清蘭祭2年目の時間

第237話 清蘭祭1日目 始まるよ!

清蘭高等学校学園祭。


去年は、開校以来初めての男子生徒でもある逆月悠馬が入学、世間でもYouMaとして有名になって居る男の子の入学と言う事でとんでもない騒ぎになる。


学校側も生徒会側も準備や企画に大忙しになり、悠馬の提案の元、スタンプラリーやライブ等の沢山の催しも行われる。

その結果、昇降口や、一般客が入る場所には監視カメラや警備員等も配置され学校側の出費も多くなる。


だが・・・YouMa効果と言うべきか?来場者や、来場者が落としていくお金は莫大な金額になり全ての経費を差し引いても余裕の黒字となった。


そして・・・悠馬が入学して2年目の学園祭が遂に始まる。

今年は去年と違い、悠馬を目標にした男子の入学もあり、その中にはYouMaが唯一、側に置く事を許しだと公言する男の子でもあるも居る。


つまり・・・どんな来場者数になるかもどれだけの騒ぎになるかも未知数である。


そんな学園祭が、遂に始まる・・・っ!

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「皆さん、おはようございます。生徒会長の高坂明日香です。遂に清蘭高等学校の学園祭が始まります。今年は去年以上の来場者が見込まれます。今の2年生、3年生は去年の反省を元に去年以上の成功を、新1年生の皆さんは迷ったり混乱したりすると思いますが、遠慮せずに先輩達を頼り目一杯この二日間を楽しんでください。」


校内放送で明日香会長の声が響き渡る。

その声によって、校内の生徒達も気持ちもどんどん高まって行きこれからお祭りが始まると・・・。


「私からは以上になります・・・。ですが!もう一段階皆さんの気持ちを高める為に学園祭の開始は・・・彼からっ!」


「皆ーおはよーーー!!学園祭の準備お疲れ様!遂に俺達の学園祭が始まるぞ!去年は、俺がガンガンやらかしまくったけど、今年からは1年の男子がメインになるんだ!それは何故かって?今年からは俺だけじゃ無く皆の事をって事をしっかりと認識して二日間頑張ってくれ!」


悠馬の演説も生徒達に染み渡って行く。


「な〜んてな!そんな難しい事を考える暇あるなら・・・単純に楽しめっ!!俺達の学園祭を全力で楽しむんだ!男子も女子も関係なくな!!俺だって1年に任せっぱなしにはしないぜ?今年も沢山てやるつもりだ!」


うおぉぉぉぉぉ!!楽しみにしてるぅぅぅぅぅ!とあっちこっちから声が上がる。


「そんじゃ・・!!!男子も女子も全力で楽しめ!!徹底的にやるぞ!おまえらー!!!」


おぉぉぉぉ!!しゃぁぁぁぁぁぁ!!やったらぁぁぁぁぁぁあ!!と、全ての教室から声が上がる。

放送室にいても軽く聞こえてくるんだから、マジでやべぇ!


「それではっ!皆さん行きますよー!!」「清蘭祭ーーーーー!!!!!」


「「スターーーーートーーーー!!!」」

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SIDE 1-A


「いらっしゃいませー!」


クラスの子達の声が響く。

スタートして直ぐに俺達のクラスに沢山のお客さんが来てくれてどんどん注文が入る。

健司スペシャル、翼スペシャル、陸スペシャル、水夏スペシャルとかって変な名前まで付いたメニューまであって困る・・・。


「稲穂くん-!健司スペシャル3ね!」


「健司ー!こっちは4!」


「了解!直ぐにー!」


わいわい、ざわざわとお客さんが会話を楽しんでるのを尻目に俺は注文をどんどん片付けていく。


「あの!あの!ここってYouMa様の関係者も多いんですよね?」


「あー・・・関係者って言うか、普通に仲は良くさせて貰ってます。」


「そうですね。妹さんとかも居ますので、初日から声をかけて貰ってます。」


「わぁぁ!羨ましいですっ!」


と、陸や翼や水夏に沢山の声がかかってる。


「ねね!自由時間とかあるよね?良かったら案内とか頼めない?」


「始めて来たんだけど迷いそうだからさ!」


「ごめんなさい。そういうのは断ってるので・・・。」


「校内で迷惑かけちゃだめだよ!去年よりも警備員多いし悠馬先輩に〆られるよ?」


立花さんを筆頭に門倉さんや小河原さんにも・・・。


「ぇー・・・良いじゃんー!折角だしデートしよ!デート!」


「はーい!2名様おかえりでーす!警備員さんよろしくお願いしますー!」


「は?!いや!ちょ?!」、「まてまてまて!この程度でか?!」


うわぁぁ・・・こういう言い方はあれだけど・・・ガタイの方が・・・連行を・・・。


「ご愁傷さまです・・・。」


「あ、あはは・・・バカ湧くの早かったね・・・。」


「悠馬さんが警備員も増やしたって言ってたけど、そっこーでこうなるとは・・・。」


「何にしてもこれで少しは減るでしょう?多分きっと・・・。」


だったら良いけどねぇ~・・・何にしても今は注文の処理をやらないとね。まだまだ始まったばかりだし!


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SIDE 1-B


「ご、ごちゅみは?!」


「ふわぁ!?えっとえっと・・・。」


ねぇ・・・これ失敗じゃない?本当に合コン喫茶とかやっちゃってさぁ・・・。


「ねぇ、優理・・・これさぁ・・・。」


「うん、失敗だよね絶対・・・。」


いやまぁ、確かにクラスの子達や来場者さん達、男女問わず来てくれてお互いに第一印象で決めて席に着いて色々と話してる。

飲み物や食べ物を頼んでもらってからだけど・・・。


「お邪魔しまーす!合コンって楽しそうじゃん!俺の相手はーそっちに居る黒髪ロングの子でよろしく!」


うわぁ・・・チャラそうなの来た・・・てか黒髪ロングって誰よ・・・。


「君だって君!てか、合コンとか良いや!このまま俺とイイ事しようぜー!」


「は?!私?!」


真っ直ぐに私の所にきた人は私の手を取ってそのまま連れ出そうとする。


「困ります。ルールは守ってください!それに私は既に恋人も居ますからお断りです!」


「良いって!そんな見栄張らなくて俺がすっごい天国見せてあげるからっ!」


「ちょっと!嫌だって言ってるんです!・・・あっ。」


「お客様・・・お帰りになりましょうね?」


うわぁ・・・そっこーで捕まってる・・・。


「は?いやいや!あんたはお呼びじゃないって・・・って?!力つえぇぇぇ?!」


首根っこ掴まれてそのまま連行されたチャラ男・・・ご愁傷さまです。


「アハハ・・・対応はや・・・。まぁでも良かったね?優理。手首は大丈夫?」


「う、うん。大丈夫。それにしても対応早いなんてものじゃ無いよね?確かに悠馬先輩が警備員を増やしたとは言っていたけどさ。」


「そうだよねー。何でだろね?早いに越したことは無いんだけどさ。」


まぁ・・・ね?とは言えだよねぇ〜・・・。

取り敢えず!まだ始まったばかりだし、頑張らないとね!


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SIDE 校門前


「問題起こしそうな二人組と、すげーチャラいのが行った、注意深く見ていてくれ。ヤラカシたら直ぐに処理を。」


俺は今、校門前で来場者を捌いてる。

それと、言うのも確実に増えてる客に対しての対応と、陸が参加した映画のチケットの販売の為と、問題を起こしそうなのが通った時に中の警備員に知らせる為にだ。


「あのぉ〜・・・良いですか?」


「あ、すいません!来場ありがとうございます!去年と同じくスタンプラリーをやっていますし、演劇部と映画研の合同の映画の放映等もありますので!チケットは必要になりますがもし宜しければ見てみたりしてくださいね!」


「はい!!後でチケットを買いに来たりしても大丈夫ですか?」


「勿論!ですが、数に限りがありますのでその時はご勘弁ください。」


「はい!その辺は分かってます!ありがとうございます!」


「いえいえ!それではお楽しみくださいね!」


手を振りながら見送って、次の方〜と、声をかけどんどん捌いていった。


「ふぅ!少し落ち着いたかな?」


「そだね!クラスの方は大丈夫?」


「悠花や薫に確認したけど去年よりも見る場所が多い分、そこまでじゃ無いみたいだ。」


「それなら良かったけど。結構拘束しちゃったからさ〜。」


去年の余りのデフォルメ悠馬くんのぬいぐるみが校内のあっちこっちに飾ってある。勿論、ガラスケースに入ってだけどな。

そのぬいぐるみからは俺の案内アナウンスを流したりしながらしてるから多分それも関係してると思う。


「あっ!いらっしゃいませ!!」


考え事をしていたら俺の隣で受付けをしている先輩が声を上げる。

それに反応して、俺もその人の姿を見た。

うん、見たんだけどね?何してんの?せめて変装しろよ・・・。


「何でそのままの姿で来てんのよ・・・詩音。てか仕事は?」


「変に変装なんかしたら逆に目立つってば!今日と明日は完全にオフだよ〜!この為に凄い頑張った!!」


「九羅華さんの苦労が目に浮かぶ・・・。」


「良いじゃん!菜月ちゃんからも誘いあったんだし来ない訳無いよー!」


「良くありません!どんだけ苦労したと思ってるんのよ!!悠馬さん、お久しぶりです。」


ペコリと頭を下げてくる、マネージャーの九羅華さん。

俺もそれに倣って同じく頭を下げて挨拶しながら・・・。


「心中お察しします。お久しぶりですね!」


俺と九羅華さんと、詩音のやり取りを見ながら、俺の隣てか一緒に受け付けをやってる生徒会組も目を見開いて口をパクパクしてる。

まぁ、当然か・・・本物の芸能人だもんな。


「それで?やるの?見るの?」


「勿論!私だってYouMaのファンだしね!やらない訳無い!それに映画も興味あるしね!」


「同じく。折角なので詩音と回らせていただきます。」


了解!と、元気に返事をして、二人にスタンプラリーのシートと、映画のチケットを渡して、軽く説明。


「ありがとっ!それじゃまた後でね!」


「おい!九羅華さん!詩音!忘れもんだ!」


離れていく二人に向かってそれぞれビニールに入ったあるものを投げて渡す。


「それはオマケだ!楽しんでな!!」


ブンブンと、詩音は手を振りながら、九羅華さんはペコリと頭を下げてそれぞれ校内へと入って行くのを見送って振り返ると・・・。


「な、なに・・・?」


真顔で俺にガン見してる生徒会役員達・・・いや、こえぇよ?


「詩音って詩音だよね?」


「やっぱり去年のアレには悠馬くんが関わってるのね?」


「芸能人までとか、流石にやり過ぎじゃないかな?」


「偶々だよ・・・?偶々そう言う流れになったからってだけでさ・・・。それと、オフレコな?」


「「「分かってるよ?でもさぁ〜・・・ね?」」」


「手作りケーキでどうかっ!!」


「宜しい。私達は何も見てない、聞いてない。なので、楽しみに待ってるからね。」


「うぃ・・・。」


くっそぉ〜・・・圧がスゲェんだよ〜・・・。

女子怖い女子怖いっ!!


こんな始まりで少し今年の学園祭は不安が出てくるのだった。


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