再会
私、また邪魔をしちゃったみたいね……」「いえ、ちょうど良かったです」「そ、そう?」
(いったい何を勘違いしているのやら……)
◆ しばらく経って落ち着いた二人は、お互いの事情を説明することにした。
まずはエル
「私はあなたの妻よ。
よろしくね」そう言うと女性は優しく微笑んだ。
「はい。
こちらこそよろしくお願いします」エルは丁寧に挨拶をした。
「それで、私に娘は二人いたんだけど、今はどこに行ってるか分からないのよね……」
「そうですか……」
「ねぇ、あなたは二人のことを知らないかしら?」
「申し訳ありませんが、僕にも分からないんですよ……」
「そう……」
次にリリアナの両親に話を聞くことにした。
ララとルルが語るところによると、彼女たちには、一人娘のマリーがいたのだが――ある日突然行方不明になった。校門で友達と別れたあとに足取りが途絶えている。親は地元の冒険者ギルドにマリーの捜索依頼を出したのだが、未だに見つかっていない。
最後に、リリアナの親戚の子供の話だ。
彼女は、熱を出して寝込んでいたところを、偶然通りかかったエルに助けられた。
最初は戸惑っていたようだが、助けてもらった恩返しとして、しばらくの間エルの看病をしていたそうだ。
しかし、一向に回復の兆しを見せないため、医者に診てもらうために村へと戻ってきたらしい。
そして、エルは彼女を連れて、リリアナの実家へと向かうことになった。
◆ リリアナの両親が暮らす家に到着したエルは、早速娘のマリーについて尋ねてみた。
しかし、返ってきたのは予想通りの答えだった。どうやら、マリーに関する情報は何も持っていないらしい。
そこで、今度はリリアナの親戚の子供が暮らしているという場所に向かうことにした。
そして、リリアナの案内によって辿り着いたその場所は、なんとも奇妙な建物だった。
「リリアナさん。
ここは?」「孤児院だよ」
「へぇ~」
(リリアナさんの故郷では孤児を引き取って育てていたのか……)エルは、そんなことを思いながら建物の中に入っていくと、そこには小さな子供たちの姿があった。
どうやら、この子たちがリリアナの親戚の子たちのようである。
「あの……」「あっ、こんにちは。
今日はどうしたの?」「あの、この子を探しに来たんですけど……」「ん? この子ならさっきまでここで遊んでいたけど……」「そうなんですか?」「うん。
一緒に遊ぼうと思って追いかけていたら、いつの間にかいなくなっちゃって……」「そうですか……」「ごめんね……」「いえ、気にしないでください」
「あの……」「どうしたの?」「この子の名前を教えてもらえませんか?」「ああ。
この子はね、エリーっていうんだ」
「ありがとうございます。
それじゃあ、僕はこれで失礼させていただきますね」
◆ エルがリリアナとともに帰宅すると、リリアナは早速マリーのことを訪ねてみることにした。
しかし、残念なことにリリアナもマリーの行方については何も知らないようであった。
その後、夕食を食べ終えたエルは、部屋に戻ると、ベッドの上で横になりながら今後のことについて考えていた。
(リリアナさんと別れてから数日が経過したが、今のところ手がかりは全くなし……か……)
エルは、リリアナと再会できた喜びと、再び彼女と離れなければならないという悲しみの両方を感じていた。
(このままだと、リリアナさんに会えるのはいつになるかもわからないな……)
エルは、リリアナに会えない日々が続くことに寂しさを覚えながらも、一方では仕方がないと思い始めていた。
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