第27話 枠組みを越えた新たなる挑戦
アンダーソンは今日もフィールドに立つ。荒くれ者共を裁く為に。
アンダーソンはジャッジなのだ。
しかも今日は特別だった。
エキシビジョンマッチなのだが、三流チームがどうにか人気を上げようと一流チームに挑むといった内容になっているのだが、問題は実力差が大きすぎて面白みに欠ける展開になりそうなのだ。
試合を見に来る観客は、何もストレート勝ちが見たいわけではない。競り合いになり、素晴らしいプレーが出るのを期待しているのだ。あれはすごい、簡単には真似出来ない、そんなものが見たいのだ。
アンダーソンも『この試合、どうなるんだ?』と暗い気持ちで考えていたのだが、スポンサーと三流チームの方から打診があった。イカサマするから見逃せ、と。
アンダーソンはジャッジだから反則には良い顔を出来ないが、それで試合が詰まらなくなり盛り下がるのはどうかとも思う。エキシビジョンマッチだし、盛り上げるための一環。勝ち負けにこだわる必要がないのだ。多少の無礼講もありだろう。なにせ選手ですら勝ち負けにこだわらずに魅せプレイをしたりするのだ。その延長上にあるのだと思えばよい。
アンダーソンがスポンサーの意向を受け容れると、その後に三流チームの親類縁者が来るわ来るわ。スポンサーからある程度のイカサマは知らされているが、恐らく三流チームの方にも伝えたのだろう。それを選手から聞いた親類縁者が、或いは選手から頼まれて、自身の応援する選手にも良い見せ場を作りたいらしくやって来た。妻や親などから、果ては三流チームのホームスタジアム傍の居酒屋連合代表とか言う奴まで色々と来てアンダーソンを困らせた。試合時間は30分だ。『30分にそんなに多く見せ場なんて作れるか!』なんて怒鳴ったら、今度は彼らの方で誰がやるかを長々と話し合いし始めてアンダーソンは蚊帳の外に置かれて呆然と眺めるしかなかった。
そうして無駄に時間を浪費してからなぜか綿密なスケジュール表をアンダーソンは渡され、ナニコレ?と思ったがスポンサーにもやると言った手前、渋々と受け取った。いくつか漏らしてもエキシビジョン的には問題ないだろうし文句を言われる筋合いもない、と思ったからだ。スポンサーからの分だけきちんとこなせば誰からも文句を言われる筋合いもないし、そもそもしなくて良いサービスの類だからあえてする必要もないのだ。
そう過去の出来事を思い返していると、選手が入場してきて試合が始まった。しかしアンダーソンはフィールド以外には目を向けない。目の端にチラチラ見える、フィールド外に置かれた機材やどこかのスタッフが動き回り、「駐車場の一部を借り切って待機させてます」などの雑音など目に入らないし聞こえないったら聞こえないのだ。
そして今日に限り、アンダーソンはなるべくフィールド内には入らなかった。なにせ、近づいてイカサマをばっちり見てしまったらさすがに罰しなければならない。なら遠くからそれとなく見守るのが良い。うん、そうしよう。
アンダーソンはあえて振り向かず、出来る限りフィールドの向こう側で起こっている出来事にも意識を向けずに熱心に試合に集中した。そうだ、俺はジャッジなんだと。フィールド内にしか興味はないのだとアンダーソンは自身に言い聞かせる。
そうだ。例え、今まさに目の端の方で、一流チームの選手相手にディベートしているスタッフなど目に入らないのだ。偶々あそこであの選手は休憩して出番を待っているだけ。それだけだ。俺は何も見ちゃいない、そう自身に言い聞かせるアンダーソンの居る側の反対側に居る一流チームの控え選手の所にどう見てもチーム関係者じゃない者が寄って行っているのを見た途端、アンダーソンは本気を出した。
全力でフィールドを横切ったのだ。
そうして控え選手にディベートするスタッフを背中にしてまたフィールドを眺めると、どうやら先ほど向こうでディベートしていたスタッフは居なくなっており、アンダーソンの視界からイカサマが見えなくなってアンダーソンはホッとした。いや、ディベートなど誰も行っていない。単に、あそこで休憩していた選手が積極的に試合に参加する気になっただけだ、とアンダーソンは自身に言い聞かせる。
アンダーソンの後ろの方で「ちょっとウチの選手が鮮やかにボールを奪う場面を作ってくれたら、ね?」とか聞こえてこなくもないが恐らく空耳だ。他人に話せば「アンダーソン。あなた、疲れてるのよ。」と言って貰えると信じたい。
「あれはカーチャンの裸、あれはカーチャンの裸、あれはカーチャンの裸」という呪文に匹敵するかの様に「大丈夫だ、問題はない。」と唱え、自身を落ち着かせるアンダーソンはフィールドの両サイドにスタッフが現れた事に冷や汗をかく。
忘れてた!ワープボールの時間だ!
慌ててスケジュール表を見たアンダーソンは確かにこのタイミングで「ワープボール」が行われると書かれているのを見て咄嗟に三流チーム側のゴール前まで猛ダッシュした。すると事前の取り決め通りにディフェンダーの一人が転がって足を抑えている。どうやら捻挫をした様だ。何に躓いてとかどうやって転んだとかはあえて聞かない。ここでは捻挫をして健康チェックが必要なのが重要なのだ。健康チェックをしている間、アンダーソンは選手の方を、あえて言うなら三流チームのゴール側を見続ける事になる。そうなるとフィールド全体を見る事が出来ないのは仕方ない事であり、「偶々、後ろ側でワープボールが起きたとしてもアンダーソンには知り得ない事だし、見てないのだから反則の取り様もない」のだ。
アンダーソンが選手の足を軽く持ち上げたり捻ったりしてチェックしていると選手側も下手くそな演技で「もっと、そこ、もうちょっと。」などとわけの分からない事を言い出し時間を稼いでいる間にアンダーソンの背後で観客が沸き立った。
三流チームのサイドバックが徐にフィールド外にボールを浮かせて蹴りだし、それをスタッフが用意した袋へと入れる。それを確認した他のスタッフが三流チームのサイドに居るフォワード目掛けてボールを渡す。ボールは地面に触れていない。セーフだ。
ワープボール成功だ。
突然ボールがペナルティエリア近くにワープして出現した一流チームは度肝を抜き、観客は騒然となった。一流チームもエキシビジョンマッチという事でリベロを配置して自由きままなプレイをしようとしたのが仇になった形だ。深く一流チームのエリアへと食い込んだウィングはそのまま動揺したリベロを抜き去ろうとして・・・、
失敗した。
そう。皆がその時は忘れていたのだ。ワープボールを使ったのが三流チームだと。
突然の見せ場にボールを渡された選手は相手選手よりも動揺して普段ならしないミスを連発しボールを取られた上に綺麗にズッコケた。もしその姿をアンダーソンが見たなら何が何でもペナルティキックを取ったかも知れないが、悲しいかな、アンダーソンは自称、怪我した選手に付きっきりだ。もしそれをアンダーソンが見たなら、「もっと上手いタイミングでやれ。チャンスを活かせ、誰の所為でこんなに苦労していると思っているんだ」と真顔で告げただろう。
アンダーソンがそろそろ良いかと思って後ろを振り返ると、もしかしたら居たかもしれないスタッフがもう居ないので安堵するのも束の間、遠くでズッコケて倒れている選手を見つけ全速力で走る羽目になった。先程の選手に全速力で走っておいて、このタイミングであれを放置は出来ない、あからさまにおかしいと思われると考えての行動だ。一方のペナルティエリアからもう一方のペナルティエリアまで疾走するアンダーソンはもしかすると選手より運動しているかも知れない。ポジションにジャッジとかも入れてくれると嬉しいと考えたアンダーソンは、やっぱり「アンダーソン。あなた、疲れてるのよ。」と言われる様な状態だったのかも知れない。
アンダーソンはそれ以降も駆け回る。どうにか三流チームの見せ場を作ろうと画策する三流チームの親類縁者やスタッフが目の端々に映る様にフィールドを駆けまわった。視界に入れてはいけない。いや、視界に入ってないのだから起きていないのだ、とアンダーソンは汗だくになりながらもフィールドを駆け回る。三流チーム側はアンダーソンの事など考えてくれない。まるでゲリラ戦を仕掛けるかの如く、突然現れる怪しいスタッフを目に入れない様にあっちに行ったりこっちに言ったりと動き回るアンダーソンはフィールド上に置いて、いっそ清々しい程に不審者だった。
ジャッジがボールを追いかけずに転進したり追い越したりと誰もがアンダーソンの動きを読めずに翻弄されていた。しかしアンダーソンはアンダーソンで必死なのだ。
あいつら、約束守らずに、好き勝手にディベートしてやがる!
お陰でアンダーソンは視界に入れない様に動くだけで必死だ。普通のプレイで反則がどうこうなど言ってられなかった。そもそも一流チームからすると三流チームとの技量さが有り過ぎてキワドイシーンがあまりに少なかった。むしろ必死なアンダーソンに気を取られて一流チームの方もポカをしそうになるのに苦慮する始末だ。相手側より必死なジャッジが走ってくれば困惑もしてしまう。しかも通り過ぎるのだ。どうにも調子が狂うのも仕方がなかった。
アンダーソンはスケジュール表を片手にペンで済んだものから線を引きながら駆け回る。あの選手の見せ場があったからこれは済んでる筈、これも済んでる筈、と消していくのだがリストになさそうなものも起きているので済んだかどうかも分からない。しかし必ず起きるものだってある。スポンサーからの依頼だ。
アンダーソンがチラリとフィールド外に目を向けると嫌なものを見た。三流チーム側の後ろに備え付けられた巨大扇風機だ。本当にやるのかとアンダーソンはゴクリと唾を飲み込んだ。別段、あれは単なる扇風機だ。選手の事を考えて設置しただけに過ぎない。そう過ぎないのだ。あえて強い風がロングパスを邪魔するなんてのは不幸な出来事であって、意図したものじゃない。それに本当に影響があるかどうかなんてわからない。そう分からないのだ。
アンダーソンはそう強く念じてフィールドを見渡すとどうやら目に入る所に怪しい不審者は居なかった。アンダーソン自身がそうなのだから目に入る筈がないというのは言わない約束だ。そうしている内に一流チームがボールを持って三流チーム側へと攻めようとして大きくパスを出そうとしているのが見えた時、巨大扇風機が唸りを上げて回転し出した。その威力に三流チームのゴールキーパーは思わず前のめりになりながら耐えしのぎ、さも何も起きてませんよという体でやせ我慢しているが、アンダーソンも同じ気持ちで視線を他へと向ける。
そうして見た先では大きくパスを出そうとしたボールが勢いを失い、思ったような飛距離が出ずに落ちて三流チームの選手に渡ったのが確認出来た。もし一流チームが三流チーム側に攻めれば攻めるほどに風が強くなりパスは出しにくくなる。自然の風とは恐ろしいものだとアンダーソンは自身に言い聞かせた。
突然に流れ出した自然の風により一流チーム側へとボールが流されやすくなったためかボールは一流チーム側のフィールドにあるのが多くなった。あえて一流チーム側も無駄な労力が発生する三流チーム側ではない場所でボールをキープして技を披露して観客を沸かせている。この自然の風で一番不幸なのはゴールキーパーだろうとアンダーソンは考えるがアンダーソンにも他人の心配をしている余裕はなかった。
アンダーソンはあえて見ない振りをしていたが、観客達は気が付いた。一流チーム側のゴールがいつの間にか横に長く伸びているのだ。今も目の端で徐々に伸びて行っているのは恐らく気のせいだ。アンダーソンは見ていないったら見ていない。
「あー、風で砂が入って目が開けられないなー!」
などと供述してしまったのも仕方ない事だと思える。
しかしそれでも一流チームの名ゴールキーパーとディフェンダーの活躍で、闇雲に打ち出される「上手く行けばワンチャンシュート」は阻まれていく。薄めを開けながらアンダーソンは幾らなんでも技量差有り過ぎだろうとぼやくがしっかりと見る事が出来ないので舌打ちだけして済ませて横を見る。
すると先程現れてゴールしたかを確認する為に付き添っているスタッフが申し訳なさそうにアンダーソンに手を合わせて謝罪してくる。アンダーソンが見れない代わりにゴールしたか見て貰っているのだ。そこで嘘を吐かないのがお人好しの所為なのかそれともそんな責任取れないから嫌がっているのか分からないスタッフとお互いに溜息を吐いているとどうやらゴールが伸びたような気がしたかも知れない時間は過ぎてスタッフはそのまま傍から立ち去っって行った。
開き直ってゴールが伸びたままにならないのが妙に慎ましくて好感が持てた。アンダーソンは視界に入れてしまうと指摘しないといけないので特に。
その後、風があると三流チームの方がポカしやすいからと自然の風も止み、アンダーソンが知るいつもの穏やかな空間が訪れた。多少、ボールにキリキリ舞いさせられる三流チームが居る事を除けばいつもの日常だ。
だがアンダーソンは知っている。これから最大の見せ場が来るのだと。
その証拠に「バババッ」という音と共にヘリが現れた様な気もするがアンダーソンの視界には入っていないから気のせいだろう。観客のどよめきも一際大きくなったのも多分気のせいだ。そして選手の1人がフィールド外に駆けて行ったのも気のせいだ。
そのタイミングでアンダーソンの近くにテーブルとイスが設置されていく。そこにはアンダーソンのなじみの店で働く女性が座っており、アンダーソンは思わず「良く調べてんな」と三流チームの情報収集能力に舌を巻いた。
アンダーソンが仕事帰りに寄る店で飲む酒を作りながら、店の店員のブレンダがアンダーソンに話しかけてくる。
「アンダーソンさん。インターバルよ。」
そう。今からアンダーソンはインターバルだ。その間起きた事はアンダーソンの関与出来る事ではない。
いやさ、知った事ではない。何せ、今から自棄酒だからな!
とアンダーソンは足取りも軽く椅子に座り酌をして貰いながら試合中にもかかわらず味を楽しむ。そんなアンダーソンの後ろでは、今日最大の見せ場が繰り広げられようとしていた。
一流チームの選手が三流チームの選手に両手を合わせて拝み倒されたところで偶然にもポカをしてボールを三流チーム側へと渡してしまう。すると、三流チームがボールを不器用に回しながら機会を窺いだすと、突然に後方からヘリがフィールド上へと直進してきた。それに合わせてボールを大きく前方へとパスすると、ヘリから吊り下げられた縄梯子に捕まっている選手がニコヤカな笑顔で手を振りながら一流チームの選手達をごぼう抜きで引き離してゴール近くまで一気に近寄った。
あれを誰がするかで揉めに揉めたのはつい先日の事だ。なにやら良く分からないが、最終的に「熱湯風呂に一番長く浸かっていた人の推しが務める」などとわけの分からない解決方法になっていたのは忘れられない思い出だ。
まさしく試合の裏側では熱い戦いが繰り広げられていたのだ。
ヘリのスピード、というより受ける風圧などで危なっかしくて近寄れない選手達を横目に、おっかなびっくり縄梯子を降りてくる選手が地面に着いた時、既にボールはヘリの起こす風圧も影響してフィールド外に出てしまっていた。『まぁ、そうだろう』と今ではアンダーソンだって思う。だが、一番の見せ場だったのは間違いない。チャンスを活かせなかっただけだ。
良くあることだ。
そう良くある事なのだ、とアンダーソンはまたも自身に言い聞かせてインターバルを終え、ジャッジとしての使命を果たすべく行動した。
絶えず出現するディベートを視界に入れない様にまた動き回り、マリーシアをしようとしても技量差が有り過ぎて使いどころがないプレイを見せつけられながら、サインと同時にポカする一流選手の苦笑まで見せつけられながらアンダーソンは最後の予定通りのスケジュールに目を向ける。
そうして三流チームのゴールキーパーに目をやると、ペコリと頭を下げられしゃがみ込むのが見えた。
またあれか!
と全速力でゴールキーパーにアンダーソンは駆け寄る。恐らくここでドローンの出番だった気がするがやはりこれも気のせいだろう。目の端にコントローラーを握るディフェンダーがチラリと映った気がしたがそれも気のせいだ。
アンダーソンはゴールキーパーが頻りに腹を抑えてうずくまる様子を見ながら声を掛けるが、ゴールキーパーからは「良い店知ってんな。今度連れて行ってくれよ。」と癒着に聞こえなくもない言葉が返っていたのもやはり気のせいだ。ブレンダが帰り際に手を振っていたのはこいつにか、とアンダーソンはどうにもならないモヤモヤした気持ちを抱きながらも、ブレンダに紹介したらちょっと良い目見させてくれるかも、と揺れる気持ちを天秤に掛けていた。
そんな揺れるアンダーソンの気持ちなど無視したかの様にアンダーソンの後ろでは状況が変わっていた。大きく山なりのパスをドローンがキャッチし一気に前線へと運んだのだ。スケールの大きさではヘリに負けるが実用性ならこちらが上なのは否めなかった。但し、ボールをキャッチ出来ればの話であり、ボールを掴めた選手は恐らく就く仕事を間違えているのだろう。
ドローンが前線にボールを運ぶのを上空に見ながら一流チームの選手達は辟易する。あれはパスだ。どこに落下するか分からないだけで。そしてパスを出した瞬間には誰もオフサイドラインを越えていないからオフサイドを取られる事もない。ここに至って一流チームの選手側もゲラゲラ笑って事態を見守る中、ドローンの落としたボールはヘディングでの奪い合いにもつれ込み、やはり一流チームがボールを奪い得点にはつながらなかった。
充分な時間を掛けて特に問題のなかったゴールキーパーから離れようとしたアンダーソンだが、ゴールキーパーから「後、もうちょっとだけ、今度奢るから!」と引き留められて仕方なく今度は腹ではなく足のチェックをし始める。フィールド上でしゃがみ込んで2人して何やら密談している姿は最早不審者でしかない。そして話している内容もいきつけの店の話で試合ともまったく関係がなかった。アンダーソンにしてみればブレンダ以外の興味ある店を知れたというご褒美はあったのだが。
ゴールキーパーの必死の時間稼ぎも空しく時間を無駄に費やしてしまったらしい三流チームは持てる手を全て出し尽くしてしまった様で、その後は一流チームの選手の恋人を招待してライン上でイチャイチャさせるなどの精彩を欠いた攻め方しか見せられず、大きな見せ場を作れずにそのまま試合はドローになった。
「三流チームは総力戦で挑んで一流チーム相手に善戦した」
試合後に各メディアはそう評価した。他にはない見どころが溢れた試合だったというのが世間の評価だった。エキシビジョンとして成功したと言えるだろう。試合後にはなぜかアンダーソンもインタビューする事になりアンダーソンも驚いたが試合の感想と今度について軽く話したのは広く世間に報道された。
アンダーソン曰く、
「とにかく不正が行われていないか視界を確保するのが大変だった。私が見た限りでは不正は行われていなかったし、途中で自然の風が吹いたのも偶然の成せるわざだと思う。とにかく私も不正を失くすのに絶えず動き回っていたのでイマイチ全体の印象が少ない。いつの間にか終わっていたという感じだ。ただ本当に疲れた。恐らくフィールド上を一番駆けまわったのは私なのではないだろうか。それも踏まえて次はライン上にレールを敷いて高速に移動出来る様にして欲しい。そうすればどこで何が起ころうとも視界を確保できる。不正が起こっていない視界を。」
それ以降、アンダーソンを「不正を視界から失くす達人」と人々は呼び、どうしようもない力量差で行われる試合には引っ張りだこになった。
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