終章 秋の時間
第230話 今年の学園祭のやらかしは?
〜夏休みに入る少し前の悠馬クラス〜
「失礼します。悠馬くん居ますか〜?」
とある昼休み、教室でご飯を食べていた俺の元に、演劇部の
「えっと、今年の学祭の事なんだけどさ。」
「去年みたいにやる予定はあるのかな?」
「あ〜、まだなんも考えてないですよ。それが何か?」
「いや〜、そのさ・・・。」
「えっと・・・あのぉ〜・・・。」
二人の先輩の様子に俺を筆頭に愛央達も疑問符を浮かべてる。
「あのね!去年は軽音とダンス研に協力してライブして大成功したでしょ?」
「それでダンス研が部になったじゃない?」
「あぁ・・・それで今年は映画研にって事です?」
「う、うん。その理由はどうあれ利用って形になっちゃうから私としても嫌なんだけど・・・卒業までに部にしたいの。」
「成る程・・・。確かにその理由なら分かります。」
「ん-・・・でもさー悠馬の力で部に昇格しても意味ないでしょ?」
「ですね。結局のところ、悠馬さんが参加している訳では無いですし。部に昇格して部員が増えたからと言っても、来年度の1年しか無い訳ですし・・・。」
「そこだよね。宮島さんは卒業してしまうからその後は関係ないかも知れないけど残された部員は?」
うーむ・・・。愛央も志保も清華も遠慮ないな~・・・。的は得てるけど・・・。
「それは、そうなんだけど・・・。でもそれを言ったら!ダンス部だって!」
「ダンス部は今年と来年と2年あるでは無いですか。そこに今年の1年とか来年の1年の男子が入ればまだ・・・ですけど。」
「やっぱり駄目かな・・・?3人の言ってる事は勿論、分かってるんだけど・・・ね・・・。」
「うん、まぁ・・・良いですよ?てか俺に話持ってきた時点で考えはあるんでしょう?それに・・・去年の約束もありますしね。」
「覚えててくれたの?!」
「忘れませんよ・・・。つーか、女装とかコスプレとかで演劇部には協力して貰えたし、映画研にはライブの映像関係で協力して貰えたし、来年はメインで力になりますって口約束ではあるけどしてましたしね。」
「ありがとう!!!まさか覚えててくれたなんて・・・。えっと!それでね!考えた事なんだけど!」
俺が協力するって事に承諾したことで愛央達も仕方ないって顔をしてるのを尻目に、話を持ってきた二人は俺に考えを話してくる。
「あのね!映画研究会は映画を作ろうと思うの。そして・・・。」
「その映画に私達演劇部が出演して作品を作るって形で共同で作ろうって事になったのね。」
あぁ、うん。それが一番いいかも知れないな確かに・・・。
「それで悠馬さんに何を求めてるんですか?まさか出演しろとでも?」
「悠馬にそんな事させたら人は沢山集まるだろうけど、準備期間も当日もずっと掛かり切りになるのは分かりますよね?」
なんか・・・愛央も志保も
「う、うん・・・だからね?その・・・もし良ければシナリオを書いて貰えないかな?って・・・。」
そうか・・・そっちで来たか・・・。
「いやいや・・・幾ら悠馬くんでも映画のシナリオを書くって無茶も良い所でしょ?!流石に頼りすぎ!!!」
「うんうん。」と愛央も志保も頷いてる。
「うん。夏休み明けで良いですよね?シナリオを渡すの。」
ぽかーんっと愛央も志保も清華も双海先輩も宮島先輩もアホみたいに口開けて俺を見てるわ。
「流石に少し時間欲しいので・・・夏休みにも入るしその間に何とかしますよ。」
「ぇ・・・?言っておいて何なんだけど・・・それだけで良いの?」
「出来ちゃうんだ・・・。さすがは悠馬くん・・・。」
「はぁぁ・・・安請け合い・・・にならないんだよなぁ~・・・悠馬の場合・・・。」
「ですね・・・。はぁぁ・・・。」
なんか酷くない・・・?やるって言ってるのにさぁ~。
そんな訳で、俺は夏休みの間に一つのシナリオを書きあげる事になるのだった。
…………………………………………………………
ぐすっ。うぅぅ。ずびっ。
私は人目も憚らずに教室で泣きながら一つの台本を読み進めていた。
その内容は恋人と死に別れた男の子が、新しい出会いを通して過去を乗り越えて先に進むと言う内容だ。
この話は夏休みに入る前に悠馬くんに勇気を奮い立たせてお願いをしにいった事で、休み明けに教室を訪ねてくれて届けられたのだ。
かなり無理を言ったと自覚はあるが快く依頼を受けてくれて完成させてくれた以上、絶対に成功させたいし、完璧に仕上げたいと思う作品。
でも・・・これは本当にキツイかも?これは私達、演劇部と映画研究会で合同で完成させるつもりだけど・・・。
「ちょっ、ちょっと!さっきから何を泣いてるのよ?」
「ご、ごめん。実は学園祭で演劇部と映画研究会で合同で映画を撮る事になって、その作品のシナリオを悠馬くんにお願いしたんだけど・・・。」
「はぁぁぁあ?!なんで?!」
「いやほら、去年の学園祭でさ〜、軽音とダンス研が悠馬くんとライブしたじゃん?それでダンス研は同好会から部に上がったしさ。今年は映研がそれにあやかれない?かな〜ってね。」
「それはちゃんと説明したの?」
「勿論!その上で私達、演劇部と映研で共同で映画を撮ろう!ってなったんだけど・・・。」
「シナリオを作れる人が居ないってなったわけだ。」
「そゆこと〜。それで去年の時に悠馬くんとは、来年は私達に力を貸してって口約束してたんだけど・・・。」
「それを覚えていてくれた訳だ・・・。流石は悠馬くんっ!」
そう、覚えてないだろうなと思っていたらちゃんと覚えていてくれて、その約束を果たそうとしてくれて居る。
「それにしても、そんなに感動するなら読みたい!読ませてよ!」
「駄目に決まってるでしょ?!ネタバレじゃん!完成するまでお楽しみにー!」
「ぇー、ケチー!!」
ケチじゃないわ!この作品は絶対に完成させてみせる!今日から早速、全員集まって色々決めないと!
しっかりとこれからの流れを考えて進めないと・・・学祭までの時間も残り少ないし・・・一分一秒無駄に出来ない!やるぞーーーー!と教室で人の目を集めながら私はこぶしを突き上げた。
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~先輩達が戻った後の夏休み前の教室~
「そんで?何であんなに中り強かったんだ?」
「何でって・・・当たり前じゃん・・・。悠馬に甘えすぎだよ、学校も生徒もさ。」
「ですね。どんな理由があれど、利用する事には変わらないのですから。」
「愛央じゃ無いけどさ。正直な所ね?去年の事だって別にやらなくても良かったじゃん!って言うのは私も、と言うか・・・私達3人とも同じ考えなの。」
「それを言うかな・・・今。やり過ぎたかもしれないよ?確かにさ。」
「やり過ぎたって意識はあるんですね。」
「志保ぉ・・・。いやまぁ・・・ね?1年目だったし俺もどこまでやっても良いか分からなかったし?」
「今年はどうするんですか?シナリオ書くだけでも大変でしょう?」
「基本は使いまわしかな・・・。去年はやって今年はやらないとかだと苦情来るだろうし?ブロマイドとかはやるんじゃない?明日香会長次第だけど。」
「うん、悠馬くんに許可取りに来るだろうね。」
「まぁ・・・去年やった事は仕方ないとして・・・映画のお話なんて本当に作れるの?いくら悠馬でも簡単ではないでしょ?」
そう、本来ならそうなんだが・・・近いうちに投稿サイトに投稿しようと書き溜めていた物があるからそれを回して完成させれば良いだけの話だから、実はそこまで大変でも無かったりする。
「それなんだけどなー、実は小説とかも投稿してみようかなーって思って書き溜めてたのがあってさ。それを完成させて回せば良いかなーって思ってるから実は・・・ほとんど完成してたりする・・・。」
「頭痛してきた・・・悠馬さぁ~・・・。」
「多才なのは、今更ですが・・・、余り手を広げすぎるとキャパオーバーしますよ?いくら悠馬さんと言えど。」
「言って聞くなら良いけど・・・聞かないしなぁ~・・・。ところで先に私達には読ませて貰えるんだよね?」
「あぁ、それは勿論。完成したら真っ先に読んで感想と指摘をくれ。」
「やったぁ!」と3人とも喜んでるのを尻目に途中で止まっていた話の流れを考えながら時間は過ぎていく。
「兎に角・・・どんな事でも力になりますから、私達にも頼ってくださいね。絶対に無理はしないでください、悠馬さん。」
「分かってる。ありがとうな、志保。」
「私達だって力になるからね!!」と愛央も清華も負けじと言ってくるけど、最初から頼るところは頼るのは決まってるから大丈夫だっての。
そんな恋人たちの可愛さに癒されながらの午後の一時だった。
さって・・・完成を頑張りますかね!
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