第220話 母さんの会社!

SIDE 恵


それにしても凄い行動力ですね。流石は社長の御子息と考えるべきでしょうか?


逆月悠馬くん、社長の話では一昨年の冬に倒れ一週間も目を覚まさなかった。

その後は人が変わったかの様に活発に精力的になりYouMaの名前で活動を始めたり、たった一人の男子として共学校に進学したりと、他の男の子では絶対にやらない事を平然とやりはじめた。


「何かあれば遠慮なく仰ってください」と、社長に言っていたのもあり、情報収集はしていましたが最初は当然の事ながら、世の男性からは否定的だった。

それが今では・・・YouMaに続け!あの人の様になりたい!等の声も多い。

勿論、アンチも同じくらい多いがそれをモノともしない位のコミュニティが出来上がっている。


「天羽さん。」


「あ、はい?」


考え事をしていたせいか素の返答が出てしまい少し照れる。


「いつもありがとうございます。」


「えっと?何がですか?」


「仕事とは言え、母を支えてくださって。いつも母から聞かされています。」


「そうですか。確かに仕事ではありますが、それだけでは無いですよ?」


「そうなんですか?」


「社長・・・いえ、先輩は・・・。」


「先輩?」


「はい、高校、大学と先輩になるんですよ。以前に勤めていた会社を辞めてどうしようか?となって居た時に、先輩が前社長から会社を受け継ぎ、その時に誘われ、今に至ると言う訳です。」


「そうだったんですねぇ・・・。お二人にそんな関係が。」


私の話を菜月さんも悠馬さんも関心しながら話を聞いてくれている。そんな二人に私はあんな事があった、こんな事があったと先輩との話を話していく。


「ぷっ、あはは。ママがそんな事をっ。知らなかったですっ。」


「あぁ、本当だな。天羽さん、本当にいつもいつもありがとうございますっ。これからも母をお願いします。」


通り過ぎる私達を見て、他の社員達は頭を下げながら通り過ぎる。

まぁ、何よりも先に私が笑っている事に驚いてるようだけど・・・私だって笑いますよ?先輩の隣に居ることが多いので無表情な事が多いのは否定しませんが・・・。


「お?あそこはどんな事してるんですか?」


「あぁ、あちらはですね〜。」


3人で面白おかしく社内の案内をしながら歩いていると、時間が過ぎお昼の休憩時間になった。


「あっ!もう休憩時間か。昼はどうする?菜月。」


「そうですね〜。ママと食べたい所ですけど、何も持ってきてませんしお暇しましょうか。」


「でしたら、社食で皆さんで食べるのは如何でしょう?」


「え?部外者が使っても良いんですか?」


「はい。社長も一緒になるのですし問題ないですよ。と言いますかこのまま帰しましたら、私が後で社長に恨み言を言われてしまいます。」


「おっとぉ〜それは駄目ですねっ。それじゃお言葉に甘えて使わせてもらいますね。」


「では、向かいましょう。こちらです。」


私はお二人を連れて歩きながら社内用の携帯電話で連絡をして同じ目的の社員達の声を聞きながら一路、食堂に向かった。


…………………………………………………………

社食にやってきた俺達は食べたい物の食券を買い注文を済まし空いていた席につく。


「凄い人の数ですね。毎日、こんなに来るんじゃ食堂勤務の人は大変だな。」


「ですね。楽な仕事は無いんでしょうけどこれは戦場と言ってもおかしくないですもん。」


「だな〜。母さんはまだかな?」


「そろそろ来るとは思いますが、今日は特別多いですね。」


「そうなんですか?」


「はい・・・。まぁ、お二人と言いますか・・・悠馬さんがいらっしゃるからですね。せめて一目見ようとしてるのかと・・・。」



「あぁ・・・それはあるでしょうね・・・。兄さんは有名人ですし。」


「動物園のパンダみたいなものだな・・・。」


俺も菜月もやれやれと頭を振っていると、母さんがやっと来た。


「悠ちゃん!菜月ちゃん!お待たせ!」


「お疲れ様です、社長。」


「恵ちゃんも二人を見てくれてありがとうね。」


「いえ、楽しかったですし特に問題も起こりませんでしたから。」


「うん、ありがとうっ。それじゃご飯にしましょう!悠ちゃんと菜月ちゃんは注文したの?」


「したよー。届き待ち・・・って丁度、届いたみたいだね。」


「わぁ!美味しそうです!」


「いつもより豪華ですね・・・。張り切りましたね・・・。」


「そ、そうね・・・。はぁ・・・まぁ良いわ。うるさく言うのは止めておきましょう。」


母さんと天羽さんの声を聴きながら俺と菜月は注文していたご飯を二人揃っての「いただきますっ。」の後に食べ始めた。


「美味しいっ!これなら休憩の度に外に食べに行かなくても良いですねっ。」


「うん、確かにうまい。こう言う所までちゃんと気を使ってるのは流石は母さんだね。」


「えっへん!ご飯は大事だからね!なーんて、社員さん達の声で一新したからなんだけど。」


「そうですね。ですが、結果的に好評になりましたし利用者も増えましたから良い事ずくめですね。」


「これならそうなるでしょうね。俺でもそうします。」


うんうんと嬉しそうに母さんと天羽さんは頷きながら母さんは俺の作ったお弁当を広げて食べ始めてた。


「はぁぁぁ~・・・悠ちゃんのご飯を会社で食べられるのは癒されるぅ・・・。」


「癒されるって・・・。でも本当にいつもありがとう、母さん。」


悠ちゃん・・・と涙声になりながらも食べ進める母さんを見ながら、俺も菜月も最後まで美味しく食べ続けた。


その後、食べ終わった俺達は社食を直ぐに後にした、社長と筆頭秘書と社長の子供達が居ては他の社員達も落ち着けないだろうと言う事で食後のお茶は社長室で飲む事にした。


「どうぞ。」と天羽さんの淹れてくれたコーヒーを俺と菜月と母さんの前に置く。

俺達はそれぞれ、母さんと菜月はミルクと砂糖を入れて、俺はブラックのままで飲む。


「うん、美味しいです。天羽さんも上手ですねぇ。」


「でしょー!恵ちゃんの淹れてくれるコーヒーが好きなのよ!悠ちゃんはどう?」


「美味しいよ。母さんの好みの淹れ方だよね。まぁ・・・俺は志保のコーヒーの方が好きだけど。」


「ふふっ、恋人さんには勝てませんかっ。ですがお眼鏡には叶ったようですね。」


俺の顔を見てそう判断した天羽さんは嬉しそうな顔をしながら俺を見つめていた。


「お眼鏡って・・・大げさですよ。ところで母さんの会社って女性用のだけなの?」


「そうねぇ~・・・。男性用も出せれば良いんだけど、どうしても売り上げ的にはね・・・。」


「必要な物だし需要が無いって事は無い筈なんだけどね〜・・・。そうだ!!もし良かったらなんだけど、デザインとか考えてみても良い?商品化するかどうかは別にしてさ。」


「それは勿論良いけど・・・。」


「んで!もしも販売する様ならモデルやるよ!!」


「「「ぶふぅっ。」」」


っと、母さんも菜月も天羽さんも同時に飲んでたコーヒーを吹き出した。


「ゲホッゲホッ!兄さん!?それは駄目でしょう?!」


「えほっ。そうよ!流石にそれは駄目!」


「き、器官に・・・っ。ゲホッ、凄い事言いましたね・・・。」


「いやまぁ、予想通りの反応ありがとう。仮にだけど販売する事になったりしたらモデルも探さないとでしょー?その手間を無くす意味でも良いと思うけどなぁ〜?顔出し無しで行けばいい気がするしさ。」


「それはそうだけど!愛央ちゃん達も怒るわよ・・・絶対。」


「怒りますね・・・。確実に・・・。」


「思い切りが良いと言いますか、何と言いますか・・・。行動力があるのは凄いとは思いますが・・・。」


「母さんのところなら俺も安心して協力出来るし、やるならって話だけどその時は協力させて?提案したってのもあるし俺も何か母さんの力になりたいからね。」


俺の言葉に母さんは呆れながらも、何処か納得した顔をしながら・・・。


「今でも、充分自慢の息子何だけど・・・。

うん、分かった。いつになるか、本当にやるかは分からないけど、男性物を売るとなったらその時は悠ちゃんに協力を仰ぎます。」


「兄さんがモデルなんてやったら違う用途で使う人が凄く出そうですね・・・。」


ボソボソとそんな事を菜月は言う。


「淑女が沢山出るでしょうね・・・一時的にでしょうけど・・・。」


天羽さんまで変な事を・・・。淑女って何?


「やるとなったら愛央ちゃん達の説得もよね・・・。はぁぁぁぁ。」


思いっきり溜息を母さんはつくし・・・そんな気が重そうにしなくても良いでしょ?まだ決定では無いんだし・・・。


そんな事を話しながらお昼休みの時間を過ごし俺と菜月は会社を後にする。

そのままスーパーで買い物をして夕飯を作って母さんの帰りを待ちながら兄妹雑談配信をしながら時間を潰すのだった。


その後、実際に下着が発売され女性物でブランドを確立していたが、男性物の販売を開始した事で、確固たる揺るぎ無い地位を確立するに至る。

結果、男性の下着と言う事で、男性社員も雇用を始め、母さんの会社は結婚率も増えYouMaの母の会社と言うだけでは無い理由で毎年、入社希望者が激増する事になり売り上げも激増し、嬉しい悲鳴を上げる事になるのは・・・未来の話。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

遅くなりました!少し立て込みまして時間を取れなく書けませんでした。

悠馬くん、初めてのお使い!と、社会科見学会でしたー!

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