特別話 天音志保 生誕祭 3/20
さて、どうするか?志保の誕生日が近いけど、これは困った。
愛央と清華の時の様には行かないんだよなこれ。
だって、ステイルを使うわけにも行かないからなぁ〜。
これは一人で悩んでも仕方ないし、皆に相談した方が早いか・・・。
俺は一分一秒でも無駄にしたくないと言う思いから菜月と愛央と清華と俺のグループを作り直ぐに相談を開始する。
祝ってもらえるのは分かってるだろうけど、少しでも驚かせたいからな。
それに、喜ぶ顔もみたいし日頃の感謝も沢山込めないとね!
……………………………………………………………
:やっほ!もうすぐ志保の誕生日なのは皆分かってるよね?
:勿論だし!どうするかの相談?
:そうそう!春休みにもなってるから月曜日だけど助かったしさ。
:そうだねぇ~。平日だし休みじゃ無かったら大変だったね。
:ん~・・・悠馬さ、志保さんとデートしてきなよ。
:志保とデートって?
:あぁ、それはいいですね。その間に私達で準備を終わらせてしまって兄さんには準備してる間に連れまわしてください。
:いや、でも料理とかは?
:志保の誕生日だけど私達じゃどうやっても太刀打ち出来ないし基本は購入になるかな。
:それってなんか味気なくないか?
:と言われてもねぇ~・・・。
:太刀打ちとか考えないでさ、皆の気持ちが籠ってたらそれで良いんだからさ。
:そうかもだけどさー・・・うん、でもそうだよね。私達で頑張ってみる。
:後は有希華さんにも手伝ってもらったりも良いかもだしね。
:そうだな、ケーキに関しては・・・前日に作っておくか・・・。
:大丈夫かな?パサつかない?
:夜に完成するようにして一晩くらいなら行ける行ける。
:うん、それじゃーこっちは何とかやってみるから悠馬はちゃんと志保さんとちゃんとデートしてくる事!
:分かったよ。最近どこかに行きたいとか言ってたりしなかった?
:えっと・・・あれだ!水族館に行きたいって言ってたよ?志保。
:水族館?何でまた?
:なんかねーアシカさんのショーがみたいですっ。って言ってた。
:志保義姉さん可愛い・・・。
:可愛いっ。調べてみたけど丁度色々やってるみたいだから良いんじゃないかな?アシカ、イルカ、ペンギンって時間で変えながらやってるみたいだよ。
:人気の子たちで人集めか・・・。
:そんな身も蓋も無い・・・。
:まー、チケット確保してだな。当日は志保と一日使って回ってくるよ。それで夕方過ぎにでも家に帰ってきて皆でパーティーだな。
:それでいこー!あ、でもっ!
:別日に私達も連れて行ってね?
:おうw愛央とも清華ともデートするよ!もちろんな!
:いいなぁ~・・・(ボソボソっ
:菜月も行きたいのか?3人の後になるけど菜月もどこか行く?
:はい!兄さんとデートしたいです!
:デートってwまぁ良いけどそれじゃー菜月も行きたいところ考えておけよ?
:はーいっ。やったぁ!
:菜月ちゃんもブラコンだけど、悠馬もシスコンだよねぇ~・・・。
:ほんとにっ。似た者兄弟だっ。
:シスコン・・・まぁ良いけどさ。菜月が可愛い妹なのは間違いないしさ。
:ブラコンでいいですもーんっ!兄さんとお出かけ出来るならブラコンで良いですぅー!
:www開き直ったっwww
:菜月ちゃん可愛いwww
:はいはいw菜月を弄るのも良いけどもっと計画つめるよーw
そうして俺達は馬鹿話も交えながら志保の誕生日を祝う計画を進めていくのだった。
志保・・・喜んでくれるかな?
------------------------------------------------------------
SIDE 志保
「20日ですか?特に予定はないですが・・・。」
部屋で寛いでいたら悠馬さんからのお電話がありました、私は逸る気持ちを抑えながらも電話を取り最愛の恋人とのお話を開始しました。
「そう20日なんだけど特に予定が無いならデートしないか?二人っきりでさ。どうかな?」
「は、はいっ!喜んでお供しますっ!」
「お供って・・・付いて来て欲しい訳じゃ無いんだけど?デートなんだから一緒に楽しまないとだよ。」
悠馬さんからのお電話はまさかのデートのお誘いでした。
悠馬さんからの誘いなら例え当日だとしても何よりも優先して向かうんですが、こうやって計画的にやるのも良いところですね。
「はいっ!いっぱい楽しみましょうねっ!あぁ・・・どうしよう、すごい嬉しいです。」
「気が早いな~。取り合えず少し遠出するから午前中から移動開始な?大丈夫かな?」
「勿論です!遠出するならお弁当も用意します!」
「おっ。志保のお弁当付きはうれしいなっ。それで当日なんだけど・・・。」
それから当日の時間なんかを一緒に決めたりしながら1時間ほど話、名残惜しいとは思いながらもお電話を切りました。
そして・・・。
「うぅぅぅぅぅっ///デートですっ!デートっ!二人きりですっ!」
私はベッドにダイブして嬉しさで悶えながら二人っきりのデートを喜びます。
今までも何度もしてますけど、普段は愛央さんと清華さんも居たりですし二人っきりのデートが無い訳では無いですがそれでもやっぱり二人っきりのデートは特別ですっ!
「はっ!着ていく服を決めないと!それと当日のお弁当の内容とっ!」
まだ数日の猶予があるにも関わらず私はあーでもないこーでもないと頭を悩ませる。
部屋でバタバタしてる私を気にした母が様子を見に来て・・・。
「今から準備してどうするの・・・まだ数日あるでしょうに・・・。」と、呆れた声と顔で突っ込んで来ましたが・・・「時間なんていくらあっても足りません!!!!」と返事をした私をこれは何を言っても無駄だと言う顔をしながら自室に戻っていきました。
------------------------------------------------------------
後は、プレゼントか・・・愛央にはペンダント、清華にはブローチだったし志保もやっぱり普段から身に着けられる物が良いよな・・・恋人になって初めてのプレゼントだし気合いが入るのは変わらない。
「あっと、それに二人と同じように石も調べないと・・・えっと・・・。」
3/20の石はダトーライト・・・記憶、記述って石言葉か・・・。聞いたこと無い石だけどこんなのもあるんだな~。
「3月自体はアクアマリンだけど、聡明、勇気、知恵、幸運か。これは悩む。」
志保なら聡明と幸運の意味があるアクアマリンでも良いとは思うけど、愛央と清華のには日の石をいれてるからやっぱりダトーライトかな・・・。
「あぁ、そっか!清華の時も月石いれたんだからアクアマリンとダトーライトと俺のアメジストでいいやん。」
そうと決まれば!俺はもうすっかりと馴染みになったショップに電話をかけてプレゼントの作成を頼んだ。
俺からの電話と言う事で直ぐに対応してくれて、注文にも真摯に対応してくれた、派手になりすぎず、普段使いも出来て邪魔にならないデザイン、アクアマリン、ダトーライト、アメジストをあしらって欲しいと頼んだ。
「ダトーライトですか・・・珍しい石ですけど何とか間に合わせますが・・・少し値が・・・。」
「そこは気にしないで良いです。恋人への初めてのプレゼントなんで手は抜きたくないんで。」
「3人目ですね。分かりました、必ず間に合わせます。」
「すいません、いつも無理ばかり言って。」
「いえいえっ!悠馬さんにプレゼントされる恋人さん達の幸せと悠馬さんの幸せのお手伝いが出来るならいくらでもっ。」
「ありがとうございますっ!よろしくお願いしますねっ!」
電話を切った俺は次の準備の為に動き始める。
「次はチケット・・・これは月曜日だけあって直ぐに確保できたな。19日に受け取りに行って、夜にはケーキを作って保存しておいて・・・。」
大忙しだなー!でも、これも全部、志保の為だしがんばろっと!
気合いを入れなおしてどんどん準備を進めて行く俺の顔は志保の喜んだ顔を想像して自然と笑顔になるのだった。
------------------------------------------------------------
「きゃぁぁぁっ!可愛いですー!すっごいっ!お利口さんですねっ!悠馬さんっ!」
志保の見たがっていたアシカのショーを一緒に見てるけど、さっきからテンション爆上がりで大喜びしてるっ。
俺はそんな志保を普段の綺麗な志保とは違って年相応って感じで可愛いなと思いながら見ていた。
デート当日、俺は朝から志保と合流して目標の水族館に向かった、到着した時の志保は「はぇ・・・?」と声を出してポカンっとしていた。
「あの・・・私言いましたっけ?水族館で見たいものがあるって・・・。」
「いや、愛央と清華が教えてくれたんだ。志保がアシカさんのショーが見たいって言ってたってな。」
「うぅぅぅっ///言わないでくださいよ二人とも・・・。子供っぽいと思われるでは無いですか・・・///」
「別に思わないってっ。可愛いと思ったぞ?ほらっ!時間も勿体無いし早くいくぞっ!」
俺は志保の手を取って受け付けでチケットを見せて中に入っていく。
同じく来ていた人達も俺の存在に気付いてるけど、志保と一緒に居るからか遠目では見てるけど接触はしようとはしてこなかった。
「は、はいっ!行きましょう!ショーまではまだ時間があるみたいですし色々見て回りましょうっ!」
テンションが上がった志保と手をしっかりと繋いで色々と見て回った。
イルカの水槽が中心にあってそこに近づくと俺と志保に向かって一匹が寄ってくる。
そんな一匹に向かって志保が手を水槽に手を付けると鼻先?口先?をガラス越しにツンツンしてくるのを志保と一緒に可愛い!っと盛り上がったり、普段は見ない魚が綺麗に展示されているのを一緒に感動しながら見たり、鰺や鰯を見て「美味そう・・・。」と呟いた俺に志保が突っ込んだり、悠々と泳ぐマグロを見て「美味しそうって言わないんですか?」と聞いてきた志保に「運動量多すぎて食べても美味しくなくなってるってっ。」とマジレスしたり・・・部屋を暗くして縦型の水槽だけをライトアップして、その中を泳ぐクラゲの幻想的な光景を二人で眺めたりしながら過ごした。
一通り見て回った後に中庭の広場にレジャーシートを広げて志保の手作りのお弁当を楽しんで休んだ後に志保のお待ちかねのアシカショーの会場に向かい、大喜びの志保を見ながら俺も一緒に楽しむのだった。
------------------------------------------------------------
SIDE 志保
悠馬さんとの水族館デート、凄く楽しくて時間が過ぎるのがとても早いです。
手を繋いで沢山見て回って、芝生の上で私の作ったお弁当を美味しいと言って貰えて・・・見たかったアシカさんのショーも一緒に見て、本当に楽しくて幸せで、時間が過ぎるのが早かったです。
そして今、私と悠馬さんは水族館の近くの展望台の上で景色を眺めています。
「今日はどうだった?」
「とても幸せで、とても楽しくていつまでもこの時間が続いてほしいと、本当に思いました。」
「そっかっ。それなら良かった。」
私の言葉に満足そうな笑顔で悠馬さんは景色を眺めていました、私もそんな悠馬さんと同じ景色を眺めたいと思い、同じように景色を眺めていました。
「志保、これを受け取ってほしい。」
「ぇ?私にですか・・・?」
悠馬さんの方を向くと私に向けて小さな箱を手の上に乗せて見せていました。
「あぁっ。誕生日おめでとうっ!俺と一緒に居てくれてありがとうっ。ささやかながらプレゼントだっ。」
ぁ・・・そっか。今日は私の・・・。
「誕生日・・・そうでした・・・。忘れていました・・・。」
私は震える手で悠馬さんから箱を受け取る。
「気に入るか分からないけど・・・。」
「開けても?」
コクリと悠馬さんが頷くのを見て私はゆっくりと包装を剝がしていく。
そこから現れたのは・・・。
「ブレスレット・・・?それに宝石も・・・。」
「うん、志保が普段使い出来て邪魔にならないデザインにしてもらった。それと3月の石のアクアマリン、俺の誕生日石のアメジスト、志保の誕生日石のダトーライトをあしらって貰った。」
水色、紫、ピンク色とカラフルな石が並びデザインもシンプルながらも私の事を考えてくださったデザインのとても素敵なプレゼント。
ポタ・・・ポタ・・・ポタ・・・。私の目から自然と涙が零れる。
「わ、わた・・・私・・・こんな・・・素敵なぁ・・・。うれ・・しい・・ですっ。」
箱を抱きしめたまま私は涙が零れるのを我慢なんて出来なくて・・・そんな私を悠馬さんは静かに抱きしめてくださって、私はそのぬくもりに包まれながら暫くの間、泣き続けた。
------------------------------------------------------------
「また一つ、宝物が増えました・・・。」
少し落ち着いた志保が俺の胸の中でそんな事を言った。
「宝物?」
「はいっ。悠馬さんと過ごす毎日も掛け替えのない宝物、戴いたものも宝物で・・・。」
言いながら志保の目からはまたぽろぽろととても綺麗な涙が零れる。
「大切にします、悠馬さんからの贈り物っ。愛していますっ。」
スッと背伸びをした志保を俺は受け止めて夕日を背に俺たちはキスをした・・・。
その後、名残惜し気に離れた俺達は手をしっかりと繋いで帰り始めた。
帰りの電車の中でも志保はずっと俺にくっついていて、腕についてるブレスレットを嬉しそうに愛おしそうに眺めていた。
そして・・・俺の家について、志保と一緒にリビングに向かい、扉を開けるのと同時に・・・。
「志保っ!誕生日ーーーーっ!」
「「「おめでとぉーーーー!!!」」」
待っていた3人からお祝いの声で迎えられ、頑張って準備してくれたパーティーを一緒に楽しんで、その間も志保は何度か感情を爆発させて泣いたりもしていた。
「「「Happy Birthday to you〜♪」」」
「「「Happy Birthday to you〜♪」」」
「「「Happy Birthday deer 志保〜♪」」」
「「「Happy Birthday to you〜♪」」」
歌が終わるのと同時に志保が蝋燭を吹き消し直ぐに皆の拍手が鳴り響き愛央と清華の時と同じように優しい空間が作られた。
そんな空間すらも志保にはとても大切な宝物であるかの様に涙目でありながらも・・・。
「皆さんっ!ありがとうございますっ!本当に嬉しくて幸せですっ!」
とても綺麗で全てを包み込むような笑顔を俺達に向けてくれたのだった。
------------------------------------------------------------
「さってっ!それじゃ私たちは帰るねー!志保さんはがんばっ!」
「うんうんっ!今日はずっと一緒にいるんだよー?」
「も、もうっ///二人ともっ///」
ニヒヒといたずらっ子の様な顔をしながら愛央と清華は帰っていった。
「それじゃ私も部屋に戻りますね。ママも帰ってきてそのまま部屋に行きましたしね。」
「片づけは明日にして俺達も部屋に引っ込むか~。」
「は、はいっ///」
「取り合えず・・・順番にお風呂だなっ!」
俺達は順番にお風呂を済ませて俺と志保は一緒に部屋へと引っ込む。
「あのっ///そのぉ///最後に悠馬さんを貰っても良いですか・・・?///」
「んっ。俺も志保が欲しいっ///」
「はいっ///沢山、愛してくださいっ///」
俺はそんな志保を抱きしめてベッドに押し倒して・・・。
「悠馬さん、愛してますっ。」
「俺も愛してる。」
そうして・・・気のすむまで俺達は愛し合いずっと重なり続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Happy Birthdayーーー!志保ー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます