100万PV特別話 世界が変わっても絆と想いはこの胸に

「がっはぁっ!げほっげほっ。」


水の感触を感じて直ぐに水面から顔を上げるのと同時に周りを見渡す。


「愛央!志保!清華!!」


一緒に巻き込まれた恋人達の名前を呼ぶのと同時に周りを見渡すと、俺と同じ様に水の中から出てきた。


「げほっげほっ、何?!水飲んだし〜最悪。」


「一体、何が・・・?皆さんご無事ですか!?」


「うん、なんっ・・・とかっ。」


「取り敢えず水からあが・・・ろ・・・ぅ・・・。」


「悠馬?どうしたの?」


「そんな・・・なんで・・・。」


「おにい・・・ちゃ・・ん?」


湖の中から湖岸を見るとそこにはもう二度と会えないはずの俺の妹が居た。


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「あのさ・・・お兄ちゃんだよね・・・?」


「あぁ・・・そうだ・・・。」


「なんで・・・?その姿は・・・?」


「ゆ、悠馬・・・?どう言う・・・事・・・?」


「何で分かった・・・?姿も違うのに・・・。」


俺のそんな言葉に俺の元々の妹である観月みづき深山みやま 観月が当たり前だって顔をしながら言ってくる。


「私がお兄ちゃんを分からない訳無いじゃん!どんな姿になってもお兄ちゃんの事は分かるよ!」


「あの・・・悠馬さん?」


「悠馬くん・・・?」


「は、はは・・・あははっ。そっか・・・そっかぁ~。」


愛央の声、志保の声、清華の声はちゃんと聞こえてるけど答える余裕は無い・・・。

嬉しいけど、状況が意味分からない。


「えっと・・・取り合えず・・・だっ。落ち着いて話せるところに行こう観月。」


「うん!コテージ借りてるから着いて来て。」


「愛央も志保も清華も着いて来てくれ、俺も良く分からないけど秘密を話すよ。」


「待って、その前に一つだけ・・・。」


「悠馬さんですよね?」


「私達が知ってる悠馬くんだよね?」


「あぁ、そこだけは間違いない。」


俺のその言葉に安心したかの様な顔になって俺の近くに寄って来てくれた。


「観月に着いて行こう、何にしてもこのままじゃ風邪ひいてしまう。」


俺達は観月の後ろに着いて歩いてコテージに向かうのだった。


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「ごめん、助かった。」


直ぐに風呂を借りて俺はリビングで観月と向き合ってる。

愛央達はまだお風呂に入ったままだから丁度良いと言えば良い。


「それでさ・・・本当にお兄ちゃん・・・?」


「あぁ・・・信じられないのは分かるけど生前の俺は間違いなく観月の兄の琉珂るかだ。」


「何で?何でこんな?」


「荒唐無稽な話だし真相は愛央達も知らないしこの身体の元々の持ち主の悠馬の母親も妹も知らない事だ。」


「父親は?」


「居ない、と言うより男性の数自体が少なくて基本的に人工授精による出産が主の世界なんだ。」


「何それ・・・?異世界転生したとでも言うの?ラノベじゃ無いんだから。」


「実はな・・・。」


俺は何があったのかを観月に説明してるけど最初は半信半疑だったのが俺の死亡した時の状況やその後の詳しい話、愛央達の事、今回のいきなり表れた事を聞いて途中から真剣な顔になって聞いてくれた。


「それじゃ・・・あの子達は最初からお兄ちゃんが中身の悠馬だけどお母さんと妹さんは本当の悠馬が死んでる事は知らないんだ・・・。」


「あぁ、直ぐにな・・・良く分かったんだ、こいつは物凄く愛されてるってそして、俺の中に流れ込んで来た記憶で理解した、俺はこの身体を奪った償いの意味も込めて悠馬として生きる事にしたんだ。」


そう、それが俺の罪だ、理由はどうあれこの身体を奪ったのは事実だから悠馬として生きなければ駄目だと思う。


「ただいまー!ってあれ?誰か来てる・・・の・・・?琉珂?」


「お義母さんどうしたんです・・・ってるー君?」


いやいや、何で二人共分かるの?姿が違うんだぞ?この世界じゃ死んでるんだぞ?おかしいだろう?


がばっと母さんと蘭が俺に抱きついて来たのを俺はしっかりと受け止める。


「何で分かるんだよ?全くさ。」


俺は抱きついてきた元母親と、元婚約者の頭を撫でながら泣いている二人を宥め続けた。


「ごめんなさい、お風呂ありがとうございました。」


「助かりました、ありがとうございます。」


「迷惑かけてすいません。」


「「「あっ。」」」


「「「悠馬、説明。」」」


「うぃ・・・。」


だと思ったよ、志保も清華も敬称無く言いやがった。

テンプレすぎるだろこの流れとタイミング。


……………………………………………………………

「えっと・・・どこから話せば良いのか・・・。先ずなんだけどこっちの人は俺の母親のりんだ。うん、俺の生前の母親だ。」


「せい・・・ぜん・・・?」


「どう言う事ですか?悠馬さん。」


「それで、こっちが・・・俺の婚約者・・・元婚約者の桜井さくらい らんだ。」


「待って!待って!どう言う事?!生前の母親?!元婚約者?!どう言う事なの悠馬くん。」


「言葉通りだよ、俺の生前の母親と妹と婚約者だ。」


「悠馬・・・前世の記憶があるって事?」


さて、どう答えるべきか・・・隠すのはもう無理だよな?


「はぁ・・・前世じゃない、いや・・・前世と言えば前世になるのか?いやまーそれは良いか、説明はするけど、はっきり言ってファンタジーだし荒唐無稽だぞ?それでも聞くか?」


「聞かせて。」


愛央の間髪いれない言葉に志保も清華もしっかりと俺を見詰めたまま頷いてるのを見届けて俺は最初から今までの事を話し始めた。


「だから俺は逆月悠馬であって悠馬じゃない、そして深山琉珂であって琉珂じゃないんだ。」


「だから、湖で俺は誰だって・・・。」


「そうだ、伝説を聞いてどうしても気になった。そしたら分からなくなってしまってさ。どちらでもない俺は何なんだろうって・・・。」


「確認なんですけど、私達と知り合った時には既に今の悠馬さんですよね?」


「あぁ、勿論。」


「私達とのやり取りは作られたものだったの?全部、演技だったの?悠馬くん。」


「違うっ!それだけは絶対に違う!」


俺の強い言葉に3人は顔を見合わせる、そのまま頷き合って俺を見詰めてくる。


「それなら、何も問題ないよ!だって今まで見てきた悠馬が、恋をした悠馬が、私達の知ってる悠馬だもんっ!」


「私達には悠馬さんの苦しみも悩みも分かりません。ですが、寄り添う事は出来ます。」


「本当の意味で理解は出来ないけど少しは頼ってよ。一人で持てないなら私達も一緒に持つよ?だって、私達の目の前にいる、逆月悠馬が私達が恋をした悠馬くんなんだからっ。」


「葵さんと菜月ちゃんには申し訳無いけど今の悠馬だからこそ、私達は恋をしたんだって思う。それに、こんな事話せないのも分かるから、これからは私達も一緒に持つから、悠馬の側で支えるから、だから・・・。」


「「「琉珂くんの事も悠馬の事も沢山教えて、私達が恋をした貴方の事を教えて下さい。」」」


3人の言葉に自然と涙が溢れた・・・。

あぁ、そうか・・・俺はずっと不安で寂しくて自分は自分だって気持ちはあっても何処かで皆を騙してるって思いもあって、それなのにこんな俺を好きで居てくれて愛してくれるのが幸せで・・・。


ギュッと愛央達3人が側に来て俺を抱きしめてくれる、「大丈夫。」、「大好きです。」、「ずっと一緒だよ、側に居るよ。」そう言いながら俺の涙が止まるまで慰め続けてくれたのだった。


……………………………………………………………

「えっと、ごめん。母さん?って呼んで良いのか分からないけど・・・。」


「良いに決まってるでしょ!!全くっ!」


「う、うん。それじゃ母さんも蘭も何で一目で俺だって、琉珂だって分かったんだ?」


俺の言葉に母さんも蘭も呆れた顔をしながらも言ってくれた。


「姿形が変わった程度で自分の息子の事を分からない訳ないでしょ!!」


「そうだよ!そんな事でを分からなくなる訳無いじゃない!」


「そ、そうか。そっか・・・ありがとう。」


俺も愛されていたんだな・・・悠馬の事を聞いた時にこんなに愛されてるのに何が不満だったんだって思ったけど・・・俺も同じだったか。


「そうだ、その事も聞かないとね?」


「ですね、どういう事ですか?」


「婚約者って何かな?」


うっ・・・視線が怖いっ!


「そうね、ちゃんと聞かせてもらえる?3人も女子校生の彼女を作ってるってどう言う事なのかな?」


こっちもこぇぇぇ!!室温が一気に下がった気がする!?!?


「そ、それより親父は元気なのか?」


「「「「逃げたな。」」」」


後で話すから待ってっての・・・。


「元気よ、琉珂の事があって元の元凶を搾り取ってるわ。誰よりも怒ってるのはあの人よ。」


「そうか、親父が・・・。もう歳なんだから無理しないで欲しいんだけどな〜。」


言い合いになる事も多かったけどそれでもやっぱり頼りになって大好きな親父だったから怒ってくれてるのは嬉しい。


「うん?父親?居るの?」


「そりゃ、居るさ、普通に居るよ。」


「え?いやだって、男女比・・・。」


あぁ、そうか!話してなかったっけか!


「えーっとな?今居るのは別の世界だぞ、比率も1:1の愛央達から見たら異世界、平行世界だな!」


「「「え・・・えええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?!?」」」


まぁ、驚くよねそりゃ、多分帰れると思うし大丈夫だよ?多分・・・。


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おかしいなぁ〜?話が終わらない!!予定より長くなってる!!(いつもの事

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