第203話 部活紹介健司の場合
「はーい、それでは皆さん体育館に移動しますよー。」
今日は部活紹介が行われると言う事で登校後に説明会の会場となる体育館へと移動を開始した。
移動しながら耳をすますと何処に入ろうかな?やろうかな〜?でもなぁ〜・・・等など聞こえてくる。
「稲穂は何処か入るのか?」
「いんや、決めてないってか、入らないかな。」
「そうなのか?」
「考えてることあるって言ったでしょ?それ次第かな〜。」
「言ってたね。何を考えたの?」
「まだ秘密。出来るか分かんないし悠馬さんにもまだ相談してないしね。」
そんな事を話しながら歩いていると体育館に着く。
用意されていた椅子に座るけど、一年が座って半分って体育館も馬鹿みたいに広いよな〜。
「皆様、おはようございます。そして初めまして、清蘭高校3年、生徒会長の高坂明日香と言います。本日はお集まりいただきありがとうございます。」
あれ?あの人って確か去年も生徒会長じゃなかったっけ?学園祭の時に見た記憶あるんだけど・・・。
「うわぁ~・・・すっごい綺麗な人・・・。」
「うんうん。3年生ってのもあるんだけど凄い大人の美人って感じに見えるよね。」
「この学校って女生徒のレベルが全体的に高いよね・・・。」
翼、陸、水夏の3人がそれぞれ感想を零してるし、他のクラスの男子もそれぞれ見惚れたりしてるのが見える。
「あれ?あの人って確か去年も会長さんだったよね?学祭で見た覚えあるんだけど。」
「そうよね?任期長いのかな?一回なると。」
「どうなのかしらね?1年で交代とかが普通だと思うんだけど・・・。」
高坂先輩に見覚えがある立花さん達も首をかしげてる。
「あぁ、それはですね。」
「あれ?菜月さん、何か知ってるの?」
「はい、兄さんから聞きました。対抗馬が居なかったそうなんです。高坂先輩はとても優秀で、去年の時点で当時の3年生を抑えて当選して会長になったらしく人間性、能力、リーダーシップなどの面から今年は対抗馬が居なくてそのまま続行になったそうです。」
「ほぇ~・・・凄い人なんだ・・・。」
陸が感心した顔で
「はい。と言っても今年は兄さんにって話もあったそうなんですが、兄さんは蹴ったそうです。」
「何でまた・・・?悠馬先輩なら黙って付いてくるのでは?在校生。」
「はい、それが問題だと言って兄さんは蹴りました。」
ん~・・・?何でだろ?悠馬さんが会長になれば問題が起きても直ぐに解決するだろうし何が駄目なんだろう?
「そうだよねぇ~?悠馬先輩が会長なら誰も文句言わないだろうし従うんじゃない?」
「はい、それが問題だと言っていました。」
「あぁ!そう言う事・・・。」
「どう言う事?小河原さん。」
「簡単な事ですよ?悠馬先輩があれをやりたい、これをやりたい、それはこうしたいって言ったらどうなりますか?」
「あぁ・・・そう言う事かぁ~・・・。」
「はい、兄さんは良くも悪くも影響力がありますし行動力もありますので兄さんが会長になれば確かに学校としては良い方向に行く可能性が高いでしょう。」
「ですが、それでは何も意味も無い、悠馬先輩が会長になった事でそんな事になるのはよろしくは無いから・・・ですね?」
「涼さん大正解です。その可能性がある以上はやらない、やれないと言っていました。結果、対抗馬も居ないと言う事で高坂先輩がそのまま続行と言う事になったそうです。」
「成る程・・・それなら納得です。」
「・・・そして、正式な部活動以外にも同好会と言う形のものも沢山ありますし、自分で立ち上げる事も出来ますので去年の悠馬く・・・逆月君とは違って沢山の同性も居る事ですし男子生徒の皆さんも物怖じせずに挑戦してくださいっ!」
俺達が話してる内に挨拶が終わったらしく、高坂先輩は下がって行った。でも・・・最後・・・。
「最後だけかっこつかなかったですね・・・。」
「うん、言い直してたけど悠馬くんって言ってましたね・・・。」
気付いてたけど言わないであげて・・・仕方ないと思うし?そう言う可愛い所もあるって事で良いじゃない・・・。
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SIDE 優理
朝の時間の後に体育館に移動した私達は高坂会長のあいさつの後にそれぞれの部活の紹介を受けてる。
ん~・・・どうしようかなぁ・・・。部活かぁ~・・・バレーやって来たけど高校では違うのやろうかな?もしくは何もしないか・・・悩むなぁ~。
「優理はバレー部?」
「悩んでるー、何かそこまでって感じかな~。」
「あら・・・そうなんだ?あれだけ夢中でやってたのに・・・。」
「そうなんだけどね・・・何か疲れたって言うか燃え尽きたって言うかね?」
「なるほどーそう言う事もあるか。」
そんな事を話しながら進んで行く紹介を私は見ていく最初に運動部、次に文化部、そして今ではこの学校で知らない人は居ない、んーん・・・ここを目指す人が知らない人何て絶対に居ない一つの部活。
「吹奏楽部だ。うわぁぁ・・・あれって伊集院先輩だよね?」
「うん、凄いよねぇ。」
そう吹奏楽部の紹介の摸擬演奏は勿論の事、昨日ステイルで会った伊集院清華先輩。
逆月先輩の恋人の一人で色々なコンクールを総なめしてる実力者。
ストリートの演奏で先輩に助けられた事で愛央先輩達とも知り合った人。
「すげぇ・・・。あんな人いるんだ・・・。」、「めっちゃ綺麗・・・。」、「何かさ・・・幻想的に見えない?」、「「「分かるっ。」」」
ボソボソとクラスの男子達が話してるのが聞こえて来たけど気持ちは分かる。
昨日は普通の女子高生って感じだったのにピアノの前に立って演奏を始めたら・・・。
「リフレイン・・・。素敵だなぁ~・・・。」
クラスの子が演奏を聞きながら先輩を見ながらそんな事は呟いた。
でも、その気持ちは良く分かる・・・だって、私のクラスだけじゃ無く他のクラスの男子も女子も皆が皆、演奏と先輩に聞き惚れてる・・・。
「本当に凄い・・・。」
「決めたっ。私は吹奏楽部に入るっ。」
「楽器出来るの・・・?」
「出来ないっ。でも入るっ。」
「できないんかいっ!」
「直ぐに覚えて見せるし!」
そんなに簡単に行くわけ無いでしょうに・・・。
「新入生の皆さん、ご静聴ありがとうございました。3年の伊集院清華です。」
演奏が終わった後、先輩は立ち上がってマイクを持ったまま新入生に向かって話し始めた。
「私の演奏を聴いて、見て、興味を持った人も中には居ると思います。でも、楽器の演奏なんて難しいと思っていると思います。」
うんうん、敷居が何となく高いって感じるんだよねぇ~・・・。
「全くの初心者でも気にせずに興味を持った人は是非参加してください。私たち吹奏楽部は初心者大歓迎で皆さんをお待ちしていますっ。」
そう言って先輩は下がっていく、さっき入部すると言っていた子は目を輝かせながら先輩を見送っていた。
その後は、昨年の学祭でのライブの結果、同好会から正式な部活動に昇格したダンス部、ライブで逆月先輩と一緒にライブをした軽音部と、それぞれの紹介が続き部活紹介は幕を閉じたのだった。
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何て言うか・・・すごい豪華な時間だったと思います。
紹介が終わった後に教室に戻ってきた俺たちはさっきまでの紹介のことを話していた。
「すごかったよねー。伊集院先輩も昨日とは打って変わってすごい幻想的で綺麗だったしさ。」
「俺たちは昨日あの人と一緒の空間で話したりしてたんだよな・・・。」
「そう考えると、昨日の僕たちって・・・。」
改めて考えると凄いよねぇ~・・・。楽しかったから良いんだけどもっ。
「あ、あのさっ!昨日ってステイルに皆行ったんだよね?どうだった?」
「どうって言われても・・・先輩たちに圧倒されてた?」
「勢ぞろいだったからなんか圧倒されてた。最終的には楽しかったんだけどね?」
「いいなぁ~・・・めっちゃ羨ましいっ。」
「あはは・・・何かごめんね?悠馬さんに誘われたら断る訳にもいかないしさっ。」
「それは勿論だし構わないんだけどねっ。」
そんな事を話していたら担任の先生が戻ってきて、明日からの予定を話し始めた。
「明日の放課後から3日間、見学の時間があります、その中で入りたいと思うのがあれば入部してって流れになりますね。高坂会長も言っていた通り強制では無いので自己判断で構いません。」
「はい!先生!」
「菜月さん?聞きたいことでも?」
「はい、実は去年の学園祭で兄さんと大暴れした事でバスケ部に誘われてるんですけど、私としては生徒会に入りたいと思ってるんです。とはいえ、兄さんと一緒にやっての事での誘いなので蹴るのもどうかと思いまして。」
「なるほど、結論から言えば大丈夫ですよ。生徒会と運動部とであれば別の枠になるので兼任という形とも別になりますから。」
「ありがとうございます。」
「他には無いかな?」
「はい!俺もいいですか?」
「稲穂君っ、何かな?」
「高坂会長が言ってましたけど新入生でも新しく立ち上げることは可能なんですか?」
「勿論です。色々と条件はありますが、さほど難しくは無いので条件さえ満たせば立ち上げは可能ですよ。」
「ありがとうございました。」
そっか・・・可能なんだ・・・、それなら・・・。
「ねねっ。もしかして考えてることって部の立ち上げ?」
先生の答えを聞いて考えごとをしていたら立花さんが話しかけてくる。
「あ、うん。先に悠馬さんに相談するけど実はそれを考えてた。」
「そっかっ。私に出来ることあったら言ってねっ。」
「俺たちもだ。」、「私たちにもね?」とみんなが俺に声をかけてくれるのをありがたく思いながら俺はこれからの流れを考えるのだった。
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遅くなって本当にすいません。
仕事の決算棚卸しの準備と終わって帰る時に思いっきり転びまして結構な怪我をしてしまい、痛みで碌に眠れずなどで頭が回りませんでした。
何とか調子も戻りましたので途中になっていたのを書かせていただきました。
時間がかかりまして本当にすいませんでしたっ。
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