第20話 それが漢
フランクリンはたいした漢だ。そんなフランクリンはドナに求愛している。ドナはたいした漢のフランクリンの求愛にまずはデートからと考え、フランクリンはどうにかドナに頷いてもらおうと日々努力していた。
そんなある日、ドナはフランクリンとデートに行く事になった。
ドナは今日もお澄ましさんでフランクリンのエスコートを受ける。
「疲れたわ。」
「なら、あそこのカフェで少し休もう。」
そう言ってフランクリンはドナを席までエスコートした後に座席に引いてドナを座らせた。
「喉が渇いたわ。」
「ちょっと待ってて。今、エベレストの雪解け水を汲んでくるから。」
「ちょっと待ってよ!どこまで行くつもりよ!」
ドナはフランクリンを問い詰めるが、フランクリンは『何が?』と言った感じで首を傾げてドナを見つめる。いや待て、おかしいでしょ、とドナは思うがドナが何か言う前にフランクリンが話した。
「どこって、君にふさわしい飲み物を取ってこようとしているんだけど?」
「ここのでいいから早く頂戴。」
「でも。」
「そんな遠くまで取りに行くって言ったら、そんなに一緒に居たくないのかと思っちゃうでしょ!それにそれならなんでカフェに来たのよ!」
「仕方ないな。君がそういうなら。」
フランクリンは仕方ないといった感じでウェイターを呼んで注文する。ようやく一息ついたドナは今日は買い物に行きたいとフランクリンに告げた。アクセサリーが欲しいとねだってみたのだ。するとフランクリンはこう言う。
「任せてくれ!良い場所を知ってるんだ。」
まあ、私を口説きたいんだったらそうよね、とドナは内心微笑みつつ、フランクリンのエスコートについて行こうとしたのだが。フランクリンが街はずれの乗合馬車に乗ろうとしたところで無理やり止めた。
「どこに行こうってのよ!」
その一言にフランクリンがまた『何が?』と言う表情で首を傾げたので、さっきと同じでおかしいでしょ、と言おうとしたらフランクリンがこう言った。
「どこって、ちょっと遠いけど、良い原石が採れる鉱山がこの馬車の終着点にあるんだ。君もきっと気に入ると思うよ。」
「どこに原石から厳選するレディが居るのよ!しかも何?これ鉱夫の乗合馬車じゃない!」
「そうとも言う。」
「そうとも言うじゃなくてそうなのよ!」
「だが一番手っ取り早い。」
「手っ取り早いじゃなくて、レディをこんなものに乗せようとしないで!」
「しかし、街中を探したんだが、君に似合いそうな宝石がイマイチ見つからなかったんだ。なら実物を君に見せて合わせながら選んだ方が良いと思うんだ。」
「原石合わせても分からないでしょ!普通のでいいのよ!普通ので!」
「仕方ないな。君がそういうなら。」
「私がそう言わなくてもそうしてよ!」
「仕方ないな。君がそういうなら。」
「ええ、そうしなさい!、全く、怒ってばっかりで暑いわ。」
「そうか、なら温暖化を止めてあげよう。待っててくれ、君に相応しい世界にしてくるから。」
そう言って、フランクリンはドナが止めようとする前にあっと言う間に走り去った。残されたドナは呆然としながら思う。
これじゃあ、思いっきり持ち上げられてるのか下げられてるのか分からない、と。
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