カウントダウン
更新遅くなり申し訳ないです。
タイトルをちょっぴり変更しました。それから後半部分、少し小分けにして投稿いたします(__)
まだまだ書き途中なので、切りのいいところまで書けたら投稿していきますm(__)m
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最終コーナーを曲がったー!
なななななーんと! 靴に履き替えず上履きのまま校庭に入っていった──! お世話係十年選手、
心の中で実況しながら昇降口を突破。
上履きはもう、必要ない。
靴だっていらないさ。
君のもとまで走っていけるのなら、他にはもう──なにもいらない。
「うああああああああ」
愛に溺れたバカップルで溢れかえる校庭を、縫うようにして突き進む。どいつもこいつも幸せそうに似たような面をして、フォークダンスを踊っている。
ここには個性なんてものはない。
あるのはただ、愛だの恋だの不確かなもの。
まさに、この世の地獄。
恋に盲目したチリアクタ共の巣窟。
でもその中から俺は──。君だけをすぐに見つけ出せる。
屋上からずっと見ていた!
ずっと、ずっと、ずっと! 君だけを見て来た! ──十五年間! ずっと!
──まみちゃん!
「うああああああああああ!」
頭の中をまみちゃんと過ごした十五年間が駆け巡る。
出会いから幼稚園入学。小学校。中学校。そして現在に至るまで──。
……あぁ、そうだ。小学生の頃はクラス替えの度に、御百度参りをしに神社に行ったんだよな。
まみちゃんと同じクラスになりたいが為の、神頼み。
念願叶って運良く同じクラスになれた年は、欲深くも隣の席にもなりたくてさ。席替えの度に御百度参りしちゃってたっけ。
それでもただの一度も隣の席にはなれなくて、遠く離れた席のまみちゃんをいつも眺めていた。
授業なんかそっちのけさ。四六時中キミを見ていた。
いつだって俺の瞳の中にはまみちゃんがいた。
学校が終わっても、離れていても──。いつだって瞳の中はまみちゃんの残像でいっぱいさ!
二○一二年。三月八日のまみちゃん。
二○一四年。六月九日のまみちゃん。
目を閉じれば昨日のことのように思い出す。
二○一七年。七月六日。十二時五十六分のまみちゃんは、美味しそうに給食のプリンを頬張っていたよね。
二○一八年。五月七日。十四時四十三分のまみちゃんは、苦手な数学の授業でお眠りさんしてたよね。
いつなんどき、どんなときのキミだって瞬時に思い出せる。
俺にとってキミは、生きていく上で欠かせない存在。お陽さまなんだよ。
だから──。
「まみちゅわぁぁぁああああん!」
中学受験──。
俺はどうしてもまみちゃんと同じ高校に通いたくて、志望校のランクを落としたんだ。
とはいえそんな横暴、親や教師が許すはずもなく──。緩やかに計画的に成績を落とした。
後悔はなかった。まみちゃんと同じ高校に通える喜びの前では、小っぽけなことだった。
変わらぬ毎日。まみちゃんの笑顔が近くにある生活。
明日も明後日も。この先もずっと毎日──。
それなのに俺は、欲を出してしまった。
愚かにもスーパーマン業務を放棄して、大学受験に励んでしまった。
二人の幸せな未来。ビューティフルライフばかりを思い描いて、大切な今を蔑ろにした……。
因果応報。これは罰なんだ。
当然の、報いなんだ。
「まみまみまみちゅわぁぁぁああんんん!」
君のいない人生なんて、考えられない。
君がいないのなら明日も明後日も、もう──。いらない。
だから頼むよ、神様。
俺が欲しいのは、今。この瞬間だけ──。
もう一度。最後に、キミに──。
キミに! まみちゃん!!
「うわぁぁああああ! まっみちゅわぁぁぁぁあああん!!!!」
まみちゃんまでの距離。百メートル。九◯。八◯、七◯。
「ちゅわぁぁんちゅわぁぁんまみちゅわぁぁぁぁん!!」
フォークダンスにうつつを抜かす、恋盲チリアクタ共の間を縫うようにして駆ける。
「なにしてんだあいつ?」
駆ける。
「よく見たら世話係じゃん」
駆ける。
「あれれ〜? パートナーが居ない者の立ち入りは禁止されてるの、知らんのかな〜?」
「ねぇ、ひょっとしてこれって……。『ちょっと待った~!』ってやつじゃない? だってお世話係くんってさ、BSSされちゃったワケじゃん?」
「あ。それだ! 間違いない!」
駆ける──!
「だったら捕まえて追放しないとじゃん! 永遠の愛を誓うフォークダンスを邪魔する者は、たとえBSS事後であろうとも許してはならないぞ!」
駆ける──!
つがいを持つ恋盲チリアクタ共に俺は捕まえられやしない。二人でひとつのお前らとは、運動性がダンチなんだよ!
「ちょっ、世話係! おとなしく捕まれって!」
「そうだよお世話係くん! こんなことしたって余計辛くなるだけだよ?」
「お家に帰って枕でも濡らしてろって。それが今のお前にとって一番大切な時間だぜ?」
「なんだこいつ……。トロそうに見えて以外と、素早しっこいぞ?! 弱者男性みたいな面してるのに、なんでだよ?!」
──見えるッ!
──そこォッ!
ソロプレイヤーの身軽さを舐めるなァ!
「まみっちゅわぁぁぁあん!」
まみちゃんまでの距離、六◯。五◯、四◯。
もうすぐだよ。まみちゃん。
「まみまみまみちゅわああああああああん!」
まみちゃんまでの距離、三◯。二◯、一◯。
行けッ。俺! 行っちまえぇぇええええええ!
「うあああああああああああ」
まみちゃんまでの距離────零ZERO。
届け。この手、この想い。ありったけすべて!
届けッ──!
「まみちゃん!!!!」
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