第233話 ミス?ミスター?
「ミス?コンって・・・何?」
とある、学園祭の準備期間の朝に昇降口にある掲示板に張り紙があった。
「えっとぉ・・・学園1の美少女?と美少年?を決めよう!参加をお待ちしております!って・・・ぇぇぇぇ・・・。」
一緒に登校してきた優理さんが俺の続きを読んで困惑した声をあげてる・・・。
俺の頭の中も同じである。
「何で疑問符ついてるの?普通に悠馬さんや星川先輩達で独占して終わりだよねこれ?」
「う、うん。後は会長とか菜月ちゃんとかだけど、どちらにしてもこの辺が独占して終わりになるよね〜?」
ほんとそれっ。学園アイドルの悠馬さんと、3女神とまで言われてる星川先輩達、妹の菜月さんなんかが独占して終わるだけだよなぁ〜。
「優理さんも出てみる?間違いなく先輩達と良い勝負するしさっ!」
「えぇぇぇっ////ムリムリムリっ!私じゃ足元にも及ばないってばっ!」
そんな事は有り得ない。容姿もスタイルも性格も一切負けてないんだからっ!
「そんな事無いからね?!優理さんは綺麗だよ!それにとても可愛いし!!」
「ぁぅっ/////」
「それに、スタイルだって良いし優しくて思いやりもあって「健司くんまってっ///まってっ///」・・・うん?」
「お前らさぁ~・・・昇降口でいちゃつくなっての・・・。」
「しかも・・・朝っぱらからね・・・。」
「家でやってよ・・・。」
「何て言うか・・・流石だな?稲穂。」
「「あっ///」」
ついつい、場所も考えずにいつもの調子で優理さんを褒めてたら、陸達に呆れられながら突っ込まれた。
「俺も人の事は言えないかも知れないけど・・・稲穂ほどじゃ無いってのは言えるかな・・・。」
「向井くん?!俺も向井くんには言われたくないよ?!」
「俺等からすればどっちもどっちだわ・・・。」
「「うんうん。」」と翼と水夏も頷いてるし・・・。
「も、もうっ///良いから行こうっ?!詳しい事は後で分かるってきっとっ。」
優理さんに手を引かれて俺は教室の方に移動を始める。
「渚くんも行くよ?!余計な事とか言いそうだしっ!!」
「ちょ?!里香?!」
向井くんも同じように引っ張られてるし・・・俺の彼女も向井くんの彼女もこう言う時の力強さって何なんだろうね?
そういや・・・悠馬さんも同じような事を言ってたっけ・・・。
こう言う時の女子には勝てないって・・・。
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「全員、席に着いてー!」
教室に着いて暫くして、担任の先生が教室に現われて俺達はそれぞれの席に着く。
「それでは、出席を取りますー。」
「せんせー!昇降口の張り紙って何なんですかー?」
「はいはい。今から説明するからっ。書いてる通りミス?ミスター?コンテストの参加者を募ってるんですよ。」
「何で疑問符が付いてるんですか?」
「それはですねー、女装と男装でって事なので疑問符が付いてるんですよ。」
「「「?!?!?!」」」
そうか・・・そう言う事かぁ~・・・。
悠馬さんだろうなぁ~・・・この企画。
「最初は生徒会が男子も増えた事でミスコンをしてみようと企画をしたんです。」
あれ?悠馬さんじゃない?企画原案。
「ですが、増えたと言っても20人、逆月くんを入れても21人なので変に順位を付けるのも良くないと言う話になったんですが・・・折角なので趣向を変えて女装と男装でコンテストをしましょうと逆月くんから、提案があってそれを採用したと言う訳です。」
あぁ・・・やっぱりか・・・。
「菜月!菜月!そうなの?」
「ですよー。兄さんは出ませんけどね。」
「えっ!?悠馬先輩は出ないの?!」
「出ないですよー。だって、出たら普通のコンテストでも女装でも兄さんが確実に勝つじゃないですか。」
はっきりと言い切ったよ・・・。でもまぁ・・・確かにそうだよなぁ~・・・。
「あぁ・・・悠馬先輩の女装姿凄かったもんなぁ~・・・。」
「確かに・・・。学祭の時に見たけど女性にしか見えなかったね・・・。」
「はいはい!静かに!それじゃ朝はここまで!今日も頑張りましょう!」
そう言って担任は外に出て行ったけど、教室内はコンテストの話題で一杯だった。
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「あれ?健司も優理ちゃんも出ないの?」
お昼休み、悠馬組が集まっての昼食。
健司は優理ちゃんが作ったお弁当を食べてるし、渚も深山威の作ったのを食べてる。
と言っても、健司に関してはお互いに週替わりで作り合ってるみたいだけどねー。
順調に仲を深めてるようで何よりである。
「出ませんよ・・・。仮に俺が出ても女の子にはなれないしってか見えませんって・・・。」
「それはそれで面白いと思うぞ?ほら・・・ゲテモノ枠的な?」
「ひどっ?!?!」
ぶふぅと周りも俺と健司のやり取りに噴き出してる。
「皆汚いな~・・・。優理ちゃんは出ないの?美少年になれるでしょ!里香ちゃんもだけどさ。」
「いやいや・・・私なんてとてもとても・・・。ねぇ~?」
「優理は兎も角、私は似合いませんって・・・。」
「そうかな~?良い線行くと思うけどなぁ~・・・。二人とも。」
絶対に似合うよなぁ~・・・二人が男装したらとっても、てか・・・柚美ちゃんも千里ちゃんも涼ちゃんもだけど似合うよな。
「柚美ちゃんと千里ちゃんも似合うだろうし涼ちゃんとかクールな美少年になりそうだけどな。女装は・・・水夏とか良いんじゃね?」
「ぼ、僕ぅ?!」
「「「「「「「「「あぁ・・・確かにっ。」」」」」」」」」
「女性陣揃って・・・納得しないでよ・・・。」
物の見事に意見揃ったわ・・・。
「水夏は線も細いしなぁ~・・・小柄だし中性的な顔だし多分一番似合うんじゃないか?っと・・・気にしてたらすまん。」
「いえ・・・確かに気にしてますけど、良く言われるので・・・。」
「す、すまん。悪気はない。まぁでも、折角こう言うイベントをやるなら楽しませるのと楽しむって理由だけで参加しても良いとは思うぞ?一応俺も審査員では参加する事になってるし。」
「私が言うのもなんですが・・・気楽に参加して思い出の一つにしてくれれば良いかなと、思ってます。」
「それに、何かのチャレンジを迷うくらいならやった方が良いな。やらないで後悔するのは向き不向きも分からないで終わるけど、やって後悔するなら少なくても向き不向きは分かるからな。まだまだ自分に何が向いているのかもわからないんだから、少しでも興味あるならやってみれば良いさ。」
「ねぇ、悠馬・・・。良い事は言ってるんだけど、今その話をしたら女装と男装やれ!って言ってるのと変わらないよ?」
「俺も話しながら思ったよ・・・。まぁ、でも間違えた事は言ってないし学園祭で色々募集もしてるんだし少しでも興味持ったらやってみろって事さ。」
「だとしても、俺には似合わないの分かってるので無理ですね。」
「だから、健司はゲテモノ枠で「実は俺の事、嫌いだったりします・・・?」・・・んな訳無いしっ。」
「健司くんは中性的だったりする訳じゃ無いし、男の子!ってタイプだもんね。私はそこも好きなんだけどっ///」
「ゆ、優理さんっ///俺も優理さんの優しいところも好きだっ///」
「「「はいはい、ご馳走様!!!」」」
二人のやり取りに皆が揃って砂糖を吐く仕草をしてるのを笑いながら眺めてると、陸が考え込んだ顔をしていた。
「陸。どうかしたか?」
「あっ!いえっ!何でも無いですっ。」
「そうか?何かあるなら言えよ?悩みでも何でも良いからなっ。」
「はい。ありがとうございます。その時はお願いしますっ。」
ふむ?何かはありそうだが、相談するほどでは無いってところか?それとも・・・。
「興味があるならやってみるか…」と、一人呟く陸を見ながら、相談があるならしてくるのを待てば良いかと結論付けて俺は皆の話に混ざるのだった。
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