第23話

「あははは、よろしくお願いします。アンドロマリウスです」

「おっ、意外とレベル高いじゃん。こりゃ将来有望だな」

「いいアイテムがドロップしたので、運がよかったです」

 どうやら、こいつら俺の動画を見ていないらしい

 知名度はまだまだか。

 まぁ、そのおかげで完全に油断してくれている。

 それに初心者マークだけでなく、魔法使いの武器なのに戦士の防具というあべこべさがさらにルーキー感を引き出しているからな。


「パーティは組んだことあるか?」

「いえ、ないです」

「なら教えといてやるか。パーティを組めばパーティ専用アイテムボックスってのが使えてな、ここにアイテムを入れとけば死んだとしてもアイテムがロストせずにここに残んだよ。レアアイテムをロストしたくないなら入れときな」

「ありがとうございます」

「まっ、待って……」

 妖精王が初めて声を発して動いた。


「お前は黙ってな。今、期待のルーキー君に色々教えようと思ってるからよ」

「……ごめん」

 また俯く妖精王の言葉は俺を見て発せられていたように思う。


「パーティ専用アイテムボックスはアイテム毎にパーティ間で自由に使えるか他のメンバーに勝手に使わせないかを選択できるから、俺らが勝手に盗んだりはできないから安心しな。設定にあんだろ」

「そうですね、どんな感じか見たいので何かアイテムを入れてみてくれませんか」

「ちっ、しゃあねぇな、これでいいだろ」

「装備しているアイテムも入れれるんですか?」

「あぁ、こんな感じでな。ほら、もう十分だろ」

 これ見よがしにアイテムを入れて安心なことをアピールしているのが逆に怪しすぎるだろ。

 こんなのに俺は引っかかっていたのか。


「ファイヤボール、ウィンドカッター」

「なっ!?」

「てめぇ!!」

 妖精王のパーティが鬼気迫る表情で襲い掛かってくる。


「と、その前に、ストーンフォール、アイシクルピラー、ライトニングボルト」

 倒れた二人に魔法を浴びせる。

 パーティを組んでいれば体力の確認ができるので死んだふりは通用しない。

「オワイトレイ、マジックバレット、これでちょうどくらいだな」


 俺が二人に攻撃したのを見て少し経ってから、一人が小太刀を振ってくる。

 間合いが遠いが、俺はきっちりと躱す。

「まるで使いこなせてないな、刃狼の尾テールソードが泣いてるぞ」

「なぜ知っている!?」

「さぁ、どうしてかな。お疲れさん」

 ダークソードで心臓を一刺し。

 なぜ知っているか?

 そんなもの前世の知識に決まっている。

 刃狼は刃状の尾を自在に操るモンスターで刃を伸縮自在に操ることができる。

 スキル名はそのまま伸縮刃。

 攻撃する瞬間に刃の長さを変えて間合いをずらすことができるのが、こいつは使い方が全くなっていない。


「てめぇ、ルーキーのくせに!!」

「翡翠爪で馬鹿正直に近接戦闘とはな、どっちがルーキーか分からんなぁ」

 エメラルドタイガーは素早い動きと鋭い爪が特徴的ではあるが、爪に含まれる毒こそが一番の特徴だ。

 搦め手こそが活きる武器なのに。

 ポイズンニードルを首に撃って楽々撃破。

 残るは……

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