第215話 何で?あんな方法を取った?!

:それで?向井はどうしたい訳?

:そうだよ。下手な事すれば睨まれるのはお前だけじゃ無いんだぞ?

:それは分かってるけど見てらんないんだよ。

やつれて来てるのは分かってるけどさーそれでも辞めないで登校続けてる理由とかは聞いたのか?

:いや・・・話は出来てない。

:はぁ?それなのにどうにか出来ないのか?とかいってんの?

:話にならねーよ!

:そうだよ!話しても居ないどうしたら良いかも分からないじゃ話にならないっての!

:そうなんだけどさ・・・逆月先輩があんな方法を取ったのかが分からなくてさ

:そんなんそれだけブチ切れたって事だろ?

:それと見せしめだろ

:俺の身内に手を出すと甘くてもこうなるぞって事だろ?

:だろうな。大体にして鏑木良悟の時もだしそれに表沙汰にはなって無いけど詩音の元所属事務所の事もだろ?

:あれらに比べたらすげー優しい方法だったじゃん

:優しいとは(

:うっせ!俺も言ってて違和感あったっての!

:何にしても渚の手伝いはしてあげたいけど逆月グループを敵に回すのは勘弁だな

:悪いけど俺もだわ

:すまん

:まぁ・・・そうだよな・・・俺だって先輩達を敵に回すのは勘弁したいし

:だろ?深山威は自業自得なんだし俺等が出来る事なんてねーって

:向井の気持ちも分からないでも無いけど流石になぁ~・・・

:うん、何かごめん。何とかしてみる・・・。


クラスの男子はやっぱり協力はしてもらえなそうだ・・・。

やっぱり直接、逆月先輩に言うしか無いか・・・。

話しかけづらいし、問い詰められた時の事があるから・・・正直に言うと物凄く怖い・・・。

でも、稲穂が、間違えて無いと思うなら堂々として顔上げろって・・・。

うん、俺もそう思う。少なくてもって気持ちは間違えて無いはずだ!俺はそう決めて皆との話を切り上げて明日からの動きを考え始めた。


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SIDE 健司


俺は夜に悠馬さんに電話をしてあった事を話してた。


「そうか、向井渚がね・・・。」


「はい、驚きましたけどそんな事がありました。一応、悠馬さんに繋いで欲しいとお願いされかけましたけど、言われる前に断りました。良かったですよね?」


「あぁ、それでいい。その程度の事すら出来ないなら話す価値も無いからな。」


「言うと思ってました。でも実際どうするんですか?」


予想通り、悠馬さんの厳しさが出てる。


「うん、気持ちは買うが・・・俺は何もしないよ。」


「え?何もしないんですか?」


「そうだ。確かに俺のやった事で深山威は今の立場になったが、元々の原因は彼女だ。そして俺は菜月を救う為に深山威を切り捨てたんだ。」


「それはそうかも知れませんけど・・・。」


「そんな俺が彼女の為に出来る事は何もないよ。」


そうなのだろうか?何かは出来るんじゃ無いのかな?悠馬さんの事だから。


「まぁ、向井に関しては特に何かがある訳では無いが、俺が切り捨てた人間を救いたいと言うならそれは向井自身が何とかしないと意味が無い。それに何より、向井の気持ちが分からないんじゃ何も出来ないさ。」


「それは・・・まぁ・・・。」


言う事は分かるけど、何か・・・。


「とは言え、頼ってくるなら悪いようにはしないさ。だからさ健司。」


「はい?」


悠馬さんの声が少し固くなったのを聞いて俺も電話越しとは言え背筋が伸びた。


手を出すな。他の奴等の事も止めてくれ。」


「それは・・・どう言う?」


「何も無いならそれで良いがもしかしたら少し荒れるかも知れないからな。」


「ぇぇえ・・・何を考えてるんですか・・・?」


「予想でしか無いし外れた方が良いが可能性はゼロじゃないからな。」


俺は不安になり悠馬さんにどう言う事なのかを聞いたけど悠馬さんは教えてくれる事は無かった。


ほんと、どんな予測を立ててるんですか・・・。


…………………………………………………………

あれから、屋上で深山威にまた明日と言ってから数日後の週末。

俺は放課後になるのと同時に席を立つ。


「向井?どうしたんだ?そんな覚悟決めたかの様な顔して。」


「行ってくる!」


「いや、何処に?」


「2-A!」


「いやいや!待て待て!!何しようとしてんだよ?!」


「先輩に話つけに行ってくる!」


「馬鹿かお前?!何でわざわざ藪を突いてドラゴン誘き出そうとしてるんだよ?!」


「うるせぇ!どう考えても今の状態が良い訳ねぇだろ!少なくても俺は気になるんだよ!」


「っ!だからって!・・・おいっ!?渚?!」


友達の静止も聞かず俺は教室を飛び出して居なくなる前に急いで先輩の教室を目指した。


…………………………………………………………

「悠馬ー!帰ろっ!!」


「帰りましょうっ!悠馬さんっ!」


「おうっ!清華が来たら帰ろうか。」 


放課後になり直ぐに、愛央と志保がクラスに迎えに来た。後は清華が来るのを待って帰るだけだな。


「ごめーん!おまたせ!」


「大丈夫っ!わざわざありがとなっ。さって・・・帰る「失礼しますっ!逆月先輩!話があります!」・・・来たか。」


教室の前の入口から清華が入ってきて、俺の所に来るまでの間に反対側から向井が大声で飛び込んできた。

健司の話を聞いて来るだろうとは思ってたが、週末になったか・・・。


「向井か。どうした?」


「話があります!時間ください!」


「良いぞ。来るだろうとは思っていたからな。場所変えるか?」


「いえ!ここで大丈夫です!」


「そうか。それで何の話だ?」


「深山威の事です!」


ここまでは予想通り・・・だが、この後はどうかな?答えは出たのか?向井渚!


「深山威ね。まぁ予想は出来てるが聞こうか。その前に、愛央、志保、清華!何があっても手も口も出すな!これは俺と向井の問題だ。良いな?」


「う、うん・・・。悠馬が言うなら・・・。」、「分かったけど・・・。」、「取りあえずは口も手も出しません。」


「あぁ、それでいい。んじゃ、先ずは聞こうか?」


こうして俺と向井の話が始まった。


…………………………………………………………

SIDE 里香


「やべーって!渚の奴マジで何考えてるんだよ!!」


向井くんが逆月先輩のところに何かを言いに行ったみたいだけど、いきなりどうしたんだろう?

いつもなら直ぐに教室から出るけど、今日は流石に気になるし、戻るまでは待ってようかな?


「ねぇ。向井くんは何をしに行ったの?」


「いやそれが・・・。」


私の方をチラっと見て言いづらそうに口ごもってる。


「ん?あいつに関係ある事?」


クラスの子が視線の先に私が居る事に気付いて問い詰めてる。


「えっと、その・・・はぁぁ〜・・・。もう知らねーぞどうなっても。」


「渚は逆月先輩のところに行って深山威の時の事を問い詰めに行った。」


えっ?!何で・・・?


「は・・・?何で?」


「何でってそりゃ・・・。」


もしかして私のせい・・・?私が居るから・・・?私は聞こえてきた話で顔が真っ青になる。

私の事は自業自得だから良い!でも!私のせいで向井くんまで先輩と敵対したら・・・。


「ちょっと・・・それは・・・ねぇ?私、嫌だよ?!二人のせいでこのクラスってだけで先輩全部に睨まれるとか!!」


「そんなん俺等だって嫌だわ!!」


「だったら!何で押さえつけてでも止めなかったの?!」


教室が大変な事になってきてる・・・。

男子も女子も喧嘩腰になってるし、このままじゃ・・・。

行かないと!先輩のところに行って向井くんを連れてこないと!


「ちょっと!里香!全部あんたのせいじゃん!!どうしてくれんの?!」


仲の良かった子が私の胸倉を掴んでくる問い詰めてくる。


「そ、そんな事言われても・・・向井くんがこんな風に動くなんて・・・。」


「はぁ?!言い訳すんな!さっさと!辞め「黙りなさい!!!」・・・ぇ?」


「何をしているのです、直ぐにその手を放しなさい!」


「天音・・・先輩・・・?」


声のした方を見るとここまで冷たい目と顔を出来るのかって位、冷めきった顔で私達を見ている天音先輩が居ました・・・。


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SIDE 渚


「それで?俺にどんな話があるんだ?」


ほんと勢いでここまで来たって実感した・・・。

先輩からの問いかけで俺の意志が直ぐにもたげ掛けた怖い何てもんじゃない・・・先輩からの雰囲気に呑まれかけてる・・・。

確りしろ俺!何の為にここまで来たんだ!!!


「深山威の現状は知ってますか・・・?」


俺は負けない様に先輩を睨みつけながらはっきりと声に出して聞く。


「あぁ、把握してるけどそれがどうかしたか?」


どうかしたかって・・・先輩のやり方の結果だろう・・・?


「どうかしたかって・・・先輩のせいだって分かってます?」


「は?俺のせいじゃ無く深山威の行動の結果だろう?」


何なんだよ・・・自分は悪くないってのかよ!こんなのに憧れてたのかよ!?


「ちょっと!貴方ね!悠馬さんを責めるのはお門違いでしょう?!」


「志保・・・黙ってろ・・・「ですが!まるで悠馬さんが悪いみたいな!」・・・志保・・・。」


「くっ・・・。すいません・・・。出しゃばりました・・・。」


「いや、気にしなくていい。黙ってろ何て言ってごめん。向井もすまんな。話の腰を折った。」


「悠馬、ごめんね。ちょっと志保さん連れて席外していい?」


「あぁ、頼む。」


「志保、行こう?」、「はい・・・。」そう言って3女神は席を外して行って・・・。教室に残ったのは悠馬クラスのクラスメイトと俺と先輩だけになった。


「さて、深山威の事だがな、俺のせいだと言ったがそもそもの原因は何だね?」


「それは・・・。」


「彼女が俺の妹である菜月に嫌がらせをした事が発端だったはずだが?」


確かにそうだけど・・・!


「でも!だからって!何で!!!何であんな方法を?!」


「俺は敵対する相手には容赦はしない。良いか?向井。」


「なんですか・・・。」


「俺が守るのは俺を好いていてくれて、俺が守りたいと思った目の前に居る人だけだ。」


「くっ!・・・だからって!だったら!彼女じゃなく俺を助けてくださいよ!!!先輩のした事で俺は深山威を見ていられない!俺が苦しんでるのはあんたのせいだろ?!」


「お断りだ。自分で何とかしろ。」


「ふっざけんなぁぁぁ!!!」


ガッ!バキッ!と我慢の限界を迎えた俺は先輩を殴った。


「キャァァァァ!!悠馬くん!!!」


「悠馬!?」、「悠馬さん?!」、「悠馬くん!!!」3女神が飛び込んで来るけど俺は構わずに座ったままだった先輩を殴った事で椅子から落ちた先輩に馬乗りになって殴り続けた。


「なんでだよ?!何で!何で!!!あんたならもっとスマートなやり方があっただろう?!それなのに!それなのに!!!」


「あんたいい加減に!!!「全員!離れてろ!」・・・・悠馬?!」


くっそ!くそ!何でだよ!何でなんだよ!ちきしょう!ちきしょう!!!

ガッ!ドゴッ!バキッ!と何度も何度も俺は先輩を殴り続けもうどうしたら良いのか分からなくなった・・・。


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SIDE 志保


「先輩方!」、「義姉さん!!兄さんは?!」廊下から菜月さんと稲穂さん達の声が聞こえてくる。


「手を出すな・・・手をだすな・・・!手を・・・!出しては・・・!」


「し、志保さん・・・?」


「志保義姉さん?あれは・・・向井くん?兄さんを・・・。何で?!」


菜月さんが教室の中を覗いて、悠馬さんに馬乗りになって殴ってる向井さんを見て驚いた声を出してる。


「菜月さん!ダメだ!」


「稲穂くん?!何で?!何でですか?!」


「皆も手を出しちゃ駄目だっ!」


稲穂さんを見た・・・私だけじゃなく全員が見てる・・・。


「悠馬さんが言ってた・・・手を出すな。他の奴等の事も止めてくれって・・・。だから・・・っ!」


「でもだからって!こんなの!悠馬先輩が!!!」


稲穂さんも必死に自分を抑える様に絞り出すように声を出して私達を止めてくる。

言われた事を必死に守ろうとしている・・・。握り締めた手からは血が出そうなくらいまできつく握り締められてる。本当なら直ぐにでも止めに入りたいんだと、良く分かる・・・。稲穂さんがここまで耐えて頑張っている・・・それなら私は!!!


「皆さん、ここはお願いします。私は行くところが出来ました。」


「志保さん?!何処に?!」


「志保?!何処に行くの?!」


「私にやれる事をしてきます・・・!」


私の決意に満ちた目に誰も何も言えなくなったのか・・・スッと道を開けてくれた。


「何をするか分かりませんが・・・志保義姉さん信じてますよ?」


「はいっ。任せてください。」


私は真っすぐに前を見て歩きだした・・・。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これで大体半分位です。

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