第32話
「スパイラルゲイル」
俺の放った貫通力の高い風の魔法をガーゴイルは悠々と躱す。
「んなこたぁ、織り込み済みなんだよ!! ロックインパクト」
避けた先に巨岩が落下してガーゴイルにヒットする。
ダメージは低くてもメルルの攻撃が届く範囲まで落とせばいい。
しかし、ガーゴイルは体を回転させて巨岩を払い、再び上昇しようとしていた。
「逃すかっ!! ビーンスタークグロウ」
地面から生えた大木がガーゴイルの足に巻き付いて上昇を許さない。
「いま……」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だ……」
俺の言葉を待たずにメルルが走り出す。
ガーゴイルは嘴を開いて口から何かを発射して大木を破壊しようとしているが相性の問題でそれは叶わない。
ガーゴイルが高速で吐き出しているソレは水だ。
砂利や石片を混ぜた高圧水流は鉄を切断するほどの威力がある。
自分に飛んでくるかもしれないのに何の躊躇いもなく突っ込むとはさすがだ。
大木を足場にガーゴイルの元まで駆け上がったメルルは大槌を振り下ろす。
ものの見事にガーゴイルの頭部が砕け散り、二撃目で胴体が砕かれた。
-インフォメーション-
王立研究所跡地のボスモンスター、ガーゴイルの討伐に成功しました。
ボス討伐報酬が分配されます。
水避けの石片を獲得しました。
残念ながら初討伐ではなかったらしい。
そこまで難しいボスでもないので不思議ではない。
ドロップアイテムは完全なハズレ、数個集めれば水耐性の防具が作れるがドラゴンスケイル防具があれば必要ない。
……
……
……
なんだ?
どうしてこいつらは帰らないんだ。
「アンドロマリウスさん、本当にありがとうございました。助かりました」
「こちらこそありがとう。ナイス連携だった」
互いに笑顔を取り繕って、軽い挨拶を交わす。
パーティも解除してあとは帰路につくだけのはず。
しかし、メルルはPKをする素振りもなく、ただその場に留まっていた。
これは……
互いが互いにいなくなるのを待っている?
そもそもがここに来た俺の目的はガーゴイルではない。
とあるポーションが必要でやってきただけだ。
クコの森のクルシファの霊廟がそうであったようにこういったダンジョンには隠し要素がある可能性が高い。
というか、確実にあると言っても過言ではない。
なかったとすればそれは単純に見逃しているだけ。
隠されているので普通にプレイしてても見つからない。
この王立研究所跡地の場合は、とある謎解きのようなことをして扉を見つけ、パスワードを入力する必要がある。
「どうしたんですか?」
「いやいや、そちらこそ」
どうやら目的は同じらしい。
普通には見つからなくても、パスワードが必要であっても、ヒントはどこかしらにある。
例えば現在の王立研究所の研究員なら知っている者もいて、クエストをこなせば教えてくれる。
ダンジョンの壁画をじっくりと観察すればヒントが散りばめられている。
まぁ、俺は答えを知っているのでそんなことはしなくてもいいわけだが。
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