特別話2
100万PV特別話 想いは世界の壁も超える
季節は秋、とある連休を使って俺達はロッジにキャンプに来ていた。
逆月家、星川家、天音家、伊集院家の4家族でだ、大人数ではあるけど大きなロッジを借りる事が出来て一泊の泊りがけで、遊びに来てる。
「ふぁ〜・・・ぼーっとしてると眠くなるな。と言っても、釣れないと困るけどさ。」
うつらうつらしながら湖に垂らした釣り竿をそのままに湖面をぼーっと見て居たら俺の視界が真っ暗になった。
「だ〜れだっ?」
「この声は愛しの彼女の一人の愛央かなっ!」
「せーかいっ!そんな悠馬にはご褒美ですっ。」
チュッと俺の頬にキスした愛央は顔を真っ赤にしながら俺の隣に腰を降ろす。
「愛央さんズルいです!」
「そうだよっ!愛央ばっかりキスして!」
「ぇぇぇ〜・・・そんな事言われても。」
「愛央と同じく愛しの彼女の志保と清華も一緒だったのね、座りなよ。」
俺の言葉に志保が愛央の隣に、清華は俺の後ろにそれぞれ座る。
「少し釣れたの?」
「虹鱒が数匹って感じかな〜、全員分には足りないな。」
「まぁ、こればかりは仕方ないですね、足りなければそれはそれで仕方ないかと。」
「まーね、その時は食べたい人が食べる感じで。」
「だねー、そいえばさ、この湖って不思議な話があるみたいだよ。」
「不思議な話?」
愛央の言葉に俺達は視線を向ける。
「なんかねー、満月の夜に湖に映る月を見ながら祈ると違う可能性の自分が湖面に映るんだって。」
「なんだそれ?平行世界的な?」
「世界線が違うみたいな感じの話みたいだったよー、この湖の女神様の加護らしい?」
「女神様云々って言うなら並行世界なんじゃないのか?世界線だと科学的な検地になっちゃうし。」
「良く分からないんだけど何が違うの?平行世界ってパラレルワールドでしょ?世界線も同じ意味じゃないの?」
「えーっと、世界線ってのは物理学の考え方だから女神とかが出てくるなら神秘とかそっちの話になるから平行世界って言い方が正しい?かな。それで、平行世界に関して言えば、全く違う結果の世界の事で、例えば俺と3人が出会わない世界、この中の誰かが存在しない世界、男女比が1:1の世界とかの事を平行世界って言うのね。」
「つまり、違う世界って事?」
「そそ、それで結果は同じでも過程が違うのは泡沫世界って言うんだけど、簡単に言えば朝起きてベッドから降りる時に右足から降ろしたか、左足から降ろしたかってレベルの世界の事。」
「えっと?あり得たかもしれないけど無くても問題無いって感じ?」
「そうだね、それで世界線の分類はこの泡沫世界に当たるんだ。」
「何で?違う可能性なら平行世界じゃないの?」
「えっとね、物理学の面で言うと世界面って言うべきなんだけど、世界線ってのは縄とかを構成する一本って言えば分かるかな?縄ってのは何本も絡んで纏まってるでしょ?」
「うん、それは分かるけど。」
「それと同じで世界面は沢山の世界線が纏まって出来たものが面になってるって事。それってさ、結果ってか、辿り着く場所は同じでしょ?平行世界は世界面が正しいかな。」
「じゃー平行世界への移動とかは世界面の変化?」
「うん、大体はその認識で良いかな〜。」
「だから女神様とかが出てくるなら平行世界って表し方が正しいって事か、ファンタジーだから。」
大正解っと清華に答えてると愛央が慌てて声をかけてくる。
「悠馬!引いてる!引いてる!」
「話してる間に!志保!網!網!」
「は、はいっ!」
その後は入れ喰いになって1人1尾ずつ食べられるくらい釣ることが出来た。
「もう十分だし戻ろうか、日も落ちてきたしね。」
「そうですね、気温も下がりますし戻りましょう。」
俺達は片付けをして、釣果に喜びながら湖を後にする。
それにしても、平行世界か・・・。
「そう言えば今日は満月だったっけ。」
一人、ボソッと呟いて歩いて行く俺を愛央はジーっと見つめていた事に俺は最後まで気付かなかった。
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SIDE 愛央
悠馬の様子がおかしい、湖で会話してから何処か無理をしているかの様な雰囲気がある。
上手く隠してるんだろうけど、ぼーっとしてたり、ここじゃ無い何処かを見ているかの様な・・・。
「起きてますか?愛央さん、清華さん。」
「うん、起きてる。」
「起きてるよ、寝れるわけ無いよ。」
「悠馬さんの事ですよね?」
やっぱり気付いてたのは私だけじゃ無かったみたい。
「湖の後から様子がおかしいもん、隠してるんだろうけど、分からない訳無いよ。」
「私のせい・・・だよね。」
「それは違います。」
「うん、それは違うよ。」
「だって!私があんな話をしたから!」
二人の言ってる事は分かる、私が悪い訳じゃ無いのも分かるけど、私の話で悠馬の様子がおかしくなったのは事実だからどうしても気になってしまう。
「いえ、理由は分かりませんけど、絶対に愛央さんが悪い訳では無いですよ。」
「うん、それは間違いないよ。」
「ありがと・・・悠馬も話してくれると良いんだけど・・・。」
そんな事を話していると、パタンっと扉が閉まる音が聞こえて来た。
「うん?今・・・。」
「誰か出て行った・・・?」
私と清華さんの言葉に志保さんはテラスに出て外を確認した後に直ぐに上着を羽織って部屋を出ようとしてる。
「志保ちゃん?!」
「二人共行きますよ!悠馬さんが外に!」
その言葉で私達は同じように上着を掴んで部屋から飛び出して悠馬を追いかけた。
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「満月の夜に湖に映る月に祈る・・・か。」
平行世界、世界面、どちらでも構わないけど、もしも本当なら・・・。
「せめて、少しで良いから・・・。」
俺はそのまま湖まで歩いて、湖岸に立ちながら湖面に映る月を探すけど、曇っているからか月は隠れていて見えない。
「残念・・・ふっ、馬鹿か俺。」
信じて試そうとするとか厨ニかよ・・・。
平行世界、世界面の違う世界、俺にとっては・・・元の世界。
「悠馬っ!」、「悠馬さんっ!」、「悠馬くんっ!」
「ん?あれ?どうしたんだ?3人揃ってさ。」
声に振り向くと息を切らして俺の恋人達が駆け寄って来た。
「どうしたって!外に出ていくから追いかけてきたんだよ!」
「そうですよ、どうしたんですか?悠馬さんらしくないです。」
「何があったの?私達じゃ力に慣れないのかな?」
俺らしくない・・・ね・・・、俺はダレダ?逆月悠馬?それとも・・・。
「らしくない・・・か、フッ・・・。」
鼻で笑った俺に怪訝な顔をして見詰めてくる恋人達、そう俺の恋人達。
「ゆ、悠馬?本当にどうしたの?」
「なぁ?俺は誰だ?」
「誰って逆月悠馬さん、私達の誰よりも大切な人。」
「そうだよ!どうしたの?誰よりも愛しい人だよっ!」
あぁ、そうだよね、3人は今の俺になってから知り合って恋人になったから、3人の知る俺は俺なんだ。
でもさ?俺は誰なの?
沈黙が辺りを包む、それに呼応するかの様に雲がはれ、月が湖面に映る。
俺はその光景に見惚れていると、愛央が俺を背中から抱きしめてきた。
「悠馬が何を悩んでるのか怖がってるのかそれは分からない。でもね?私が知ってて心から愛している人は・・・今抱き締めている人だよ?」
それは俺も同じ、俺も愛してる、それは間違いない。
でも、どうしても気になってしまうんだあっち側がどうなったのか。
““では、見に行きますか?““
「え?今のは・・・?なっ?!?!」
その言葉の後、湖に映る月から光が伸びて俺を包んだ。
「悠馬っ!!??」、「悠馬さんっ?!?!」、「悠馬くんっ?!?!」
そんな俺に3人とも抱きついて来て同じ様に光の込みこまれたのを見て俺も離さない様に3人をきつく抱き締めたのを最後に目の前から景色が消えたのだった。
““さぁ、貴方の望みを叶えましょうっ““
そんな言葉が最後に聞こえた気がした。
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100万PV記念作品になります、50万の時とは違い不思議で真面目な話になりますので楽しんで頂ければ幸いです。
この続きは150万PVで!って言ったら怒られるなきっと・・・(ボソ
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