第223話 繋ぐ温もり

SIDE 健司


「ほら!ちゃんと準備しないと!」


「分かってるって!そこまでしなくても大丈夫だよ!そんなに子供じゃ無いんだからさっ。」 


「何言ってんの・・・大事なところが抜けてるのは変わらないじゃない。何歳になってもっ!」


うぅ・・・それを言われたら言い返せないっての・・・。

姉さんとそんな心温まるやり取り?をしていたらと、インターホンがなる。


「あら?誰かしら?健司は準備してなさい。出てくるから。」


母さんが、そんな事を言ってリビングを後にする。


「ほら、ハンカチは?ティッシュは?」


「持ったから大丈夫だってば!」


「それなら良いけど、悠馬さんに迷惑かけないように確りと言う事聞くのよ?」


「大丈夫だから!!子供扱いしすぎだよ!全く。」


「プッ、ふふっ。稲穂くん、お姉さんに頭上がらないんだっ。」


「ぇ?な、何で?東原さんが・・・?」


「お迎えに来ましたっ。驚かせてゴメンねっ。」


母さんと一緒に家のリビングに現れた東原さんは・・・普段は下ろしてる艷やかな黒髪をアップで纏めて、紫?色のとても綺麗な浴衣を着ていて・・・。


「ぅぁっ////き、綺麗過ぎる・・・っ///」


「うぅっ///ぁ、ぁりがとぅ///」


俺の言葉に顔を真っ赤にして恥ずかしそうに立っていた。


…………………………………………………………

SIDE 優理


良し!稲穂くんを迎えに行こうっと!

本来は神社の入り口で待ち合わせの予定だけど、迎えに行って驚かせようと里香と話して居た時に決めた事を実行する事にした。

お母さんに行ってきます!と伝えた私は


「えっと・・・確かこの前に聞いた時はこの辺って言ってたよね・・・。」


前に聞いていた住所の辺りをうろうろしながら表札を一軒一軒確認していく。


「って・・・これじゃ不審者ジャン私・・・。」


そんな事を考えながら表札をじろじろ・・・。


「あったっ。ここだ・・・。えーっと・・・ふぅ・・・すぅーはぁー・・・。おしっ!」


ピンポーンっ!と軽快な音が鳴りマイクから「はーいっ。」と女性の声が聞こえてくる。


「あっ。夜分に申し訳ありません。私、東原優理と言います。稲・・・健司くんと一緒にお祭りに行く約束してまして、それで・・・。」


「あら?あらあら?ちょっと待ってね?直ぐに行くから。」


「あ、はいっ。」


やり取りの後に直ぐ玄関の扉が開いて中から一人の女性が出てくる。


「初めまして~。健司の母の真奈美と言います。宜しくね。」


「は、はいっ!東原優理と言います!遅くに申し訳ありません。」


「いえいえ、健司からは聞いて無かったけど・・・もしかして迎えに来てくれたの?」


「はい、驚かせようかなって・・・。」


「そっかっ。取り合えず入って!今はリビングに居るから案内するわ。」


稲穂くんのお母さんの後ろに付いて歩いてリビングまで連れて行って貰うと、稲穂くんとお姉さん?のやり取りが聞こえてくる。


「ほら、ハンカチは?ティッシュは?」


「持ったから大丈夫だってば!」


「それなら良いけど、悠馬さんに迷惑かけないように確りと言う事聞くのよ?」


「大丈夫だから!!子供扱いしすぎだよ!全く。」


あははっ、稲穂くんがすごく子ども扱いされてるっ。

それに、何て言うか・・・。


「プッ、ふふっ。稲穂くん、お姉さんに頭上がらないんだっ。」


「ぇ?な、何で?東原さんが・・・?」


「お迎えに来ましたっ。驚かせてゴメンねっ。」


私の登場は予想外だったらしく心から驚いた顔をした後に、私の姿を見て一気に顔を赤くした。


「ぅぁっ////き、綺麗過ぎる・・・っ///」


「うぅっ///ぁ、ぁりがとぅ///」


余りにもドストレートな言い方に言われた私も一気に顔も体も真っ赤になった。


------------------------------------------------------------

「ご、ごめん!正直な感想が出すぎた・・・。」


「いぁ///褒めてくれてありがとぅっ///」


俺の言葉に東原さんはこれでもかと言うほど真っ赤になってる。


「ほぉ~?健司ったらいつの間にこんな綺麗な子を捕まえたの?」


「本当よねぇ~、玄関開けてびっくりしたわよっ。」


「なっ?!///」


母さんと姉さんがニヤニヤしながら俺にそんな事を言ってくる。


「ちがっ?!友達だよ!前に言ったじゃん!立ち上げた部活の副部長をしてくれてる子だってさっ!」


「ふ~~ん?友達ねぇ・・・。」


「もう!良いだろ!とにかく出掛けてくるからっ!行こっ!東原さん!」


俺は無意識に彼女の手を取って・・・。


「いってきます!!」


「ぁぅっ///お、お邪魔しましたーーー!」


「「楽しんできなさいっ。」」


姉さんと母さんの生暖かい視線を背中に感じながら自宅を後にした。


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「い、稲穂くんっ///手っ!///」


外に出て暫く歩いた後、東原さんから恥ずかしそうな声と共に指摘を受けた。


「ぅぁっ///ご、ごめんっ!///直ぐ離すよ!」


俺は手を繋いでいた事に気付いて直ぐに手を放す。

勢いだけで繋いでしまったけど・・・何てことしちゃったんだろ・・・。


「大丈夫。それにさ・・・迷子になったら困る・・・から・・・ね?///」


そっと・・・優しく俺の手に自分の手を重ねて、恥ずかしそうにしながら繋いだまま俺と東原さんは待ち合わせの場所に向かう事にした。


「う、うんっ///ありがとうっ///えっとその・・・浴衣凄い似合ってるっ。髪型もだし、いつも綺麗だけど今日はいつも以上に綺麗だよっ。」


「っ////////・・・バカっ///」


うっ・・・俺は今・・・何を言ったんだ?あまりにも自然に感想が出て来て東原さんを褒めた?


「えっとっ///そのっ///あのっ///」


「も、もうっ///早く行こうっ///その・・・ありがとっ///」


「っ////」


俺も東原さんも顔を真っ赤にしたままゆっくりと待ち合わせ場所に向かう。

回りの人達からも微笑ましそうな視線を受けながら・・・。


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~神社入口~


「おっとぉ・・・?」


「あら?あら?あら?」


「ぉぉぅ?稲穂くん・・・?」


「ほぇ~・・・やるじゃんっ!」


健司達を神社の入り口で待っていると、健司と優理ちゃんが手を繋ぎながら俺達の前に現われた。

その姿を見て、1年組は揃って「まじかぁぁぁ?!」って顔して驚いてる。


「すいません!お待たせして!・・・ってどうしたんですか?」


「いや、どうしたも何も・・・それ・・・。」


俺は健司の問いにを指差ししながら指摘する。


「こ、これはっ!そのっ!えっとぉ・・・///」


「違うんですっ///迷子になったら大変だからって事でっ///」


「「「ふ~~~んっ!」」」、「「「へぇぇぇぇぇっ!」」」、「「「ほぉぉぉん?」」」、「「良いんじゃないかなぁぁぁ?」」


「ちょっと?!一切信じてないですよね?その反応?!」


俺達は揃って健司と優理ちゃんの言い分を信じずにニヤニヤしながら見つめた。

そんな俺達にワタワタしながら反論してくるのを俺達は楽しみながら全員が揃ったのを確認して揃って神社の中に入り始める。


「それにしても・・・すげー華やかな光景だなぁ~。」


「皆、浴衣姿が似合ってますしね。周りの目も引き付けてますよ。」


「そうだな。俺は勿論だけど、陸も水夏も翼も渚も離れない様にしろよ?」


「「「「はいっ!分かってますっ!」」」」


健司と優理ちゃんは俺達にニヤニヤされたのに、繋いだ手は離さずに並んで歩いてるの後ろから眺めながら、これなら心配は無いかな?と感じて変に構えずに俺達は俺達で楽しもうと改めて決めながらお祭りの空気の中に突入していった。


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すっっっっっげぇぇぇぇスランプです・・・・。

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