第10話

高2の時、高梨さんと同じクラスになり、修学旅行で富士山に行った。

高校でバスに乗りこんだら、バスガイドさん、めっちゃ可愛いかった。

高梨さんとボクは、いちばん前の席だったから、バスガイドさんのこと、めっちゃ良く見えた。説明しはってる声も、めちゃめちゃ可愛い。

サービスエリアに着いたら、バスガイドさんと、ずっと話をしていた。バスガイドさんは、ボクのこと、女の子だと思ってるみたいやったから、そのままにして、しゃべっていた。

可愛い下着を集めてる話をしたら、

「これ、あげるから、ぜったい、ちゃんと使ってねっ!」

って言って、バスガイドさん愛用の下着をプレゼントしてくれた。

5号目まで、バスで行き、そこから頂上目指して歩いて登って行った。

高梨さんと手をつないで登っていて、大きな鳥居をくぐったあたりで、急にフワーッと、白くて濃い霧、発生して、あたり一面、真っ白になり、高梨さんしか見えなかった。高校の友達も、富士山の景色も、何もかも、真っ白になって見えなくなった。それでも、何か、めっちゃ神聖なる感じして、富士山に、

「よく、ここまで、登って来てくれました」

って、歓迎してもらってる感じもした。

しばらく、高梨さんのことしか見えてなかったから、高梨さんと白い霧の中でチューしてみた。まだまだ、白い霧のままだったから、何回か、チューしてみた。

「あっ、香絵ちゃんだっ」

って、高梨さん、言ったかと思ったら、

「あ~、2人で、こんなところで、何してるの~?まあ、いいけど...」

って、香絵ちゃんの声、霧の中で聴こえてきた。

それから、また、フワーッと白い霧も吹きとんでいって、あたりの景色も、高校のみんなの姿も見えるようになった。

高梨さんとボクは、また手をつないで、富士山から降りていった。まわりのみんなも、それぞれ、キャーキャー言いながら、富士山を降りて行ってたから、みんなもきっと、富士山に何かしら歓迎されてたんやろなあ~って思っていた。

宿泊先では、富士山の姿、めっちゃ良く見えたから、高梨さんといっしょに、富士山の絵を描いた。

お土産屋さんで、富士五湖のマリモを2つ買って帰った。

丸くて、ちっちゃくて、可愛いマリモ。

1つを、帰ってから、イレーヌちゃんに、

「富士山のお土産だよーっ」

って渡したら、

「うわ~、めっちゃ可愛い~。ありがとう~」

って言って喜んでくれた。

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