第21話

 現在のフェアリーリング所持数は十個。

 全て精霊の小石と合成してスキルをつけた状態にしてある。

 ルミナスオンラインではアイテムとアイテムの扱い方が最も重要だ。

 すなわち強くなりたければ強力なアイテムを獲得するか、アイテムを強化するのが一番の近道といえる。

 強力なアイテムの獲得はそう簡単にいくものじゃない。

 それに比べればアイテム強化の方が数段楽だ。

 アイテム強化といえば合成なのだが、スキルを強化する合成とアイテムそのものを強化する合成の二種類がある。

 俺がフェアリーリングに施したスキルをつける合成はスキル強化に入る。


 アイテムそのものの強化とは剣なら切れ味、鎧なら耐久性といった、そのアイテム本来の用途を強化するということ。

 アイテムのランクによってつけれるスキルのランクが決まるので、フェアリーリングのような装飾品などもアイテム強化をするメリットは大いにある。

 しかし、フェアリーリングはそもそものランクが高いので現時点では強化の必要はなく、やるならばスキル強化。

 そのためにも合成のためのアイテム集めをしなければいけない。


 精霊の小石の上位互換アイテムの精霊結晶が大量に必要だ。

 それもそうだろう。

 なんせ十個もあるんだから。


「な〜んか、ここって静かで不気味なところだね」

「ここがどこか知らないのか?」

「知らないよぉ、こんなところ。虫が出そうだし嫌なんだけど」

「あぁ、そういえば虫嫌いだったな。ここは妖精の隠れ里だ」

「へぇ〜、話には聞いたことあるけどこんな感じなんだ」

 むしろ森があって湖があって大自然に囲まれてるのが妖精のイメージなんだけどな。

 まぁ、そこらの設定は気にしないでおこう。


 ここは隠れ里というだけあって、とある条件を満たしていないと数十分森を歩かされて元の場所に戻される結界的なものが張られている。

 俺はすでに条件を満たしているので問題がない。

 本当はもっと後に来る予定だったが、色々と幸も不幸も予定外が重なってこんな序盤に来ることになってしまった。


「さぁ、いくぞ」

 森に一歩足を踏み入れた瞬間に結界が作動、あたりの景色が揺れて森の中から自然的で清潔感のある村へと飛んでいた。

 人間サイズの家から小さな家まで大小様々なサイズの家が並んでいる。

 一口に妖精と言ってもルーツや成り立ちの違いから容姿は千差万別。

 人間サイズの妖精もいればターニャのような手の平サイズの妖精、それよりももっともっと小さな妖精だっている。


「うわぁ、なんだか落ち着く場所だなぁ」

「妖精によって管理されてるし、精霊も多いからな。ふふふっ、住んでる精霊共を狩り尽くして素材集めと洒落込もうじゃないか」

 ここには妖精だけでなく精霊も多数住んでいる。

 俺は精霊のドロップアイテムを獲得するために来たのだから当然であろう。


「えっ!?」

 ターニャがまさかといったような声を上げる。


「なーんて冗談だよ。そんなことするわけないだろ」

「もうっ、びっくりさせないでよね〜」

「精霊を倒すのは本当だぞ、ここに住んでる精霊じゃないってだけで」

「あぁ、精霊の半身アナスピのことでしょ」

「正解!!」

「それなら別にいいんじゃない」


 このときの俺はまさかここで奴に出会うとは思ってもいなかった……

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