第四話 粗忽者之手柄
實松屋の主人に招かれた理由も今となっては分かる。
手中にある無骨な、岩のような、粗野で
石塊は
パリン。
意外にも高い音を出すのだな。最期まで野武士であれば良いものを。
背後で鳴いた声に特段驚きもせずに
「す、す、すんまへん!」
別に意図したわけではない。弟子たちの中でも
「え、えらいことしてもうた……」
「……っく」
「……くっくっ」
「あーはっはっは!!」
「お、親方……?」
――糸だ。そう直観した。家内が、實松屋の主人が、あの時満開の梅花に
「
「あーーはっはっは!!」
✿✿✿
「旦那はん」「あれ見ておくんなまし」
そう声を掛けれた實松屋の主人は手向けられた方を見やる。
「あんれま、こないだまで
「
主人は満開の桜咲く中、睦まじく歩く麗風窯の夫婦を見止めるとこう漏らした。
「どら、今度ウチのと相談してみまひょ」
得心、といった体で番頭も続く。
「へぇ、それがよろしおすな」
「今度の催しもんはちょっと盛大になりますやろか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます