第226話 空に咲くのは大輪の華 そして俺の横には・・・

SIDE 渚


「向井くん。里香をお願いします。この子、偶に暴走しちゃう所はあるけど、根は凄く真面目で良い子なので幸せになって欲しいんです。そんな里香が、男の子を捕まえてここまで仲良くなれるなんてこの先も、無いと思うんです・・・だからっ!」


逆月先輩、星川先輩、天音先輩、伊集院先輩をきゃーきゃー言いながら一緒に居た子達は囲んで色々話し掛けてる。

深山威はそんな友人達を止めながら先輩達にペコペコ頭を下げてる。

そんな状態を尻目に深山威と仲良く話してた子が俺に近寄ってきてさっきの内容の事を話し掛けてきた。


「うん。色々あったけどこうやって仲良くなったし、深山威には俺の事を知って欲しいとお願いして今の状態なんだ。だから、俺から離れる気は無いし、深山威を離したくない。」


「そっか。それなら安心ですっ!里香をお願いしますっ!」


そう言って俺から離れて行って「こらぁー!迷惑かけないのっ!!」一緒に居た友人達を連れて「またね!里香!今度遊ぼうねー!」そう言いながら離れていった。


「やれやれ、嵐みたいだったな。」


「すいません先輩。悪い子達ではないんですけど・・・。」


「あぁ、それは分かるから大丈夫。っと、少し渚を借りるよ?」


「え?あ、はいっ。」


「志保、頼んだ。」


「はい。お任せをっ。行きましょう深山威さん。」


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深山威を志保に任せ先に行かせて俺は直ぐに渚の隣へと移動した。


「あの・・・先輩・・・?」


「気付いたか?自分の思いに。」


「あ、はい・・・。気付きました。」


「ならどうする?今日はこの後は花火だしなぁ?」


「それは・・・その・・・。」


さぁ?どうする?


「でもだって・・・今日は・・・稲穂の・・・。」


「元々の予定は確かにそうだが、別に構わんだろう?健司のは確定事項では無いしそうなれば良いな?位の話だからな。」


「いやぁでも・・・。」


「良いんじゃないですか?向井くんが本当に深山威さんを思う気持ちが恋愛感情であるならチャンスを逃す手は無いと思いますよ?彼女からの気持ちは分かっているんですから、次は向井くんからじゃないと進みませんよ?」


俺と話す向井の隣に菜月が来てそんな事を話し始めるけど確かにそうなのだ。

深山威は既に渚に気持ちを伝えているからここから先に進むには渚が頑張るしか無い。


「うん、それは分かってる。それと菜月さん。」


「はい?」


「ありがとうっ。俺に女性を好きになる気持ちを教えてくれて。」


「改めて言われると少し恥ずかしいですけど・・・はいっ。受け取りますっ。」


「決めた・・・。伝えます。今の気持ちを俺は深山威にしっかりと伝えたいと思います。」


「そうか・・・。なら頑張れよ。ほら!戻れ!」


バン!っと渚の背中を叩いて前に押し出す。「いてぇ!行きます!」って、言いながら深山威の隣に戻る渚を見て俺も菜月も笑顔になる。


「向井くんも幸せになって欲しいですね。兄さん。」


「そうだな・・・。おーい!そろそろ時間になるし場所取りに行こうぜー!」


「はーいっ!」と全員の返事が来て俺達は移動を開始する。


「あ!先に行っていてください!飲み物買ってから行きます!」


「それならこれで買ってきて。」


柚美ちゃん達3人にお金を渡して買い出しを頼んで俺達は花火を見る為の場所に向かうのだった。


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「お待たせしましたー!間に合いましたよね?!」


「ありがとね!大丈夫だよ、ちゃんと間に合ったから安心しな。」


柚美ちゃん達の到着を待って俺達に飲み物を配ってくれる柚美ちゃん達。


「悠馬先輩!これ、お釣りです!」


「んっ。足りたんならよかったよ。」


ひゅぅぅぅぅぅ・・・・どーーーーんっ!!


「おおー!綺麗ー!」


「始まったー!綺麗・・・・。」


「はい・・・綺麗です・・・。」


「うんっ。でも綺麗だって感じる理由はやっぱり・・・。」


「愛する人達と一緒に見ているから?だろ。」


俺の言葉に愛央も志保も清華もくっついて来て言葉にはせずに頷いて一緒に空を見上げ続けた。


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SIDE 渚


愛する人達と一緒に見て居るから・・・か。

確かにそうかもしれない・・・今までだって何度も夜空も花火だって見た事はある。

だけど、今日みたいに綺麗だって感じる事は無かった気がする。

けれど、今の俺は・・・先輩達の話を聞いた俺は・・・無意識に深山威と繋ぐ手に力が入った。


「向井くん・・・?どうしたの?」


そんな俺を不思議に思ったのか深山威が声をかけてきた。


「ごめん、痛かった・・・?」


「んーん。そうじゃないけど急に力が入ったからどうしたのかな?って・・・。」


どーんっ!どーんっ!とお腹に響く音を鳴らしながら沢山の花火が上がってるけど俺は花火を見ずに深山威を見続けてる。


「えっと・・・あのさ・・・。」


「うん?どうしたの・・・?」


やばい・・・凄いドキドキする・・・めっちゃ胸が痛い・・・。

菜月さんの時だってこんなに緊張しなかったのは多分・・・。

深山威は、俺を見ながら???と顔に浮かべているのが分かる。


「えっとさ・・・って呼んでも良いか・・・な?」


「ぇっ///い、いきなりどうしたの?///」


俺の言葉に深山威は一気に真っ赤になった。


「その・・・気付いたんだ・・・。」


「な、何を?///」


何かを期待するかの様な顔で花火はそっちのけで俺を見続けてくる。勿論その顔は花火の光程度でも分かるくらいに真っ赤だ。


「俺の中で、深山威の存在がとても大きくなってるって、さっきさ、俺は何も考えずに泣いてる深山威を抱きしめた時に、自分でも疑問だったから考えてみたんだけどそしたら・・・直ぐに分かったんだ。俺が本当に好きなのは・・・深山威だって事に・・・だからさ・・・だから良ければって呼ばせて欲しいっ///」


「は、はぃっ///ど、どうぞ・・・っ///」


蚊の鳴くような声だけど、深山威は・・・いや、里香は名前で呼びたいと言う俺のお願いを聞いてくれた。


「ありがとうっ!これからは里香って呼ぶからさ・・・俺の事は・・・。」


「渚くんって呼んでも良い?///」


「う、うんっ///それでっ///」


「えへへっ///渚くんっ///」


俺の名前を嬉しそうに恥ずかしそうに里香は呼ぶ。

その姿がとても可愛くて俺は自然に肩を抱き寄せた。


「ぁぅっ///」


「その・・・嫌だった?」


ふるふると顔を振って俺に身体を預けて来て嬉しそうに幸せそうにしてくれてる。


「うぅぅっ///渚くんのバカっ///恥ずかしくて嬉しくて幸せで花火どころじゃ無くなったじゃんっ///」


その言葉に俺も真っ赤だ。顔が赤くなってるのが自分でも分かる。

勢いでとは言え何てことを何てタイミングで言っちゃったんだろう・・・っ///


「あのさっ///渚くんの事を彼氏だって思って良いんだよね?///付き合ってるって事で良いんだよね?///」


はっ!俺の馬鹿!そこを言ってないじゃん!


「うんっ!勿論っ!俺と付き合って貰え・・・ますか?///」


「はぃ///喜んでっ///」


もう本当に顔上げられない///マジでハズいっ///


「二人共、顔を上げろ。」


「そうですよ。ちゃんと顔を上げなさい。」


「先輩?」


逆月先輩と天音先輩が俺達に顔を上げろと言ってきてどういう事なのか?と思いながら聞き返す。


「良し!そしたら確りとこの光景を目に焼き付けろ。」


「今日の花火は二人の記念日の大切な景色だよ!」


「だから下を向いてたりしないでちゃんと焼き付けるの!」


「今日この日は二人の記念日、そして新しい門出です。この景色と気持ちを忘れずに二人で温めて行きなさい。」


「「はいっっ!!」」


俺と里香は先輩達の言葉に涙声になりながら言われた通り二人で夜空に咲く大輪の華を見続けた。

俺達の姿を満足そうに見た先輩達は前に向き直して揃って花火を見続けている。


そっ・・・と横を向けば誰よりも大切な里香の横顔があってその顔は・・・。


「花火なんかよりも綺麗だな。」


夜空に咲く華にも負けない綺麗に華咲く笑顔がそこにあった。


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あ〜・・・糖分取りすぎ・・・かな?

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