第14話
渓谷には隠されたダンジョンがある。
クルシファの霊廟、かつて禁忌に手を出して国を追われた大魔術師クルシファが行き着いたのがこの渓谷。
追手を迎撃するために罠を仕掛け待ち構えていたが、誰もそこを訪れることなく月日は経ち、最期を悟った彼は自らの肉体に魔法を施してその生涯を終えた。
施した魔法は転生の魔法だったが失敗、中途半端に発動した魔法が彼をアンデットへと変貌させ渓谷にダンジョンが生まれた。
それからさらに月日が経って渓谷の外側にトゥルガル・トゥランが巣を張り、ダンジョンである霊廟は表に出ることはなくなった。
とまぁ、こんな設定なので普通はトゥルガル・トゥランを倒さなければ入れないダンジョンだが、暴走状態のウィンドマンティスをぶつけることでダンジョンに入ることが出来るようになるという裏技。
渓谷の中部付近に窪みがあり、隠された魔法陣を起動させることで隠し扉が現れる。
魔導具の灯りで灯されたジメジメとした通路を歩いていると突然メッセージが浮かび上がった。
-インフォメーション-
クコの森のボスモンスター、怒れるウィンドマンティスの討伐に成功しました。
ボス討伐報酬が分配されます。
烈風蟷螂の羽を獲得しました。
「おっ、トゥルガルとマンティスの対決が終わったようだな、それにしても怒りモードでハズレか……」
複数人でモンスターを倒した場合、功績に応じてドロップアイテムと経験値が分配される。
今回はトゥルガルがほとんど倒したようなものなので経験値の分配はなし、その代わりモンスターはアイテムドロップの分配がないので功績が少なくても丸々俺が貰えるのだが、獲得できたのはウィンドマンティスのドロップアイテムで外れに分類されるもの。
ボスモンスターの初討伐は必ずドロップアイテムの中で最も確率の低いものがドロップする仕様。
ただのウィンドマンティスならすでに討伐されてても不思議ではない。
しかし、怒れるウィンドマンティスとなると話が変わる。
ウィンドマンティスは通常モードで倒すのと首を潰してから倒すのとではドロップアイテムが若干変わり、怒らせた方がいいアイテムがドロップする。
初討伐に関してもどちらにも設定されているので、つまりは誰かがすでに怒れるウィンドマンティスを討伐していたということだ。
リリース当初からプレイしている先行組が攻略を休んで始まりの街までわざわざ戻ってきたのか?
それはあまりメリットが感じられないが、倒されているのは事実だからな。
そういうこともあるんだろう。
もしくは、ルーキーが倒したとか?
まさかな……
まぁ、強力ではあるけど、別に欲しい武器じゃなかったし気にせず、こっちに集中するとしよう。
土が盛り上がり地中からスケルトンが這い上がってくる。
ここは霊廟であり、ダンジョンなのだ。
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