け出した。
◆ エルがアジトの前まで辿り着くと――。
(見張りはいないのか?)エルが疑問を抱いた次の瞬間――突然、扉が開き、複数の男たちが飛び出してきた――。
その数およそ二十人――。
(しまった!待ち伏せされていたのか!)エルはすぐに応戦しようとしたが――。
男の一人が魔法を放った――。
その魔法の威力は凄まじく、エルは吹き飛ばされてしまった。
(ぐぅ……)エルは、なんとか立ち上がると、そのまま逃走を始めた。
◆ エルは、どうにか逃げ延びてリリアナのもとへ向かうことに成功した。
エルは、リリアナを救い出すために単身でアジトに忍び込んだ。
すると、リリアナが捕まっている部屋に辿り着いた。
リリアナをさらった連中は、エルの存在に気づくと襲いかかってきた。
しかし、エルは次々と敵をなぎ倒していき、ついにリリアナのもとまでたどり着くことができた。
しかし、その時
「動くんじゃねえ!」突如現れた男がリリアナの首筋にナイフを突きつけた。
「リリアナさん!」エルは、必死になって叫んだ。
「エルくん!?どうしてここに?」「詳しい話は後です。
今はとにかくこいつらを何とかすることを考えましょう」
「分かったわ」そう言うとリリアナは、杖を構えた――。
(ふむ……どうやらリリアナさんが人質になっている以上手を出すわけにもいかないな……)そこで、エルはまず相手の出方を見ることにした。盗賊団はこちらの動きを察したらしくリリアナの身柄を難攻不落の場所へ移そうとしたらしい。それをたまたま猟師が森の奥から見ていた。
「助けてえええええええ!」リリアナが泣き叫ぶと、それを聞き付けた賊たちが集まってきた。
(どうやらチャンスは今しかないようだ……)そこで、エルは魔法を放つと、リリアナを人質に取っている男を吹き飛ばした。
さらに、続けて放たれたのは雷光一閃!強烈な閃光と
「うわぁ!」「なんだこれ!」「目が!」敵たちが怯んだ隙に、エルが一気に距離を詰めると、剣を振り抜いた。そして――。
こうしてエルは、リリアナを救出した。しかし、まだ安心することはできない。
リリアナによると、彼女は誘拐犯に
「お前はもう用済みだ」と言われたのだという。おそらく何か理由があって殺すつもりなのだと考えられる。
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