第5話

 朧車(おぼろくるま)それは、妖怪の名前だ。

 本来半透明の、特に害をなさない珍しい妖怪である。今のところなぜ、バイクを盗んだのか理由はわからない。

「つまり、妖怪の仕業だと?」

「ええ、まだ決定打はありませんが、1人でに動き出した。日々妖怪も進化するので、透明になる術を見つけた可能性があります。突拍子もなくて信じられないかもしれませんが」

「いえ、バイクが1人でに動き出したんです。妖怪の仕業と言う手掛かりを掴めただけで、御の字です」

「では、行きましょうか」

「え、どこにです?」

「不動山です。そこで、拾われたバイクですから」

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