第206話 悠馬からの試練
「~~~~~っ//////////」
「いやぁ~・・・いい女だねぇ~?なぁ、健司?」
「うるさいですっ///ニヤニヤしないでくださいっ///」
「いや、だってよぉ~?なぁ?皆っ。」
「「「うんうんっ。」」」
「良かったねぇ~稲穂くん。」
「本当に素敵な方ですね。」
「うんうんっ。可愛いだけじゃ無く素敵な女性だねっ。稲穂くんも良い人選んだねぇ~?」
「選んだとかっ///俺なんて選ばれる側でっ///」
職員室に向かう途中で悠馬さんと合流した俺は付いて来てくれると言う悠馬さんと、一緒に職員室に行って、立ち上げの為の話と説明を聞いた。
最初に最低でも5人以上の人数の確保、活動指針等を書く事、参加してくれる人、本人の署名を貰って来る事の説明を受けた。
それ等に問題が無ければ検証された後に受理されると説明を受けて悠馬さんと一緒に教室に戻ってきた。
途中で星川先輩達も合流して一緒にだけど・・・。
おかげで一年の廊下は大騒ぎになりかけてる・・・だってこの学校のトップグループが揃ってるんだもん・・・。
だから騒ぎになる前に教室に入ろうとしたら中から東原さんと皆のやり取りが聞こえてきて、入るに入れなくなった。
というか、悠馬さんに引き留められた・・・。
「騒ぎになりますし、入りましょう。」と言った俺を引き留めた後に悠馬さんは廊下で俺たちを見てる他の生徒達に向かって口に指を充ててシーッと仕草をすると、俺たちを見てた生徒は皆が口を閉じて騒ぐのを我慢したのもあって、中のやり取りが確りと聞こえて来て・・・。
「私は、純粋に助けたい、力になりたいと思った。だから今こうやって直接話そうと思ってここに居る。菜月さんの立場なら疑うのは分かるし私も信じてくれなんて言わない。」
「だから、先ずは見てほしい、私が、私の言った言葉の真意を。信じられるのかを・・・。そして、信じる事も信用する事も出来ないと判断したらその時は、遠慮なく排除してくれて構わないっ!」
何て言うから・・・俺はもう真っ赤に赤面して、汗も出て来て、もう・・・ね?
何も考えられなくなったけど、東原さんの事がもっともっと好きになったのだけは間違いない。
「さって、ケンカになる前に行きますかね?」
「ちょっ!悠馬さん?!待ってっ!」
「うーっすっ!優理ちゃんまでA組にいるとかどうしたん?」
悠馬さんは何も聞いてない体を装ってA組の教室に入っていく。
「「「先輩っ!」」」、「「「悠馬先輩っっ!」」」
陸と翼と水夏、立花さん達と反応して、直ぐに残りも反応した。
「兄さん?どうしたんですか?」
「うん、ほら。健司が部活立ち上げるだろ?それの説明とかに付き合ってな。そのままこっちに来たのさ。そんで、優理ちゃんはなんで?」
「えっと・・・この前に話を聞いて、私もお手伝いしたいって思ったんです。」
「へぇ~・・・健司の手伝いか。うん、良いんじゃないかな?他のやつらは?」
「あ、俺も手伝います。」
「僕もです!」
「俺も手伝います!」
「なんだよ、A組男子は皆か。これなら俺の名前はいらないな、人数も揃ってるし。良かったな?健司。」
そう言って悠馬さんは振り向いて俺に笑顔を向けてきた、「ぁっ///」、「ふぅ・・・っ///」って笑顔を食らった女子達が倒れてるのが分かった。
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その後、俺を始めとして陸、翼、水夏の4人が先ずは名前を書いてくれた。
「じゃ、次は私だね。」
「本当に良いの?東原さん。」
「うんっ!稲穂くんの力になりたいからねっ!」
笑顔で言われた俺はまたしても真っ赤になってしまいながらもありがとうっ!っと言いながら、嬉しさが溢れてしまいそうになるんだけど・・・悠馬さんを始めとした星川先輩、天音先輩、伊集院先輩がものすっごいニヤニヤしてるんだよなぁ〜・・・。
「はい!これでっ!後は提出して承認されれば大丈夫なのかな?」
「あっ・・・と、それと活動指針とか内容とかも書いて、後は副部長も決めないと・・・。」
「副は東原さんで良いんじゃない?って思うぞ俺。」
翼がそんな事を言ってくるけど陸も水夏も頷いてる。
「私っ?!やるのは良いけど・・・。」
「折角だ、男女でトップやりな、その方が男子だけの独りよがりって思われるのも減るだろう。」
「悠馬さん。はいっ!それじゃ、お願いしても良いかな?東原さん。」
「うんっ!まっかせて!」
「ありがとうっ!それじゃ、副部長は東原さんっと・・・後は内容とかか・・・。」
俺はしっかりと活動内容と指針を時間をかけて書いていく。
何故立ち上げることにしたのか、何故やりたいのか、自分の思いの丈をしっかりと書いた。
「よしっ!出来たから出してくる!ちょっと行ってくるね!」
「「「「待ってるからいってら!」」」」、「「「「がんばだよー!稲穂くん!」」」」、「「「「しっかりね!」」」」
皆と先輩達から声援を貰って、俺は教室を飛び出した。
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SIDE 優理
「さてっと・・・少し話そうか?優理ちゃん。」
「は、はいっ!!」
稲穂くんが教室から出て行って少しして、顔を真面目な顔にした逆月先輩が私に声をかけてくる。
その声も低めになっていて、私の背筋は自然と伸びた。
「ゆ、悠馬?どしたの?」
「少し黙っててくれ、愛央。志保も清華も皆もだ。」
先輩の言葉と雰囲気に皆が口を閉じた、それは私達だけじゃ無く、教室に残っていた生徒、廊下で見てた生徒も同じだった。
「菜月の事だから既に聞いたとは思うが、俺にも聞かせてくれ。健司の手伝いをしようと思った訳を。」
「っ。それはっ!」
言葉に詰まる・・・疚しいことは無いんだからつまる必要は無いはずなのに・・・。
先輩の雰囲気?私の気持ちの問題?どっち・・・。
「どうした?責めている訳じゃ無い。何故なのかを知りたいんだ。」
それは分かってるけど、ここではっきり言えるかどうかを試されてる?
「私は、稲穂くんの話を聞いて、凄いと思ったんです。私達の歳でやりたい事を夢を見付けていて、その夢に向かって真っ直ぐに走り始めてる稲穂くんが凄いって。」
「あぁ、それは俺も思う。」
「だから、私はそんな稲穂くんを応援したいと思いました。」
「応援ねぇ。出来ることがあると思ってるのか?」
「分かりません。いえ、分からなくなりました。」
「ほぉ?続けて。」
「話を聞いた時は私の首席入学の立場とかが信用の材料になるかと思ったけど・・・菜月さんに言われて稲穂くんの立場を考えたらいらないものだって分かったんです。それに・・・私が居なくても稲穂くんにはこんなにも助けてくれる仲間が、友達が居るんですもん。」
「あぁ、そうだな。だから分からなくなったか?」
「はい・・・。でもっ!稲穂くんを助けたい、力になりたい、悩んだ時に背中を押せるようになりたい!って気持ちは変わってません!」
逆月先輩の視線を真正面から受け止める!
細かく何て言ったところでそれは何の意味も為さないと思う、先輩が聞きたい事、知りたい事は・・・多分・・・私の覚悟だ。
稲穂くんは勿論だけど、立花さん達もだし、愛央先輩達、それに菜月さんと・・・逆月先輩・・・深く関わる事になる人達に対する覚悟・・・多分間違えてないと思う。
だから・・・先輩から視線を外さずに、見つめ続けた。
数秒?数分?の後、唐突に先輩は・・・フッと顔を崩して雰囲気も変わって言葉を紡ぐ。
「試すような事してすまない。優理ちゃんの覚悟も気持ちも分かった。俺も君を信じるよ。」
「あ・・・はいっ!ありがとうございます!」
お礼を言った私に先輩はいきなり、でもしっかりと頭を下げてくる。
「ちょ、ちょ?!やめてください!!!頭上げてくださいっ!」
「んっ。健司はさ・・・俺に出来た初めての男友達なんだ。だから、例え嫌われる事になったとしても、健司を利用しようとするやつは容赦無く排除したいと思ってる。」
先輩が、誰でも魅了してしまうかの様な優しい顔で言葉を紡ぐ・・・。
「そんな中で優理ちゃんって言う一人の女の子が現れた。だからどうしても優理ちゃん自身の口から何故なのかを聞きたかったんだ。」
「はい。気持ちは分かります。いきなり信用と信頼をしてくれとは言いません。菜月さんにも言いましたけど、これからの私を見て見極めてください。」
「ははっ。あぁ、そうさせてもらう。でも、今は・・・ありがとうっ。」
「はいっ!こちらこそですっ!」
こうして私は、逆月兄弟の試練?を乗り越え稲穂くんの応援を力になれる資格を手に入れた。
そして、稲穂くんの申請もしっかりと通り顧問も逆月先輩のクラスの担任でもある水無月先生がなってくださって、同好会と言う形ではあるけれど活動が開始しました。
「それじゃ、改めて・・・同好会としてではあるけど、部長として頑張ります!皆!これからよろしくねっ!」
稲穂くんが私たちに向かって簡単にではあるけど挨拶をしてくれて、続いて・・・。
「私も副部長として稲穂くんの力に少しでもなれる様に頑張りますのでよろしくお願いしますっ!」
「「「うんっ!よろしく!」」」
こうして、私達の新しい部活が始まりました。これからどうなるかは分からないけど、折角だし楽しくやれたらいいなっ。
そんな事を男の子達と楽し気に話しながらも、何処か決意に満ちた顔をしてる稲穂くんから目が離せない私なのでした。
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ここまで読んでくださってありがとうございます。
健司の章はここでいったん区切ります、話としては丁度の区切りになると思うので続きは次の章でと思っています。
終わりも見えてきましたので、最後までお付き合いくださればうれしく思います。
ではではっ!次話でお会いしましょう!
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