第3話

彼岸神社…

ここではある結婚式が開かれていた。その結婚式にはもちろんハルカも加わる

生き神様…その生き神様から祝福を受けようとしていた。ここは彼岸神社のお祈りの間

その結婚する男女はいた。頭を下げ、ハルカから祝福を受けようとしてる

ハルカ「…今から祝福をする。頭を下げ、祈るように我が祝福を受けると良い」

そう言うとハルカは腕を動かし腕を出した。右手は夫となる人物に、左手には妻となる人物に

光が灯る。一瞬だけ光がパッと放たれ、消えた。早いものだがこれにて祝福は終わる

ハルカ「良き夫婦となれ。我は心から祝福をする」

男「ははー龍神様…有難き幸せ」

女「私たちは神様の祝福を受け取らせていただきます」

神様。と言われるぐらいにはハルカはそれだけ生き神様としてはトップクラスの存在であった

大天使とは違う存在…この国の誇りでもある。祝福を受け取ったのか夫婦と参列者はこの祠から出ていく

ハルカはその夫婦を凛然な顔で見送った。誰もいなくなったな?一人になったハルカは独り言を言う

ハルカ「…はぁー!全く…この祝福っていうのは別に結婚する人のためじゃないのよね」

もっと本当にその加護を与えたい…そういう人物に祝福はするのだ

ハルカ「あーあ。巴にそれをしたいな…でもこの後またお祈りしなきゃいけないからスマホ見れないわ…」

生き神様は辛いよ。そんな愚痴である

ハルカ「…ねえ、巴。貴女にもっと加護のある踊りがあるけど…それ、やっていいかしら?」


朝…

巴は朝目覚めた。ちょうどいい時間。まだぼーっとするが、動ける範囲での時間だった。今日は仕事は休み。嬉しい休日だ

ベッドから出て、郵便受けを見る。新聞と何かの広告があった。新聞は一応置いといて、広告を見る

巴「なんの広告だろ…。あ、きさらぎ駅の宣伝だった」

この国には首都より離れた場所にきさらぎ駅というタウンがある

そのきさらぎ駅は妖怪が生まれた発祥の地と言われている。あくまでも自称なので本当かどうかはわからない

昔は呪いの地とか不幸の元。などと呼ばれ普通の人間は一切近寄ることはない場所だった

しかし、最近はそんなマイナスイメージのある場所にはなっておらず、住みやすい街。というイメージが大きい

きさらぎ駅自体も改装されキレイな駅に。きさらぎ駅周辺もショッピングモールやマンションが建つ街となっている

そして何よりそこに住む地元の妖怪達は明るく気さくで楽しい妖怪達がいる。子供にも悪影響無く安心できる

そう言えばこのきさらぎ駅から通っている社員がいたような気がする。だがちょっと遠くないだろうか

別に巴は引っ越す目的は無いため、その広告はすぐにテーブルに置いておく

巴「妖怪の発祥の地って言われてもねえ…私妖怪だけどそこに住んだら何時に出なきゃいけないんだろ」

そう言いながらもテレビを付け、朝ごはんを食べようとする

朝ごはんを食べつつ、スマホを見る。今日はハルカと恵里菜から通知は来たようだ

スマホを見つつ、窓から風景を見る。雲ひとつ無い日本晴れだった。風も通り、晴れやかな気候だ

会話アプリをやりつつ、何気なくハルカから送ってくれた画像を見る

下着姿のハルカと、お風呂に入ってるハルカの画像だ。とても良いスタイルをしてる。なんだか癒やしにも思える

もちろん恵里菜にも返事は返す。今日は恵里菜は友達と遊びに行くらしい。その会話をして一旦恵里菜との会話を終える

だがハルカとの会話は決して途切れない。やはり恋人同士なのだから会話は続くものである

それだけでも幸せを感じた。やはり思い切って告白したのはプラスになった。だからこそ、ハルカは面白い人である

ハルカの会話から急に電話をかけてほしいとの返事が来た。なんだろうか。無料通話でハルカに電話をする

巴「…ハルカ?どうしたの」

ハルカ「巴、あのね、今日もまた参拝客のためにお祈りの間にいるけど、夕方ギリギリのラインで来てほしいの」

巴「…夕方ギリギリのライン?わかった」

ハルカ「うん!お願いね。じゃあ、そろそろ祠に行くわ」

そう言うと通話が切れた。夕方ギリギリの時間に行く?何かあるのだろうか?

不思議に思いつつ、夕方までの時間までゲームしてよう。そう思って夕方を待つことにした


夕方になる。今日も泊まりになるだろうか。玄関の鍵をかけ、出発する

いつも会社から神社へ向かっていたが、今日は別ルートで向かうことにする。もちろんそのルートはわかる

バスに乗って、神社へ行く。だが、最近思ったが高校生時代の時に原付バイクの免許でもとれたよかったと思う

もう社会人なので行くチャンスと時間が無い。大型連休でも果たして免許をもつことは可能かわからない

バスの窓際から夕日を見る。今日は一体何をしてくれるんだ?ハルカのことだ。何も動じないでおこう

そういうわけで神社へ着いた。自宅から神社までちょっとお金がかかったが、そんなこと関係は無かった

何も考えず祠へと向かう。もうお祈りを済んだのか参拝客が帰る様子が見れる

洞窟内に入る。洞窟の通路もちょっとだけジメッとしていてたがそこの気温は常温で保たれてた

祈りの間に着いた。やはり。というか当然なのかハルカがいた。いつもどおりの姿で威厳ある姿である

備え付けの座布団で正座をして巴も祈る。今日は何をしてくれるのだろう?あまり祈りの内容は無いものに近い

時間なのか参拝客が帰っていく。そしてまた、巴とハルカの2人きりになる

やっと2人きりになれた。その時点で巴は目を開け、その場を立った。そして声をかける

巴「…ハルカ。私のハルカ」

そう言うとハルカも目を開け、目に入ったきたのは恋人の顔であった

ハルカ「…巴。来てくれてありがとうね」

ハルカがそう言うとその場を立つ。そして巴の側まで近寄る

巴「相変わらず、ハルカの姿。かっこいいよ」

ハルカ「そう?私、かっこいいより可愛いって言われたほうが気分が高揚しちゃうのよね」

巴「そうなんだ。可愛いとかっこいいを合わせた龍神様じゃない?」

ハルカ「できればかっこいいを削って可愛いに焦点を当てた人になりたいわ」

2人は笑い合う。そして巴はさっきの内容を言った

巴「ねえ、朝の会話で言ってたけど…」

そう言うとハルカは答える

ハルカ「それね。あのね、貴女にね、私の舞を見てもらいたいの」

巴「ま、舞?」

ハルカ「詳しい話は私の部屋でするわね」

巴「うん」

2人はその場を後にした


2人はハルカの部屋と来た

また布団が片付けて無かったがそれはいつもどおりということであえて口にはしなかった

この神社の3階になるこの部屋は誰もが勝手に来てはいい場所ではない。だから滅多に人が来ない

あえて来るとするなら食事を持っていくときのみである。これは神社の神主ですら近寄れない

そんな聖域を巴はいる。そして話す

ハルカ「あのね、3階の私の部屋の側には外が見渡せるような踊り場?みたいなものがあるの。とりあえずそこに居てほしいわ」

巴「そこでいいんだね?わかった」

ハルカ「あと、座布団も持っていって。地べたじゃ足が辛いだろうし」

巴「わかったよ」

そう言うと巴はその場所に移動した

踊り場に着いた。既に夜になっており、静かになっていた。虫の音も若干ながら響く。この場にいた

そう言えば…今日は満月である。上を見ると晴れやかな空に満月の光がさんさんと輝いていた

座布団を敷き、その場に座る。一応正座である。彼女は一体何をしようとしてるのか?まだわからずじまいである

とこ…とこ…。足音がする。ハルカだ。彼女の足音で巴は振り向いた

ハルカ「お、おまたせ…私の好きな人…」

巴は仰天する。なんとハルカは生まれたままの姿で歩いていたからだ。備え付けなのか薄い天女の羽衣もある

そしてこれはお祓い棒だろうか。それを右手に持ち、歩いていた。その顔は赤くなっている

思わず巴は声を上げそうになった。それもそうだ。裸でいるのだから

巴「は、ハルカ!?どうしてその格好に…」

ハルカ「それは…踊ってから説明するね…」

そう言うと踊り場の真ん中に立ち、彼女は言う。そして顔は赤い

ハルカ「じゃあやるよ。私の舞、隅々まで見て」

彼女がそう言うと踊りを始めた。この舞、他に何も見ないほど美しく、キレイな舞だった

隅々まで見て。というが巴はなるべく胸と局部を見ずハルカの全体を見るようにした

キレイで、どこか切ない。ただ、過激でもある。そんな舞だった

舞を踊っているときに満月は2人だけを見ていた。月の光…ただそれだけが明かりだった

これは一体どういう舞なのか?そんな疑問も考えつつ、舞が終わった

巴「…」

巴は自然と拍手をした。いや、この拍手はしていいものだろうか?だが、しないといけない雰囲気だった

彼女の側まで行く。月明かりでその裸体はキレイな姿をしていた。前に写真で送られてきたよりも、ずっとキレイな姿だ

ハルカ「…ありがとう。貴女だけの舞。してみたかったの」

巴「こんな格好までして、何かあるの?」

そう言うとハルカは説明する

ハルカ「これはね。愛する人に捧げる舞なのよ。昔、愛し合ってる龍人がその舞をしたから結ばれたという伝承の踊りよ

そして今日は満月…半月や三日月だと効果は発揮しないの。そして私はその伝承の舞を知ってから、誰かにやりたいと思ったのよ

でも、貴女が来てくれた…これは言わば愛の舞…だからこそ、この踊りをしないとと思ってここへ来たのよ」

愛する人の舞…巴は驚きもあったが、わざわざそうやって踊りを踊ってくれたことに喜びを感じた

巴「…何から何までありがとうハルカ…私、凄い嬉しいよ。ハルカの姿、とってもキレイだよ」

ハルカ「巴、ありがとう。私、美しい恋人だった?」

巴「うん。とてもキレイだった。世界で一番、キレイな人だよ」

ハルカ「嬉しい…!」

巴がそう言うと、ふと、とある花を思い出した。今のハルカの、美しい姿を

―――月下美人

その花は夜に咲き、早朝にはしぼんでしまう儚き花である。人によっては世界一キレイとも言われる花だ

だが、ハルカは儚き人物ではない。満開の花が咲き誇る、美しい龍人である

心が打たれた。そんなハルカをずっと大切にしたい。ここで改めて誓った

巴「…ねえ、ハルカ。写真撮っていい?今のハルカ、世界で一番キレイだよ。誰にも見せないから」

ハルカ「いいわよ…!私の姿、隅々から全部写して。私だけの巴」

巴はハルカの色々なポーズを撮りつつ、写真に収めた。ある程度写真を写したらハルカは言う

ハルカ「おいで、私の巴」

そう言うと巴は静かにハルカの元へ行く。そして抱きついた。豊かな乳房が暖かく、巴を包んでくれた

ハルカ「…大好きよ巴」

巴「私も、大好き」

満月の夜が、2人だけの世界を包んでくれる


その後、2人はハルカの自室に戻り、布団に入る。ハルカもさすがに今は寝間着を着ている。巴は言った

巴「本当にハルカは世界で一番美しい人だってわかったよ」

ハルカ「可愛いって言われるのも嬉しいけど美しいって言われたの、貴女一人のみよ」

巴「ふふふ…!」

そう言うと、ふと巴はあることを思い出す

巴「ねえ、ハルカ…どこらへんかのタイミングで外出できる?」

ハルカは少し考えたが、答える

ハルカ「ちょっと神主に言わないと駄目ね。でも、大丈夫。私の権限っていうのあるからだいたいの確率で外に出れるわ」

巴「そっか。でも行けたらハルカを都会へ連れたいの」

ハルカ「都会…!今から楽しみで嬉しいわ!」

巴「だから、これも約束。絶対に行こうね」

ハルカ「うん!」

ハルカは巴の眼の前でとびっきりの笑顔を見せた。巴はその笑顔に何度やられたか。仏のような笑顔。だから大好きだ

2人は自然と眠った。ハルカと巴は手を繋いで眠っていた


満月の夜

2人は更に関係が良くなってる。そんな今日のワンシーン



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