第11話 男の矛盾と女の矛盾

2人の女が話していた。


「ああ、どこかに良い男居ないかしら。」


「だよねー。でも良い男ってどんなの?」


「そりゃあ勿論ハンサムで逞しくて教養があってお金持ちよねー。」


「あなた夢見過ぎじゃない?」


「良いじゃない、夢なんだから。どんな夢見ても良いでしょ?」


「そうじゃなくって、そこいらに歩いてる男の中で捕まえるならどんなのってことよ。」


「自分の都合であからさまに誰かを贔屓するような事しない人かな。それで時々甘えさせてくれたり。」


それを聞いた通りすがりの男性が思わず口にする。


「なんだよそれ。皆を平等に扱ってくれる公正な奴で、でも甘やかしてくれるって矛盾してるだろ。贔屓されて特別扱いされたがっておいてその男には特別扱いするなってさあ。」


その反論を聞いた女が答えた。


「良いのよそれで。どこかで妥協するんだから。男だって似たような事言うじゃない。処女の様に貞淑に恥じらう様に男に接するのを期待しながら事に及べば娼婦の様に淫らに振舞う女を求めるじゃない。それと同じよ。」


「・・・」


男は言い返せなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る