昼飯時
僕、
休日っていくらでも寝ていられる。
寝ても寝てもずっと眠気が続いてる感じするよね。
けどさすがにもう昼前だしそろそろ起きないと折角の休日が勿体無い気がするから起きよう。
起きて着替えて部屋を出て、階段を降りて左に折れれば正面がキッチンだ。
2階の僕の部屋までいい匂いが漂っていて、この香りからきっと昼飯はチャーハンだなぁと思いながらキッチンのドアを開けたんだ。
カチャカチャジャージャーガチャンガチャンガガガガガッジャー
え?
家庭用のガスコンロってあんなに火力あったっけ?
換気扇のフードに届きそうなくらい火が出てるよ。
うちって中華料理屋じゃないよね?
めっちゃでっかい中華鍋を片手で軽々振ってるのは愛莉だ。
床に着きそうなくらい長くて白いエプロン付けて、何故か頭にコックさんの帽子被ってる。
「あ、あの……愛莉?な、何してn……」
「今忙しいから話し掛けないで!」
そりゃ火を使ってる時に邪魔しちゃいけないよね。
今のは僕が悪かった。
でも、何で愛莉がうちで本格的な中華料理スタイルしてるのかな?
「えっと……忙しいところごめんね……あのさ……」
「忙しいのが分かってんなら手伝って!ほら!お皿出す!」
「あ、はい。」
ジャージャージャーカンカンカンッ
具材の炒められる音と、鍋とお玉の当たる音が軽快なリズムを奏でる。
一般家庭の昼食時には決して聞く事のない音だ。
「皿っ!出すだけじゃ盛り付けらんない!」
「あ、はい。」
僕は食器棚から取り出した平たいお皿を愛莉に渡す。
愛莉は視線を鍋から外さないまま器用にお玉の中に出来上がったチャーハンを閉じ込め、僕から受け取ったお皿の上に半球状にしたチャーハンを盛り付けた。
「ほい!いっちょあがりっ!」
愛莉はチャーハンを盛り付けたお皿をテーブルの上に置くと同時に再び中華鍋の中に油を落とし、片手で卵を割って放り込み、ご飯と具材を手順よく加えてさっきと同じように重たそうな中華鍋を軽々と扱っていた。
カンカンカンッジャーッジュワーッガチャンガチャンッジャージャー
「ほい!出来たっ!」
1つ目と同じように綺麗な半球状のチャーハンをお皿に盛り付け、帽子を取ると少し汗ばんだ顔で僕の方に1億ドルの笑顔を見せた。
「
神?
愛莉は僕の女神様ですか?
「さぁ、冷めない内に一緒に食べよ。」
エプロンを取った愛莉はシンク側の椅子に座った。
僕はその正面に座って愛莉の顔を見てたんだけど、相変わらずの笑顔で顔の前で手を合わせたと思ったら元気よく『いただきまぁす!』と言って自分で作ったチャーハンを掻き込みだしたんだ。
僕も愛莉が作ってくれたチャーハンにスプーンを入れて口に運んだよ。
何コレ?
僕の女神様は中華料理の達人ですか?
まだ16年やそこらしか生きてきてないけど、今まで食べたチャーハンの中でもダントツに美味いんだけど。
「美味しい!」
「よかった!やっぱ中華は火力が勝負よね!」
いや、うちのガスコンロは極々普通にある家庭用のコンロなのでそんなに火力が強い筈無いんだけど。
その普通のコンロでこれだけ美味しいチャーハン作れるって凄過ぎる。
改めて僕は愛莉の魅力に惹かれてますます好きになっちゃったよ。
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