100万PV特別話 互いの想いの為に

「ちょっ?!ちょっ?!ど、どどどど、どう言う事?!?!」


「異世界って何ですか?!?!」


「言ってる意味が分からないんだけど!!え・・・ほんと・・・に?」


「混乱するのは分かる。俺もそうだったし・・・。観月、愛央達を連れてテレビでも見せてやってくれ。多分それで俺の言ってる事は分かるはずだ。母さんもおねがい。」


「う、うん・・・分かった・・・。愛央ちゃん達おいでー。」


観月が愛央達を連れて行ってくれたのを見計らって俺は改めて蘭と向き合う。


「えっと・・・何か変な気分だけど久しぶり・・・?」


「ばか・・・久しぶりじゃないよ・・・私がどれだけっっ!」


「うん、俺もそこは同じかな。ごめんな。」


「〜〜〜っ!・・・ふぅ、話してくれる?一体どう言う事なのか。」


「あぁ、俺が死んでこの身体になってさ、こっちとは全然違う世界で男の数は少ないし、居たら居たで同性好きとか多いし乱暴だし、傲慢だしってクズが多くてさ、そんな世界で上手くやる為に立ち回ってさー、受験も受けてね、その日に俺は愛央と志保と知り合った。」


「うん、それで?」


「学校が始まるまでの間に母さんっとあっちの母さんな?それと、妹と一緒に新生活に向けての買い物をした時にストリートピアノで絡まれていた清華を助けてそれで知り合ったんだ。」


「そこから付き合いが始まったんだ?それで何がどうなれば3人も恋人になるの・・・。」


「いや。俺も悩んだんだぞ?でもあっちの世界だと、一夫多妻が基本って言うか法で決められてる人数何かもあってさ、決めないと勝手に決められたりもあるみたいだから、それなら自分から選ばないとって思って。」


「成る程・・・訳分からない世界ね・・・。」


「あぁ、ほんとにな。それで愛央に関してはまぁそこまで大きなことがあった訳じゃ無いけど、志保の時は犯罪者と殺し合いになったし、一人、殺しそうになったし・・・。清華は、まぁー清華の時は女子高に乗り込んだ位か?」


「何がどうなればそうなるの・・・。」


「ほんとだよな。自分で言っておきながら何言ってるんだこいつ?って思ったわ。」


流石に最初は少しギクシャクしたけど、こうやって話してるとお互いに忌避無く話せるようになってるな。


「それで?自分で選んだ結果があの子達なの?」


「あぁ、そうなる。」


「ねぇ・・・私の事は?死んだから違う自分だから気にもしなかったの?どうでも良かったの?」


「そんな訳無いだろう。蘭を忘れた事なんて無かったよ・・・でも俺はもう死んだんだから直ぐに次に行くと思ってた。ほらっ!何時までも引き摺るのは男だけだしさ!」


パーンっ!っと思いっきり蘭に引っ叩かれた・・・。


「ふざけんな!ふざけないで!そんな簡単に割り切れる訳無いでしょ!るー君の中の私はそんなに冷たい人間なの?!仕方なく、るー君と婚約したとでも思ってるの?!」


「まさか、そんな風には思ってないよ。俺だってあの件を片付けて仲間と起業して蘭と幸せを築きたかったよ!」


「私だって同じよ!るー君と!るー君となら誰にも負けない家庭を築けるって!本気で思ってたし!思ってるんだから!!!」


わぁぁぁぁっと俺の胸をドンドンッと叩きながら泣きまくる蘭を俺はずっと慰め続けるのだった。


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「えっとぉ・・・入っても大丈夫・・・?」


背中をポンポンしながら慰めていたら愛央達が気まずそうに顔をのぞかせながら聞いて来た。


「あ・・・ごめんね?大丈夫だよ。」


静々と愛央も志保も清華も俺達の所に戻ってくる。


「どうだった?確認できたか?」


「うん、本当に世界自体が違うって分かった。」


「信じるしか無いのは分かりました。今でも半信半疑ですけど・・・。」


「そうだね、問題は何で?ってのと、帰れるのか?って事だね。」


「帰れるよ。」


「随分はっきりと言い切りましたけど何か根拠があるんですか?悠馬さん。」


「あぁ、世界は矛盾を許さないからな。」


「「「??」」」


「昔、何かで読んだ記憶があって、世界っていうのは矛盾も偶然も許さないってさ。どれだけ偶然に見えても、それは必然ってやつさ。だからこの世界では俺達は異物だし、追い出されると思う。」


「仮にその仮説が合っていたとして・・・それが何時になるか、そもそもにして元の世界に帰れるのかって言う問題がありませんか?」


「そうだよ、追い出されるって事はこの世界から放り出されるって事でしょ?元に戻れるって保証は無くない?」


「そうだな、でもこっちに来た時の事を考えたら答えは自ずと出て来ると思う。観月、次の満月は?」


あ、そっか・・っと俺の言葉に愛央は分かったらしく一人気付いた顔をしている。


「えっと・・・調べてみるね。・・・うん、三日後みたい。」


「なら三日後までこっちを楽しみますかね。」


「あの、悠馬さん?どう言う事ですか?」


「うん、こっちに来た時の状況は覚えてるか?」


「伝承の?女神の・・・いたずら・・・?」


いたずらって・・・まぁあながち間違いでも無いだろうけど・・・そんな言い方してると怒られるぞ?


「あの光に飲み込まれた時にさぁ、貴方の望みを叶えましょうっと聞こえたんだ。」


「そうなの?・・・って事は、その声の主が私達をこっちに連れて来たって事?」


「恐らく・・・だからあっちで満月だったのを利用してこっちの満月に合わせて戻れるんじゃ無いか?って思ってる。」


「いやいや・・・そんなファンタジーな・・・。」


「今の状況だって十分すぎるくらいにファンタジーだろ?」


そうだけど・・・でも確かに他に方法も可能性も無いし、帰りたいもんね・・・っと3人揃って答えを出したようだ。


「俺も自分で何を言ってるんだろう?っとは思うけど他に方法が思いつかないからそれに賭けるしか無いかな。」


俺達の話し合いを蘭は複雑な顔をしながら・・・いや・・・蘭だけじゃ無く、母さんも観月も同じ顔をしてるのを俺は最後まで気付かないフリをするのだった。


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SIDE 蘭


るー君・・・帰りたいんだ・・・。

最愛の人、死んでしまって私の前から居なくなってしまった人。

姿形は違うけど折角・・・会えたのに・・・、嫌だなぁ・・・またお別れになるの・・・。

あの後、るー君と恋人ちゃん達はお義母さんに連れられてそれぞれ、開いてる部屋に案内されて私の前から居なくなった。


「蘭姉・・・お兄ちゃんはもう死んでるんだよ。」


キッと私は声に反応して観月を睨みつける。


「言われなくても分かってる!でも!会えたんだよ!」


「この世界にお兄ちゃんの居場所は無いんだよ?それでも帰らせないつもりなの?」


「そ、それは・・・。でも・・・。」


分かってるよ・・・居場所以前に戸籍だって無いし用意も出来ないし、るー君が残るなら愛央ちゃん達だって残るだろうし、そうしたらあっちでのあの子達の家族が悲しむ・・・。

でも、私だって・・・るー君が忘れられないよ・・・。


「観月は良いの・・・?折角会えたのに・・・見た目はまぁ・・・違うとしてもさ。」


「良い訳無いじゃん。お兄ちゃんが死んじゃって本当に悲しくてあいつらが憎くてあいつらも、家族も親族も八つ裂きにしてやりたいって今でも思うよ。こうやって再会出来たなら、これからもずっと一緒に居たいに決まってるじゃん!でも!でもっ!」


分かってるよ、乗り越えて次に行かないと駄目な事位・・・黙って帰らせてあげないと駄目な事位・・・。


「愛央ちゃん達と話して来るね、どっちにしても自分の気持ちには決着をつけないといけないしね・・・。」


私は観月の心配そうな顔に見送られながらあの子達の部屋を目指すのだった。


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SIDE 愛央


それにしても、異世界かぁ〜・・・確かにラノベとかじゃ、定番だけど自分が経験する事になるなんて・・・。

夏の女神騒ぎもそうだけど、私達の世界の女神っておかしくない?


「はい、どうぞ。」


「ありがと、志保さん。」


「志保ちゃん、ありがとー。」


私達は志保さんが用意してくれたお茶を飲んで一息つく。


「それにしても参ったね・・・。光に飲まれた悠馬くんを助けようとしたら一緒に違う世界に来ちゃうなんて。」


「そうですねぇ〜、でも私達が一緒で悠馬さんとも離れなくて良かったです。」


「うん、違う世界で悠馬とも、志保さんとも清華さんとも離れてたりしたら絶対泣いちゃう。」


「確かに、不安で泣くだろうなー私も。」


「ですね・・・。その点だけはラッキーでした。」


コンコンッ


「えっと、蘭です。お邪魔しても良いかな?」


「あ、はい!どうぞ!どうぞ!」


「お邪魔します。えっと・・・落ち着いたかな・・・?」


「はい、何とかって所ですけどそれでどうなさいました?」


「うん、るー君の事を・・・ね?」


「待ってください、悠馬さんです。琉珂さんではありません。」


「貴女達にはそうかも知れないけど、私達にはっ!」


「その考えのままなら話す事はありません。彼は悠馬です。」


「でもっ!「死んでいます、既に貴女の知る琉珂さんは亡くなっています。」・・・くっ・・・。」


「二人共・・・落ち着いて。「でも!清華さん!」・・・愛央。」


「分かった・・・。気に入らないけど我慢する。」


「志保も良いね?今は我慢して。」


こくりっと志保さんは頷くだけにして後ろにさがって私の隣に来た。


「ごめんなさい、でも分かってください。私達にとっては琉珂くんでは無く悠馬くんなんです。勿論、貴女達からすれば琉珂くん何でしょうけどそれは理解しますし割り切れるものでは無いのも分かりますから。」


「うん、私の方こそごめんなさい。私の方が大人なのに情けなかった。」


「いえいえ、それじゃお話ししましょうか?お互いに気になる部分もあるでしょう?」


清華さんの言葉で私達の話し合いが始まったのだった。


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