第225話 何時の間にか大きくなっていたんだ

~射的~


「稲穂くんがんばれー!」、「向井くんファイトー!」、「杉村くんも高梨くんも中本くんもがんばれー!」、「兄さんファイトー!」、「悠馬も負けるなー!」、「悠馬さん負けないでー!」、「悠馬くんいけぇー!」


女性陣の応援を一斉に受けて男性陣は俄然やる気を出して銃を構える。


「うっし!やるぞ!」


「「「せめて一つは取りたい!!!」」」


「東原さんにせめて何か・・・っ!」


「深山威になにかを!」


1年組も気合い入れてるし俺も恋人達と妹に取るかなぁ~・・・。

取れるかは別にして・・・。


「んじゃ・・・せーのっ!でみんなでやるか!」


「「「「「はいっ!」」」」」


「んじゃ・・・愛央!頼む!」


「はーい!んじゃ行くよー!せーーーーのっ!!!」


パンっ!パパパンっ!と全員で一斉に射撃を開始!最初の一発は俺と、健司がゲット!他は外したり届かなかったりだった。


「やった!」、「ちくしょぉ!」、「先ずはってところだな。」


「はいはい!次行くよー!」


愛央が掛け声をかけてくれてそれぞれ弾込めをして構える。


「「「せーーのっ!!!」」」、「「せーーのっ!!!!」」


今度は愛央も志保も清華も一緒に声を出してくれた!優理ちゃんも深山威も一緒になって声出してる!


「「よし!!!!」」


「なんでぇ・・・。」、「ちきしょぉぉ。」、「難しい・・・。」


「うっし。順調順調っ!」


その後、俺は4人分、健司と渚は2個、陸、翼、水夏も一つずつをゲットしてそれぞれプレゼント。

俺等がやってるの見てた他のお客さんも応援してくれて結構な盛り上がりになった。


〜輪投げ〜


今度は女性陣がチャレンジ!!


「よーしっ!負けないぞー!」、「私だって負けません!」、「何気に初挑戦かも私。」と、愛央と志保と清華が言ってる。


「やった事無いですよ〜。」、「ふっふっふー!これは私の一人勝ちね!」、「あら?千里に出来るのかしら?」と柚美ちゃん達もやる気出してる。


「稲穂くんに何か返したいし頑張ろっとっ!」、「向井君に・・・っ!!」、「二人共熱量凄いですねぇ〜・・・兄さんの妹として負けられませんね!」と優理ちゃん、深山威、菜月も同じくやる気出してる。


こうなると、女性陣が背中を向けて手薄になってる俺達に声を掛けようとするのが居てもおかしくは無いのだが・・・。


「居るとは思ってましたけど、本当に居るとはね・・・。」


「姿を出すつもりは無かったのですが、流石に男性だけになるのをそのままと言う訳いかず・・・。」


「いえいえ、お手数おかけします。助かりますよ、お陰で女の子達も楽しめますし。」


俺の言葉に静かに一礼して、回りを囲むようにしてくれている黒服さん達。

母さんの事だから手配してるだろうと思って愛央達にも楽しんでもらいたくて声をかけたら案の定だった。


「あの・・・先輩?もしかしなくても・・・。」


「うん、護衛だね。まー、気にするな!」


「「「「「いやいや!無理ですよ!?」」」」」


「はいはい、それよりも応援しないとだぞ?さっきはしてもらえたんだしな。」


「うっすっ。東原さんファイトー!」、「深山威もがんばれー!」、「「「先輩達も立花達も菜月さんも負けんなー!」」」


「愛央!志保!清華!菜月!がんばれー!」


さっきとは逆で俺達男子の応援で女子組もやる気出して真剣に狙いを定めて盛り上がりながら楽しんだ。


「皆、単純だけどこう言うの良いよなぁ~・・・。」


「悠馬さん・・・おじさん臭いですよ・・・。」


「うっせっ!」、「あ、痛い!」


パコンっと健司の後頭部を叩いて変な事言う健司にお仕置きを一つ・・・。


~金魚すくい~


「よっ!ほいっ!とりゃっ!」


「なぁ・・・菜月。」


「何ですか?兄さん。」


「庭に池掘ったら怒られるかな?」


「間違いなく。」


「だよねぇ~・・・。でも作りたいなぁ~・・・。」


愛央がね?凄い上手いのよ・・・。ぽんぽん捕ってるのね?でもさ・・・どうするのそれ?


「お姉さん・・・そろそろ勘弁してくれるかなぁ?」


「はーいっ。じゃー、後で取りに来ますので預かっておいてくださいっ。」


「分かったよ。いやぁ・・・参った参った。」


「見ててくれた?悠馬っ。」


「おうっ!凄かったわっ!良くあんなに捕れたなぁ~・・・。どうするの?」


「んぅ~・・・水槽とかの設備はあるしそこで暫くは飼うかな~。何で?」


「いやさ・・・庭に池でも掘ろうかなーって・・・。」


「何・・・言ってるの?」


「だから・・・ママに怒られますって・・・。」


「そこは説得する形で?あの仔達も水槽よりも広い池の方が良いんじゃ無いかな?ってさ。」


「それはそうでしょうけど・・・業者に頼むにしても物凄い金額がかかるのでは?」


「うん、だから掘ろうかなってさ。」


「あのね?悠馬くん・・・。DIYを超えてるのよ・・・。」


「悠馬さんなら出来そうな気はしますけど・・・DIY超えてますね・・・。」


「超えてますね・・・出来そうな気しかしないのが不思議ですけど・・・。」


「「「うんうんっ。」」」


何だろう・・・褒められてる気がしないって言うか呆れられてる気がするんだが?


「と、取りあえず!次行こ!次!池云々はまた今度って事で!」


「こうほらっ!1m以上の深さあれば猫とかに襲われる心配も無いし野鳥に襲われない様に屋根っぽいのも付けてさっ!」


「はいはい!良いから次行きましょ!次!その話は帰ってからじっくり話しましょうね?ね?!」


「お、おぅ・・・分かった・・・。」


むぅぅ・・・池で好きに遊ばせてた方が良いと思うんだけどなぁ~・・・。

俺の意見は流されながら菜月や愛央達に押されながら金魚すくいの場所を後にした。


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SIDE 渚


発想がさ〜、凄いのよ。

普通なら大きい水槽を買うとか大きいのを幾つか買うとかなのよ。

なのに、何で池を掘るって発想になるのよ?


「先輩なら出来そうだよね?」


俺の考えてる事が分かったのか深山威が聞いてくる。


「思ってた。普通の人なら業者に頼むとかになるのにね。」


「だよね。何というか先輩らしい?」


「思考回路が普通の俺等とは違うな〜。」


「おいっ!渚!俺がおかしいみたいな言い方すんな!」


「すんません!!」


やべっ!聞こえてた!!


「ふふっ。怒られちゃったね?でも出来ちゃいそうっ。」


楽しそうに話す深山威を見ながら「出来そうだよなぁ〜。」と話していたら前から来た女の子のグループが何かに気付いた顔をしている事に気付いて少し身構えた。


「あれ?やっぱり里香じゃんー!!浴衣可愛いーー!!」


「ん?わぁー!久しぶりーー!!」


きゃっきゃと近寄ってきたグループに近づいて手を取り合ったりしながら再開を喜んでる姿を可愛いと思いながら聞く。


「えっと・・・知り合い?」


「うんっ!中学の時のクラスメイトだよ!」


「そうなんだ!なら、初めまして向井って言います。」


俺の挨拶は聞こえてる思うけど声を掛けてきた子と一緒に居た子達が口をパクパクしながら驚いた顔をしてる。


「ちょっ?!里香!彼氏出来たの?!言えよーーー!!」


「ふぇっ?!///ち、違うから!彼氏じゃ無いから!///」


いやまぁ、そうなんだけど・・・少しだけズキっとした痛みが走った。何で・・・?


「ふーん?でも仲は良さそうだし優しそうな人で良かったじゃんっ!」


俺と深山威の繋がれた手を見ながらニヤニヤしてるしっ!


「って・・・あんたらどしたの?口パクパクして。」


自分達の話に入って来ない、反応もしない事を疑問に思ったのか、一緒に居た人達に振り向いて聞いてるなぁ〜・・・。

俺もあの立場なら多分同じ反応だろうから良く分かるわ〜。


「ぇぇぇ・・・いやだって・・・後ろ・・・。」


「ん?・・・ぇっ!?」


あっ!気付いたなこれ。後ろにとんでもない人達が居る事に。


「ちょっ?!里香?!?!え?!どゆこと?!これこそ言えよーー!?!?」


「いやいや・・・先輩達の事なら言えないって・・・。本当に運が良くてだもん。」


いや、それは違うと思う・・・。だから俺はハッキリと告げる。


「それは違う。深山威が頑張った結果だよ。だから運が良かったとかじゃない。確かに始まりは悪かったかも知れないけど、その後に深山威が頑張ったからのだよ。」


「向井くん・・・///ありがとうっ///」


「良く言った、渚の言うとおりだぞ。今日、俺達と一緒に居る事、俺達のグループに居る事は深山威が自分で掴み取ったものだ。」


「そうですよ。胸を張りなさい。今の状況は貴女の努力の結果です。」


逆月先輩と天音先輩が俺達を見ながらそう言ってくれて、俺ですら目頭が熱くなってる・・・そんなんだから、深山威の目からはポロポロと涙が零れてくる。


「ご、ごめんなさいっ。嬉しくて直ぐに止めますからっ。」


俺は気付いたら、自然と深山威を抱きしめて居て、涙が止まるまで抱きしめ続けたんだけど・・・。

自分の行動が不思議で少し考えたら、直ぐに分かったんだ。


そうか、気付かない内に深山威は俺の中でこんなにも・・・。


俺は自分の気持ちに気付いた。

それが分かったのか、逆月先輩も天音先輩も俺を優しい顔で見ていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


少し二人を掘り下げです!

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