第208話 ブチギレ悠馬
SIDE 優理
「優理ー!やばい!やばい!」
朝の時間、担任が来る前、クラスの友達が大慌てで駆け込んできた。
「え?何したの?何がやばいの??」
「隣のさ!悠馬先輩の妹さん!」
「菜月ちゃん?」
「そう!コネ入学のくせに調子に乗りすぎ!とかってなってるっぽい!」
「はぃ?いやいや、無いでしょ。A組でそんな話になってるの?」
「ちがくて!下駄箱に今朝入ってたんだって!それを先輩も見ちゃってガチギレしてんの!!」
「悠馬先輩が?」
あれから、これからは健司繋がりで話すことも多くなると思うから、私も悠馬で良いと許可が出されたから悠馬先輩と呼ぶようになった。
「そう!それに三女神も!」
「うわぁ・・・。それって、その相手終わったじゃん。」
「三女神を敵に回すとか学園の先輩達を全員敵に回すって事だよね?」
「それだけじゃないよ。悠馬先輩を怒らせてしかもその対象が妹って、下手したら詩音の再来・・・。」
私の言葉に友達は思い出したのか、顔を真っ青にした。
「うわぁ・・・公にはなってないけどやっぱりそうなんだ・・・?それと自分ばかりモテるからって良い気になるなブス!ってのも・・・。」
ぇぇぇぇ・・・菜月ちゃんがブスなら女子の皆ブスじゃん・・・。
「死にたいのかな?その人・・・。てか、コネ入学とかほんとにあり得ないよ。だって次席だもん。」
「ぅぇ・・・そうなん?それって優理の次って事だよね?」
「うん。気になって聞いたんだけど菜月ちゃんは入試の順位、次席だよ。それに私とも殆ど点数に差、無いしね。大体さ、悠馬先輩がそんなの許さないでしょ。」
そう、私とほとんど大差ない点数での入学なのが彼女だ。だからコネで入学とかあり得ない。
「確かに、話が出た時点で教師を正座させて、説教しそう、先輩なら。」
おかしいなぁ〜・・・違和感しか無い筈の光景なのに違和感を感じないの何でだろ?
「それにさ、菜月ちゃんにそんな事した人にどんな目的とか理由あるのかは知らないけど迷惑以外の何物でも無いね。」
「ほんとだよ・・・先輩達にめっちゃ睨まれんじゃん1年全部さ。」
「それね・・・。まぁ、私は大丈夫だろうけど・・・。てか私にもそう言うの来てもおかしくないと思うけどなんで大丈夫なんだろう?」
「いや・・・あんたは・・・。」
「何?」
「稲穂くんと仲が良いんだから仮に思ったとしても来ないって。優理に嫌がらせしたら稲穂くんから悠馬先輩に問答無用で話が言ってそっこーで死ぬじゃん・・・。」
「うっ。そんな事は・・・。」
「無いって言える・・・?」
言えないかなぁ~・・・稲穂くんには直ぐにバレるだろうし、そうしたら悠馬先輩にも伝わるだろうし・・・。
「言えません・・・。」
「でしょ?私ですら分かんのに・・・。まぁ、それで菜月さんにちょっかいかけた理由が理解出来ないんだけどね。」
ほんとそれ・・・、なんにしても相手は直ぐに見つかるだろうね・・・。
はぁぁ・・・いろんな意味で怖いよ・・・。
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SIDE 1-D教室
二時間目が終わった後の休憩時間に、無造作に無遠慮に、ガラガラガラッ・・・バーーンッ!!
デカい音を立てて扉がぶつかる。
そこには物凄く冷たい顔をした逆月先輩。
先輩の雰囲気と顔に誰もが凍り付く・・・。
「
先輩の言葉に全員が俺を向く。
「お前か、話聞かせてくれ。」
「はぃ・・・なんで・・・しょうか・・・?」
ヤバい、見れない、怖い。先輩が近づいてくる気配は分かるけど今直ぐにここから逃げたいって思うほど、震えてる。
何もしてないはずなのに・・・。
「お前、これに見覚えあるか?」
物凄く冷たい声、無表情で一枚の紙を俺に見せてきた。
俺はその内容を見て言葉を失いながらも知らないと意思表示をするように、首をブンブンと降って否定する。
「本当に知らんのか?菜月にフラレた腹いせでやってないと言えるか?」
「してません!確かに振られましたけど、ちゃんと納得もしてます!」
言われた事に無意識に本気で大声をあげてしまいながらも声を出して否定する。
そんな俺を先輩はただ見詰めてくる。
「俺は!先輩に憧れて入学したんです!それなのに、こんな事する訳無いですよ!だって、嫌われるだけじゃないですか!いえ!嫌われるだけならまだ良い方です!一切、意識されなくなるかもしれなくなるのにこんな事する訳ないです!!!」
俺は息切れをしながらも最後までハッキリと告げた。
「そうか。分かった、信じるよ。少なくてもお前が嘘をついてる様には見えなかった。」
問い詰めて悪かった。何か分かったら教えてくれ。
そう言って先輩は教室から出ていった。
それと同時に俺も疲労が押し寄せてきて椅子に倒れる様に座り込む。
「きっつ・・・誰だよ、あんな馬鹿な事したの・・・。マジでこぇぇ・・・。」
「大丈夫だったか?!先輩マジギレしてんじゃん・・・。」
「ごめん、余りにも怖すぎて助けに入れなかった・・・。」
「いや、良いよ。気持ちは分かるし俺も多分無理・・・。」
身体から嫌な汗が流れる、不快感に顔を歪めながらも何とか息を整える。
「にしても、あの先輩があそこまでキレるって一体何が・・・。」
「妹さんいるだろ?俺がフラレた人。」
「あ、あぁ。菜月さんな?それがどうしたんだ?」
「ディスってた。」
「はぁ?どゆこと」
「見せられた紙にはコネ入学のくせに調子にのるなとか、モテるからってどうのって、このブスって書いてた・・・。」
「ぇぇぇぇぇぇ・・・そらキレるわ・・・。」
俺でも先輩の立場ならブチキレるわ。
怖いもの知らずが居たもんだよほんと・・・。
「あはは〜っ!ただいまー!って何この空気?」
「ちょ!?どしたん?めっちゃ空気重いじゃん!」
クラスのちょっとギャル入ってる女子が室内の空気に違和感を持って聞いてくる。
「いや、お前らラッキーだわ。今さっきまでマジで本気でブチキレてる逆月先輩が来てたから。」
「えーーー!あの先輩がそこまでキレるってなにあったん?!」
俺は見せられた紙に書かれていたこと、聞かれたことを話してやり取りを教えた。
「うわぁ・・・そりゃそうなるよ。先輩って家族も恋人も友達も物凄く大事にしてるもん。」
「あぁ、かなりヤバかった・・・。これ犯人死ぬんじゃね?絶対に新一年だろ・・・。」
「だろうな・・・。最悪だー!逆月先輩が知ってるなら3女神も知ってて絶対にブチ切れてるじゃん・・・、それって先輩達を全員、敵に回してるって事じゃん・・・先輩達に睨まれるとか洒落にならねぇって!!」
俺達の話を聞きながらもう一人のギャル女子は何故か少し顔を青くしていたのだけは気になった。
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あの後、何とか一日を過ごした。
兄さんが休憩時間の度に1年の教室を回って私に告白して振られた男の子を問い詰めて歩くと言うのをワザとやってました。
「悠馬は何でこんな事してるの?」
お昼に皆で集まった時に愛央義姉さんが兄さんにそんな質問をしたけど、それは稲穂くんとか柚美達も疑問に思って居た様で皆が兄さんを見つめていた。
「理由としては、牽制とあぶり出し。そろそろ、俺がマジでブチ切れてる、犯人死ぬんじゃね?って話になってるだろ。」
うん、確かに毎時間来ては物凄く怖い顔と声で問い詰めて歩いて居るから犯人は死亡するって感じになりつつある。
「でもさ、これじゃー逃げるだけであぶり出し何て出来ないんじゃない?悠馬くん。」
「普通ならな。だがこいつは恐らく続ける・・・と言うか実は既にある程度の予想と言うか誰かは分かってるてか分かるはずだ。」
「え?!そうなの?!」
「場所が場所だ、学祭の時にあそこに何を付けた?」
「「「あっ!!!!」」」
「つまり・・・明日香会長の報告待ちだ。」
兄さんと義姉さん達は分かったみたいだけど私を始め1年組はどういう事?となって時間が過ぎていくのでした。
そして・・・次の日の朝に下駄箱には兄さんの予想通りまた1枚の紙が入っていました。
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