17
猛スピード/ガソリンエンジンのような荒々しさはないが、タイヤが地面を蹴る音と、電動モーターがキーキー音を立てている。車内は左右前後、上下に揺れる=気分が悪くなりそう。
守衛はニシとテツの乗った
疾走=「構内徐行30km/h以下」の看板が見えた。平時なら懲戒処分モノの運転。タイヤがキリキリと擦過音を立てる。
「地下の自働工廠ったら、北側の広場でこの間から工事してたやつだよなぁ」
「ええ。資材搬出用の出入り口があるので、
「共振器は1つ300kgはあるだろ。それにデカい。ニシさんが作っている間、トラックを取ってこようか」
「いえ、急がないと潰瘍が広がってしまいます。この
「載せるってもせいぜい1台だけだろう」
「魔導で軽くして積み上げます。それなら5台でも10台でも運べます」
「まったく、魔法ってのは便利だねぇ」
「ええ
基地の北側の更地=古い地下鉄の駅をさらに拡張/魔導機械の群れを収納。そこへ続くスロープの中ほどで停車した。扉が閉じたままだった。
「ついてねぇなあ、俺たち」
テツ=溜息。
「世界を救っているってことです」
「そういうことにしておこう。扉を開けてくるからちょいと待ってろ」
その時、空気を揺らす爆轟があたりを包んだ。地面が揺れて、ひどい耳鳴りに襲われた/同時に強力なマナの流れを感じた。粉塵で視界が悪くなった。
「直近です。たぶん、地下施設の直上あたり」
「ああ、畜生」テツ=扉の操作パネルの前で「今の爆発で緊急プロトコルが発動した。この裏側で防爆ドアまで閉まりやがった。開けるには、俺より上位のアクセス権限が必要だ。佐藤女史に来てもらうしかない。が、そんな時間はない。少し時間をくれ。緊急プロトコルをオーバーライドする」
銃と筋肉の男=そういうイメージだったが、電子的な知識も持ち合わせていたのか。
「大丈夫です。こじ開けます」
ニシが固く閉ざされた扉に手を触れた。
「こじ開けるって、軍事規格のブラストドアだぞ……って失敬。魔法使いだったな」
「魔導士です」
備品を壊すとか、そういうことに配慮している余裕はない。お上品じゃない方法で開けるしかない。
高速詠唱。声なき声を唱えた。左右に
「どういう構造ですか。金庫みたいな」
「たまげたねぇ。
「任せてください」
高速詠唱。新たにエメラルド色に輝く魔導陣が扉の左右に現れた。その上部からゆっくりと熱線を照射=鋼鉄製の閂を焼き切っていく。
激しく火花が飛び散る/テツは腕で顔を覆った。
「ぶったまげたねぇ。こんなこともできるのか。これじゃ、どんな敵でも負ける気がしねぇ」
テツ=ニタニタ/武者震いが止まらない様子。
「扉を持ち上げます。
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