第4話

 大和モータース。

 全部で約20台ほどのバイクか並ぶ、どこにでもありそうなと、なんの変哲もない小さな個人店だった。

「ここですか」

「はい」

「すみませーん」

 勇人は店員を呼ぶ。

「はーい」

 奥から、青いつなぎを着た40代くらいと思われる男が出て来た。

 この男が大和モータースのオーナーだった。

「オーナー、内村さんにこのバイクをお売りになられたので、よろしいですか?」

 勇人はオーナーに、内村の持っていたカタログを見せた。

「ええ、そうですよ。内村さんにお売りしたバイクです」

「このバイクは、どこで手に入れたものですか?別に盗品を疑っているわけではありません。気を悪くしないで下さい」

「いえ、大丈夫です。……実は買ったバイクではないです」

「買ったバイクではない?」

「はい。ですので、本来は売り物ではないやんですが、内村さんに口説き落とされましてね」

「内村さん。本当ですか?」

「はい」

 勇人は携帯を操作しつつ訊いた。

「どこで、譲ってもらったのですか?経緯を聞かせて下さい」

「不動山でボロボロに放置されたバイクを見つけたんです」

「ほほう、不動山で」

「外はボロボロでしたが、エンジンは無事そうだったんで家に持ち帰り、レストアしたんです」

「そして、レストアを完成させて、お店に置いておいたと」

「はい。その通りです」

「ありがとうございます。聞きたいことは以上です」

 そう言って頭を下げ、内村と一緒に大和モータースを出た。


「何かわかりました?」

 大和モータースを出るなり、内村は訊いて来た。

「ええ、おそらく朧車(おぼろぐるま)です」

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